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涼しくなる話4 [不思議]

レコーディングスタジオの怪2




この話もひょっとすると、既にこのブログに何処かに書いているかもしれないが、それを確認するのも面倒なのでとりあえず書いてみる。

先日、稲川淳二さんのYOUTUBEで「昔の完全防音の録音スタジオで音がする」という怪談を聞いて思い出した。

もう20年以上前の出来事なので相当記憶が曖昧だけど、当時バンドの音源制作で出入りしていたレコーディング・スタジオでの出来事。

もう何という作品を録音していたのかも忘れたけど、ドラム録音をした翌日にスタジオに入るとエンジニアさんが興奮気味に話しかけてきた。

前日は、ドラム録音を終えた後も終電近くまで打ち合わせや作業をしていて、俺が帰った後もエンジニアさんはスタジオに残って1人でチャンネルの確認をしていたそうだ。

当時は、今の録音の様に演奏ミスをパソコンで後処理出来ないテープを使うアナログレコーディングだったので、最初にクリックやシーケンサーで作ったガイドなどを入れ、次にドラム、ベース、ギター、キーボードという順番で録音していた。

その夜エンジニアさんがテープを再生していると、歌が聞こえてきたそうで、一体どのチャンネルに入っているのか?を確認したそうだ。

その時のテープは、まだドラムしか入っていないもので、クリックの音と同期させたシーケンサーの音も別チャンネルに録音していたが、そこに歌は入っていない。

エンジニアさんはドラマーが歌いながら叩いているのか?と思って、どのチャンネルから歌が聞こえるのか?と、1つずつチャンネルを確認していったそうだ。

しかし、ドラムや歌などを録音するブースは本番になるとエアコンも切る位シビアなのに、録音時に歌に気づかないはずは無い。

当時のドラム録音は10トラック程だったと思うが、順番に1チャンネルずつチェックしても、どのチャンネルにも歌は入っていなかったが、全てのチャンネルを鳴らすと歌が聞こえたそうだ。

その歌というのが、ボーカリストの声では無い気怠い女性の声で、音程も変で歌詞も聞き取れない感じで、ちょっと普通じゃ無い感じだったらしい。

一体何処に入っているんだ?と探していると、当時そのスタジオのモニタースピーカーは俺のDTM機材と同じYAMAHAのNS-10Mだったんだけど、そこから聞こえるのでは無く、エンジニアさんが座っている椅子の後ろから聞こえている事に気がついたそうだ。

それを知った瞬間にエンジニアさんは後ろを振り返れなくなってしまい、そのままカニ歩きでスタジオから逃げ出したそうだ。

俺はそういう話しが大好きなので、そのときはエンジニアにかなり突っ込んで詳しく聞いたと思う。

幸いな事に謎の歌はテープに録音されておらず、作品は無事完成した。

しかし、歌謡曲などのレコードに入っているはずのない声や歌が入っているという不思議な話を聞くが、制作時には気がつかなくて製品になってから気がつくらしい。

プロのエンジニアさんの耳が録音中に気がつかないというのはあり得ないし、その後もトラックダウンなどで何度も聞くのに、聞き逃すというのも考えられない。

しかも、録音スタジオで出来たマスターはレコード盤やCDなどの製品になる前に、録音スタジオとは別のマスタリングスタジオで専門のエンジニアの手を通過するが、そちらでも誰も気づかずに製品になるというのはあり得ない・・・全員プロの耳だから。

声と言えば、稲川淳二さん十八番の怪談「少女人形」の前段部分、某フォーク歌手のライブ盤に「私にも聞かせて」という、病気でコンサートに行けなくて亡くなった女性の声が入ったという話は有名だけど、声は会場の天井付に設置されたマイクから録音されていた事が判っているが、そんな高い場所に観客は近づけないのに、ささやくような小さな声が録音されている。

新耳袋の中山市朗さんが言うには、心霊写真と同じで念がテープに焼き付いているので逆回転で再生しても「私にも聞かせて」と聞こえるらしい。

不思議なことってあるのだ。