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特別展 伝教大師1200年大遠忌記念 「最澄と天台宗のすべて」 [寺社・城・仏像・ミュージアム]

東京国立博物館



先日トーハクに行ってきた。

最近の「見仏」に関しては、旅行仲間のK島さんと東京で唯一の国宝の白鳳仏を見に深大寺に行こうと夏から予定していたんだけど、緊急事態宣言が長引いたりで何度も機会を逸していたので久しぶりの博物館見物だった。

特別展「最澄と天台宗のすべて」には全国にある天台宗の寺から秘仏も集まっているらしいので、今日は朝から大雨だったので、これなら空いているだろうとトーハクに出かけた。


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上野駅の上を横断する「パンダ橋」を渡ろうと外に出ると、天気予報通り土砂降りだった。

東京文化会館まで歩くと、天気に反して予想外の人手で驚いた・・・誰もいないと思っていたが甘かった。


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国立西洋美術館の前で行われていた工事の騒音を聞きながら歩き続けると、少しずつ同じ方向に向かう人が減ったが皆無にはならなかった。


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トーハクに到着してチケット売り場で当日券を購入し入り口に行くと、コロナ対策で時間制限が設けられていて90分制限だった。


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平成館に入ると、ガラガラでは無かったがストレスを感じるほどでは無い入りだった。


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ただ、いつものことだけど館内が「展示物に影響が出るのでは?」と思うほど蒸し暑く、速攻でジャケットを脱いでリュックに入れ、シャツを半袖に捲り上げた。

今回の特別展の主人公「最澄」は、法華経の教えを礎とする天台宗を日本でひろめ、延暦寺を創建した人で遣唐使で空海の弟子。

俺は宗教に関しては何も知らないが当時の状況をザックリまとめると、日本に仏教が伝わった頃の僧侶は誰でもなる事が出来たので、世の中にインチキ坊主が溢れた事で免許制にしようという事になり、唐から鑑真を迎えて出家者が国家公認の僧尼として認められる「戒律」を授ける戒壇を作った。

有名なのは東大寺の戒壇堂で堂内にある多宝塔を天平彫刻の四天王像が囲んでいる。

しかし、最澄の説く天台の思想は「全ての者が菩薩であり、悟りを開くことができる」というもので、当時は戒壇が日本に3箇所しか無かったため最澄は比叡山で得度し修行の終わった者は仏教界のリーダーとして活動させたいと「大乗戒壇」の設立を主張して奈良の旧仏教から非常に激しい反発を受けたが、最澄の死後に「大乗戒壇」が認められて延暦寺は仏教の総合大学として多くの名僧を輩出することになる・・・と、大体こんな感じだと思う。

展覧会の前半は書物と絵がメインで、空海とならび称される三筆の一人で最澄の優れた弟子の光定の国宝の書物などがあり、最近は書道も板に付いてきたボクシング解説のジョー小泉さんとかが見ると喜ぶだろうなと思った。

仏像は少なかったが、全国から寺に参拝しても見ることが出来ない秘仏が来ていた。

また、最澄が創建した延暦寺の根本中堂を再現した空間も設けられていて、写真撮影も許可されていたが暗すぎて俺の安物のスマホのカメラでは上手く写らないと諦めた。

でもレプリカだったけど、織田信長に焼き討ちにあった時も一度も火を絶やさないで灯し続けている気の遠くなるような時間を、一瞬共有している錯覚に陥った。

前半を終え、後半も縁起絵巻や日光の輪王寺から来た江戸城の鬼門に東叡山寛永寺を創建した天海の像や曼荼羅などを見ながら歩を進めた。

4軀の十二神将が視界に入った。

見た瞬間、これはただ者では無いと思って、解説を読むと運慶仏で名高い愛知県岡崎の瀧山寺と書かれていた。

滝山寺は金沢文庫で見た運慶作の梵天立像が最高だった。

十二神将も鎌倉時代の作で、目は玉眼、ユーモラスな作風から運慶が作ったのでは?と思ってしまった。

思いも寄らぬ立派な十二神将に驚きながら歩いていると最後の出口が見える部屋に入った。

出口付近に怖い顔の大きな像があったので、どこの寺のものなのかと解説を見てみると深大寺の「慈恵大師坐像」で、日本最大の肖像彫刻で50年に一度しか開扉されない秘仏だった・・・205年ぶりの出開帳だったらしい。

深大寺って何処かで聞いた名前だなと思っていると、俺が夏からK島さんと行きたかった寺で・・・まさか、と思って振り返ると2017年に職場の上司から「お前は仏像が好きと言っていたな」と言ってもらった、深大寺の仏像が国宝指定された新聞記事の切り抜きを読んで以来ずっと気になっていた「釈迦如来倚像」があった。

これが見たかった!と心の中で叫んだ。

想像していたのより小さかったがケースの周りを何周もして、360度堪能した。

しかし、K島さんと深大寺に行っても見れなかった。

物販コーナーで超豪華な図録を購入し、土砂降りの上野を後にした。


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大満足の特別展だったのだ。