宇宙人語

催眠術



出勤で清瀬駅に入ると、ダイヤが遅れていますと構内放送があった。

列車を待っていると、再び放送があり駅員がマイクで遅れた原因を説明するんだけど、肝心なところが聞き取れない。

喧噪や放送機器の問題では無く、かなり静かなホームで、近くのスピーカーから明瞭に聞こえるんだけど、肝心の原因の箇所だけがまるで宇宙人の言葉か？と思うほど脳内で日本語に翻訳できない・・・文字にすると「●時●分に富士見台駅で、お客様の∬∃@▽◇◎＄￡があった影響で」と、え？何？今何言った？と焦るんだけど、解読出来ない。

暫くすると再び放送があったので、ヘッドフォンを外して気合い入れて聞くんだけど、同じ・・・俺の脳がオカシクなってしまったのか？と不安になった。

やがて列車がやってきた・・・余りにもダイヤの乱れが酷いと地下鉄に乗り入れずに池袋行きに変更になるんだけど、そういうこともなく列車は練馬駅から地下に潜っていった。

池袋駅から多量の人が乗り込んできた。

列車が池袋駅に入った時から、何か変だなと思ったけど・・・車内放送で「次の駅は雑司が谷」という案内が聞こえるまで気がつかなかったが、「新木場行き」の有楽町線だと思っていた車両は、横浜の「元町 中華街行き」だった。

まだドアは開いていたし、閉まるまで時間はありそうだったけど、ドア付近で押しくらまんじゅう状態の連中を掻き分けて脱出するのは不可能だった。

車内放送で「ダイヤが乱れているので、副都心線部分は各駅に停まります」という案内があったので、とりあえず次の駅で外に出て考えようと思った。

雑司が谷の駅で降りて、フォームにある地下鉄の路線図を見た・・・池袋に引き返そうと思ったが10分以上待たないと来ないし、たとえ引き返しても昔でいう「新線池袋駅」だから有楽町線の池袋駅まではかなりの距離があり、有楽町線の池袋も劇混みなので気が進まないというか、そこまでしても戻りたい魅力に欠けた。

それより2駅先に大江戸線のマークがあったので、月島に向かわずにダイレクトに勝ちどきに行く作戦を立てた。

このルートで通勤したことがないので、どれだけ時間が掛かるか判らないので、とりあえず職場に連絡を入れて東新宿駅で降りた。





副都心線の東新宿駅から大江戸線の東新宿駅までは、狭い地下道を通学の高校生の群れに囲まれて歩いた・・・都営浅草線の東日本橋駅と都営新宿線の馬喰横山駅の間位の距離を歩いた。

大江戸線に向かう途中から気になっていたんだけど、「大江戸線に東新宿なんて駅あったか？」と、自分が今いる位置が判らなくなった。

大江戸線のフォームにある地下鉄の路線図を見ると、いつも大江戸線で乗っている箇所とは真逆の位置にいた。

大江戸線を知らない人は新宿方面に向かえば良いと思うかも知れないが、俺も詳しくないけど大江戸線って山手線みたいにグルグル回っているのでは無く「都庁前駅」で折り返すので、一旦降りて乗り換えなければならないんだけど、通勤ラッシュ時の大江戸線の新宿駅の混雑も凄まじいので、遠回りになるが飯田橋・蔵前経由で勝ちどき駅に向かった。（東新宿駅から勝ちどきまで33分でした）





俺に出来ることは全てやったので、大江戸線に揺られながら「何故行き先違いの列車に乗ってしまったのか？」を考えた・・・全ては清瀬駅構内放送の宇宙人語から来ていると思った。

あの解読不可能な不思議な校内放送を聞いてから変になった・・・催眠術みたいなのに掛かってしまったんだと思う。

結果、コンビニに立ち寄らずに職場に直行すると時間的には余裕で間に合い、その後スマホで西武池袋線の遅れの原因を調べると、乗客が線路に落ちたのが原因だった。

皆さんも駅などでアナウンスしている宇宙人には注意なのだ。