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Good Night [My performance Archives]

スピード&パワー


月1でお届けしている「My performance Archives」、おかげさまで毎回俺がぼやきまくっている「阪神タイガース」コンテンツなんかとはアクセス数の桁が違います。

今回紹介する曲はTAMA MargeLitchの代表曲「Good Night」です。

MargeLitchは長く活動し、メンバーの入れ替わりも多いので「第何期」とかの呼び名を付けたいんだけど、時期を選択する基準が難しいので・・・とりあえず今回はボーカル:タマ、キーボード:まんぞを、ベース:Kyo、ドラム:ユウのラインナップを「TAMA MargeLitch」と呼ぶことにします。


・・・1986年に活動の場を大阪から東京に移した俺は、MargeLitchを結成しJudas PriestとRushの様なバンドを目指した。

俺の作曲のポリシーはバンドの看板である「ボーカリストが最も似合う曲を提供すること」なので、俺がギターとボーカルを兼任して自由に曲がかけた初期MargeLitchのトリオ時代は、俺がイメージするJudas Priest的なモノをやっているつもりだった・・・実際セカンドデモテープではJudas Priestのカバー曲をやっている。

その後俺がギターに専念し、ボーカリストの世良純子さんが加入してからは純子さんを生かす音楽性に舵をとった・・・つまり俺の作る曲は一緒に組むボーカリストによって音楽性が無節操に変わるのが特徴。

時は流れ、俺がやっていたメタルバンド「CHARON」のライブで対バンになった若き天才ドラマー高橋悠(以下ユウ)を見て、MargeLitchを始めたころのJudas Priest的DNAの血が騒ぎ、新しいMargeLitchの構想が芽生えた。

新生MargeLitchはキーボードが竹内(以下まんぞを)、ベースが関(以下Kyo)という元メンバーの重鎮達が支え、ボーカルは以前から一緒にやろう言っていたTAMAちゃん(以下タマ)に似合う音楽性を模索しながら作曲を開始し、TAMA MargeLitchが誕生した。

TAMA MargeLitchのテーマは「Speed&Power」。

ユウの光速ツーバスと俺とまんぞをの超速ツインリードを武器とし、バンドのアイコンを「薔薇」、フロントのビジュアルと「ライブパフォーマンス」を重視しようと考え、ドロンジョさま風タマちゃんの爆誕となる。


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ライブで1曲目に演奏する曲から次々と作ったが、「Body」「Solution」「Osirisの庭」などは結果的に俺のキャリアで最も長期間演奏した曲になった。

そしてライブで最後に演奏する曲を作る事になり、その曲をバンドのテーマである「スピード」に拘ることにした・・・Judas Priestの「PAINKILLER」がスローバラードに聞こえる様な超速の曲をTAMA MargeLitchの代表曲として作ろうと考えた。

また、俺はライブで最後に演奏する曲を作るときにやってみたいアイデアがあった。

俺の大好きなCheap Trickのライブ・アルバム「Cheap Trick at Budokan」の最後の曲の終わりでロビン・ザンダーが「チープトリック、グッドナイト!」と叫ぶのがカッコ良くて、タマちゃんにライブに足を運んでくれたファンの人たちに「感謝」と「また会おう!」というメッセージの歌詞をお願いして、ご機嫌な爆速チューン「Good Night」が完成した。





演奏はボーカル:タマ、キーボード:まんぞを、ベース:Kyo、ドラム:ユウ。

ユウくんのドラムが凄まじいのは言うまでもないが、特筆すべきはベースで、RockBassはルート弾きでメロを聴かせたいタイプとボトムを刻む2つのスタイル・価値観に大別されるが、前者は疾走系のボトム奏法を「単なる肉体労働」と嫌がる傾向にあるが、俺は「どちらも大好きなベーシスト」でもあるので「Good Night」でKyoが弾いているベースが如何に大変で難しい事か良く判る。

Tobiasの5弦というデッかいベースをジーン・シモンズ並に振り回すだけでも大変なのに、ここが重要だけど「楽器を鳴らして」あの速さで弾くのは至難の業。

Kyoは「音作り」も素晴らしく、「MargeLitch結成25周年記念ライブ」にゲストで顔を出してくれたんだけど、あの夜Kyoが出した音は1ミクロンの曇りもない完璧に俺の好みの音だった。

弾いているギターは「No-01ストラト」でピックアップはリアがEMG-85フロントEMG-81、ブリッジとナットはFLOYDROSE、アンプは真空管を入れ替えたSOLDANOのプリアンプ×2+エレクトロフォース・ステレオパワーアンプの組み合わせ。

当時の俺はハイゲイン・サウンドに拘っていて「EMG+SOLDANO」の組み合わせが俺のキャリアで最凶のハイゲインドライブだった。

動画の映像は当時のライブ写真を使ったスライドショームービーに、音声はデジタルリマスター音源でフルハイビジョンに編集。

なを、TAMA MargeLitchに関しては「A Night In The Rose Garden」と題して、現在ギターパートを新録音で差し替えリミックスしている「Wild Rose 2022」や、当時製作したプロモビデオの音声デジタルリマスター版などを1本の動画に編集中で、これを見てもらえれば君もTAMA MargeLitch博士になれるという内容になっている。

最後に、TAMA MargeLitchの動画を編集していて思ったのはタイミングかな。

TAMA MargeLitchは俺がユウくんに出会わなければ誕生しなかった。

俺は始めて対バンしてユウくんの存在を知ったタイミングを逃さなかった。

ユウくんのドラムって言葉では上手く説明できないんだけど「頑張って速く叩く」のとは根本的に別物で、バンドを組む相手を決めるときって、誰かと比べるとか年齢とかキャリアで無く「相性」だと思うけど、ユウくんのドラムは俺と同じタイム感で、ガチッとギアが噛み合って上手くシンクロした・・・テンポが速くなればなるほどシンクロが重要で、超速で少しでもタイミングがずれると何やっているか判らなくなる。

そして「Speed&Power」が、俺がバンドにおける様々な事情を取り外した「素」の状態で最もやりたい音楽性だから、あのタイミングでやれて良かった。

あのとき、TAMA MargeLitchの皆と「Good Night」を演奏できて幸せだったのだ。