思案に耽る

バイクショップ




雨の日以外の通勤は、健康のために地下鉄の駅を一駅手前から早歩きで歩いている。

健康の為だと全然足りないんだろうけど、とりあえず定期的にハアハア・ぜーぜーと心臓をバクバクさせている。

「足りないからやらない」では無く、頭で考えるより「やらないよりはまし」と自分に言い聞かせている。

月島駅の超長い地下通路から地上に出ると、今時珍しいバイクショップがある。

通勤時はまだ開店していない。

いつもは早歩きで店の前を通過していたが、ちょっと立ち止まって店内に陳列されているピカピカの新車達をガラス越しに眺めた。

一番良い場所に、今流行っているアドベンチャーバイクが陳列されていた。

燦然と輝くバイク達をガラス越しに、まるでニューヨークの黒人の子供が楽器店のガラス越しにトランペットを見る様な目で眺めていると、昔の自分を思い出した。

高速道路に乗れるか？とか、「国産でこの値段と言うことは、中国でライセンス生産されている様なのだと幾らだ？」とか、防寒の電熱ウェアの電源をバッテリーから引っ張るにはどうするんだ？とか色々考える。

カメラ付けてメットにマイク仕込んでバイク・ユーチューバーにデビューするか？とか、カメラをヘルメットに付けるとメーター映るし首振ると見ていて酔うからバイクにフォルダー取り付けるか？とか・・・

かなり長い時間店の前で思案していた。

急がないと遅刻なのだ。