涼しくなる話7 [不思議]
足音
(前回からの続き)
少々気になることがある中でレコーディングの日がやってきて、泊まりがけでドラムとベースを録音する事になった。
ドラム録音時は多量のマイクとマイクスタンドを使うので、新宿のPA機材レンタルをやっているスタジオから、まだ学生だったKyoの学生証を使って学割で借りた。
ドラム録音は、部屋にドラムとマイクをセットして、録音機材を積んだ機材車を部屋の真横につけて機材車の中でレコーダーを回した。
木材加工場は長い材木を立てかけられるように2階建て位の高い天井までトタンで覆われていて、天井付近の高い位置に四角い穴が空いているんだけど、何故かそこが気になった・・・やがて夜になるとナニモノかがその四角い穴から覗き込んでいる感覚があった。
ドラム録音を終え、そのままベース録音に突入した。
夜中、区切りの良いところで録音を中断し、疲労困憊な俺たちはマネージャーが実家から持ってきてくれた布団に倒れ込むように寝た。
部屋の灯りを消して暫くすると、Kyoのいびきが聞こえ始めた・・・ああ、寝たんだなと思っていると、入り口のドアがガチャと音がして開き、誰かが中に入ってきた。
俺たちは鍵を掛けて寝ていたので、我々以外に部屋の鍵を持っているのはマネージャーだけだったので、忘れ物か何かをして取りに来たんだと思った・・・足音が近づいてきたが、部屋の中も部屋の外も真っ暗なので何も見えなかった。
我々は入り口のドア側を頭にして布団を3つ並べて寝ていたんだけど、足音は我々が寝ている横を通り過ぎて、部屋の奥をウロウロしていた。
俺は少しでも早く寝たかったので「俺たちに遠慮して真っ暗な中で探さずに、電気を付けて探してサッサと帰ってくれ」と思っていたが、足音は我々の足下をウロウロ歩き回っていて、俺はドラムとベース録音の疲れからいつの間にか寝てしまった。
翌朝ベース録音を再開し、夕方に終了した。
そこからは録音を終えたドラムとベース組と俺は別行動になり、俺は引き続きその部屋に残ってギター録音、他の2人は借りているマイクなどを返却する為に機材車で東京に戻る予定だった。
レンタルしていた機材を機材車に積み込んで、一息ついていると東京で仕事を終えたマネージャーがホカ弁を持って自分の車でやってきた。
俺は弁当を食べながらマネージャーに「そういえば昨日の夜、あんな遅い時間に何を取りに来たの?」と聞くと、「来てない」というので、昨夜の出来事を話すと「夜中に1人でこんな寂しい所に行けないわよ!だって怖いじゃん!」と言い出した。
ああ、疲れていたから変な夢をみたのかと自分に思いこませようとしたところ、マコトが「その足音俺も聞いた。確かに誰かが鍵を開けて部屋に入ってきた」と言った。
でも、よく考えれば変だった。
俺たちは朝目覚めると速攻でベース録音の続きが出来るように、楽器のケーブルやアンプや録音機材なども「そのままの状態」で寝ていたから、真っ暗な部屋の中を立てかけてある楽器や床のケーブルなどに足を引っかけずに歩き回るのは不可能だった・・・特に足音が歩き回っていた部屋の奥には録音を終えたドラムセットをそのままの状態で置いていたので、部屋が明るくても何かに引っかかりそうだった。
ホカ弁を食べ終えたメンバーは借りていたマイクやスタンドを返す為、俺1人を残して機材車に乗って東京に戻っていった。
俺は数キロ四方民家の無い部屋でギター録音を開始した・・・。
つづくのだ。
(前回からの続き)
少々気になることがある中でレコーディングの日がやってきて、泊まりがけでドラムとベースを録音する事になった。
ドラム録音時は多量のマイクとマイクスタンドを使うので、新宿のPA機材レンタルをやっているスタジオから、まだ学生だったKyoの学生証を使って学割で借りた。
ドラム録音は、部屋にドラムとマイクをセットして、録音機材を積んだ機材車を部屋の真横につけて機材車の中でレコーダーを回した。
木材加工場は長い材木を立てかけられるように2階建て位の高い天井までトタンで覆われていて、天井付近の高い位置に四角い穴が空いているんだけど、何故かそこが気になった・・・やがて夜になるとナニモノかがその四角い穴から覗き込んでいる感覚があった。
ドラム録音を終え、そのままベース録音に突入した。
夜中、区切りの良いところで録音を中断し、疲労困憊な俺たちはマネージャーが実家から持ってきてくれた布団に倒れ込むように寝た。
部屋の灯りを消して暫くすると、Kyoのいびきが聞こえ始めた・・・ああ、寝たんだなと思っていると、入り口のドアがガチャと音がして開き、誰かが中に入ってきた。
俺たちは鍵を掛けて寝ていたので、我々以外に部屋の鍵を持っているのはマネージャーだけだったので、忘れ物か何かをして取りに来たんだと思った・・・足音が近づいてきたが、部屋の中も部屋の外も真っ暗なので何も見えなかった。
我々は入り口のドア側を頭にして布団を3つ並べて寝ていたんだけど、足音は我々が寝ている横を通り過ぎて、部屋の奥をウロウロしていた。
俺は少しでも早く寝たかったので「俺たちに遠慮して真っ暗な中で探さずに、電気を付けて探してサッサと帰ってくれ」と思っていたが、足音は我々の足下をウロウロ歩き回っていて、俺はドラムとベース録音の疲れからいつの間にか寝てしまった。
翌朝ベース録音を再開し、夕方に終了した。
そこからは録音を終えたドラムとベース組と俺は別行動になり、俺は引き続きその部屋に残ってギター録音、他の2人は借りているマイクなどを返却する為に機材車で東京に戻る予定だった。
レンタルしていた機材を機材車に積み込んで、一息ついていると東京で仕事を終えたマネージャーがホカ弁を持って自分の車でやってきた。
俺は弁当を食べながらマネージャーに「そういえば昨日の夜、あんな遅い時間に何を取りに来たの?」と聞くと、「来てない」というので、昨夜の出来事を話すと「夜中に1人でこんな寂しい所に行けないわよ!だって怖いじゃん!」と言い出した。
ああ、疲れていたから変な夢をみたのかと自分に思いこませようとしたところ、マコトが「その足音俺も聞いた。確かに誰かが鍵を開けて部屋に入ってきた」と言った。
でも、よく考えれば変だった。
俺たちは朝目覚めると速攻でベース録音の続きが出来るように、楽器のケーブルやアンプや録音機材なども「そのままの状態」で寝ていたから、真っ暗な部屋の中を立てかけてある楽器や床のケーブルなどに足を引っかけずに歩き回るのは不可能だった・・・特に足音が歩き回っていた部屋の奥には録音を終えたドラムセットをそのままの状態で置いていたので、部屋が明るくても何かに引っかかりそうだった。
ホカ弁を食べ終えたメンバーは借りていたマイクやスタンドを返す為、俺1人を残して機材車に乗って東京に戻っていった。
俺は数キロ四方民家の無い部屋でギター録音を開始した・・・。
つづくのだ。
2022-07-06 23:01