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怪談の著作権 [日々のあれこれ]

怖い話は難しい




最近怪談を得意とするお笑いタレントが、ある作家が出版した本の内容をテレビ番組でそのまま無許可で話し、作家から抗議されたのが問題になっていて、タレントはその番組を自主降板、ディレクターも辞めたらしい。

問題のタレントが言うには、テレビで語った某作家の話自体が、某作家が作った話でなくある地方で語られている有名な都市伝説で、そんな都市伝説に著作権は発生するのか?と戸惑っていた。

タレントの考えでは、都市伝説に脚色を加え、さも自分の体験の様に語る方が「パクリ行為」で、語り部として本に書かれたままを正確に語る方が罪はないと考えていたらしいが、本に書かれているままを語ると著作権に触れ、話を脚色して膨らませた方が罪に当たらないというのは線引きが難しいみたいなことを言っていた。

でも、怪談って基本自分の実体験限定で、自分以外の話をするからややこしくなるんだと思う。

最近YOUTUBEなどでは凄い怪談ブームでサムネイルがバンバン出てくるけど、試しに聞いてみても全く怖くない・・・薄暗いセットや演出が怖そうなだけで、つまらない話を数十秒聞くと我慢できなくて他の動画をクリックしている。

「怖くない怪談」と「笑えないお笑い」が最も時間の無駄。

怖くない怪談の問題は、語りのスキルや演出ではなく「怪談の中身」なんだと思う。

そもそも怪談師の元祖である稲川さんが最強怪談「生き人形」を越える話が無い状態というか、怪談マニア達は俺も含めて皆「怖さに麻痺」してしまって、ちょっとやそっとの話では怖く感じない恐怖への耐性が出来てしまっている。

まだリアクション芸人が本業だった時、夏場だけ「冷やし中華と稲川淳二」と言って期間限定で怪談をやっていた頃の稲川怪談は「生き人形」に迫る怖い話があったが、最近は怪談に民話的要素を取り込んだりしていて怖くない・・・北島三郎が紅白のトリで国民的な歌を歌う様になってつまらなくなったのに似ている。

ただ、創作の都市伝説なんかより価値のある実体験の怖い話なんて、滅多に遭遇しない。

俺なんかも心霊的な恐怖を経験した方だと思うけど、それでも膨らませずに実際に起きた事だけをそのまま話せば怪談としては怖くも何ともない。

ただ世の中には「無脚色でも怖い話」というのは存在する。

例えば俺の友達や関係者は知っている話だけど、昔大阪でやっていた「HEAVY METAL NOISE」というバンドが解散して暫く経った頃に、記憶が曖昧だけど・・・大阪の難波辺りで行われたイベントでHEAVY METAL NOISEのマネージャーだったKにバッタリ会った・・・その時Kは知った顔が何人かいるバンドで歌っていた。


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詳しい経緯は忘れたけど、俺は車にKを乗せて千日前通りを湊町から上本町方面に向かっていた・・・昼間で道路は渋滞していた。

Kは助手席で「最近こんな事があった」と近況報告混じりの話を始めたんだけど、淡々と話すKの話が震え上がるほど怖かった・・・だから、「生き人形」レベル級の怖い話も探せばまだまだあると思う。

しかし、最近、職場の同僚が田舎の実家に帰省した時、泊まったホテルでシャワーを浴びた後タオルで身体を拭いていると自分の背後を何かがすり抜けるのを見たらしい・・・気になるのでスマホでそのホテルのことを調べると、利用者レビューの書き込みに一家心中の事が書かれていたらしい。

でも、同僚が体験した事だけを書けばこの様に、怖くも何ともない。

怪談の最高峰である稲川さんの「生き人形」は語りのテクニックとか以前に話自体が凄まじく怖く、そんな話が普通にYOUTUBEで無料で聞けてしまう以上、プロの怪談師としてやっていくのは凄く難しいと思う・・・YOUTUBEで9歳位の女の子が小さな手でRacer XのTechnical Difficultiesを易々と弾いているのに、大の大人がライブで金取って「」それ以下」のギターソロとか笑ってしまうのと同じだ。

商売で人を怖がらせるのは難しいのだ。