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涼しくなる話10 [不思議]

忘年会



あらずじ:初期MargeLitchが忘年会を開催するため、デモテープ制作時に怪奇な現象が起きた埼玉県某所のプレハブ小屋に再び行くことになったのでありました。

前回からの続き)





急遽木材加工場のプレハブ小屋で忘年会をやろうという事になった我々は、酒や食料の買い出し班と調理器具調達班の2手に別れ、加工場で集合した・・・ライブ後だから作業場に着いたのは夜中だったと思う。

打ち上げが盛り上がった頃、俺はデモテープ制作時の足音の話を思いだし、嫌がるメンバーの殺意を背後に感じながら説明を始めた。

俺の話が盛り上がった時、ザッザッと部屋の外で足音が聞こえた・・・まさにあの時の足音だった。

まるでインディアンの襲撃に遇った幌馬車隊が1カ所に終結する様に、部屋に散らばっていた全員が部屋の中央に集まり、足音が聞こえる方向に聞き耳を立てたてていたが、その夜も足音が聞こえるだけで「それ以上の何か」は起きなかった。

そんな事より、神妙な顔つきのKyoがいきなり立ち上がり、打ち上げ用に買った酒を紙コップに入れて部屋の片隅に置いて拝みだしたのには驚いた・・・精神がおかしくなってしまったのか?と、俺は足音なんかよりKyoの奇妙な仕草の方が怖かった。

皆は足音に震え上がっていたが、拝み終えたKyoが振り返り、つり上がった目で「これで大丈夫」と言ったので、俺はそのまま足音をBGMに得意の怪談を朝まで続けた。

それから時は流れ・・・その後MargeLitchを脱退したKyoと2003年に「タマちゃんMargeLitch」で再び一緒になった。

確かライブツアーの移動中の機材車の中で「木材加工場」の話を思いだしたので、Kyoに「足音事件を覚えている?」と聞くと「俺は嫌なことは忘れる!」と、もうその話はするな!という怒り混じりの強烈な意思表示を感じた。

すると、他のメンバーが高速道路のサービスエリアの売店で買ったアイスを食べながら「足音って何ですか?」と無邪気に聞くので、やはりこれはMargeLitchのメンバーなら知っておかなければいけない重要な案件だろうと思った。


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俺は美味しそうにお菓子などを食べている無防備な子羊たちに「いや、実は昔、録音していた時に色々あってな・・・」と優しくあの時起きた出来事を語り始めた。


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最後に・・・

俺が怪奇現象の中でもギターを弾き続けられたのは、恐怖よりデモテープを完成させる事で頭がいっぱいだったからだと思う。

もう随分前の事なので今思いだしたが、デモテープを制作中に1人でギターを弾いているとき、目の前で誰かに見られている視線を感じていたが、次第に相手が大胆になってきてギターを弾いている時に肘を引っ張られたりした。

最初は驚いていたが、悪戯をされる度に録音がやり直しになるので次第に腹が立ってきて、「向こうに行け!」と怒鳴りつけていた・・・怖いけど、録音の方が大事なのでそれどころでは無かった。

足音に関しては、当時のマネージャーが「作業場の近くに弥生時代の遺跡があるので、それが関係しているのかも」と言っていたが、良く判らない。

今思い返してもあの時の出来事は謎なのだ。