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権力の魔力が切れた時 [日々のあれこれ]

取材規制の呪縛





ガースーが総裁選挙に出ないと言い出した。

これは俺なんかは全く予測出来なかった。

俺の東京五輪前の予想は、コロナ禍で五輪を開催していただき、管総理多くの感動をありがとうという世論が高まって衆議院選と総裁選を勝って第二次ガースー内閣誕生と思っていたが、見事に外れた。

五輪が盛り上がらなかったのは無観客に尽きる…せっかく日本人選手がメダルを取っても競技場が静まりかえっていては盛り上がらない。

この奇妙な現象を、俺はプロ野球で知った…最近は静かなのにも慣れたけど、最初は春のキャンプで行われる紅白戦か?と思うほど盛り上がらなかった。

大観衆というか、他人の集団が大声で盛り上がると例えそれがテレビ中継でも人間は反応してしまう。

人間は集団で群れて暮らす習性を持っているので、自分以外の人間に合わせようとする。

これを最初にテレビに導入したのがドリフで、全然ツマラナイ学芸会みたいなコントにオバチャンの笑い声を入れることで、自分は面白くないが他人は面白いと笑い転げているという事は、面白いという事なんだってなってしまう。

最近はカメラさんや音声さんなどのスタッフが、収録中に余りにも面白すぎて堪えきれずに笑ってしまいましたという「やらせ笑い」が主流になって久しい。

だからBSテレビのCMなどは、峠を越えたタレントがおばちゃん達の前で商品の素晴らしさに驚いたり、値段の安さに驚くと、おばちゃんも「わぁ~」とか「えぇ~!」とか煽り、視聴者が冷静になる前に「今すぐお電話ください!30分以内にお電話頂くと、フワフワ枕もお付けいたします」と急かす。

F1-GPも同じで、今時ガソリンエンジンでレースをすると地球環境の問題が出てくるので、数年前に電気自動車に切り替えるという話が出たことがあった。

しかし、当時CEOだったバーニー・エクレストンが認めなかった…エンジンのエキゾーストノートが無ければ「盛り上がらない」というのが理由で、電気自動車のレースは別に行われるようになりF1はガソリンエンジンのままとなった。

もちろんバッハも知っているから観客を入れろと言い続けていたが、感染者数が多いのも想定外だったかも。

オリンピックが盛り上がらずコロナ対策も失態続きで、大人気だったパンケーキおじさんが一気に失速した。

これまでガースーの記者会見は安倍政権からの「追加質問を認めない」という自民党独自ルール。

これは記者が「1+1は?総理」と聞いて「1.2」とか適当な事を答えても、記者は「え?2なのでは?」と聞き返せない。

だから何を聞かれても「それには当たらない」とか、適当な事を言っていればその場を逃れることが出来る…安倍政権からは、記者どころか国会でも説明責任は放棄して良いという、質問にまともに答えなくても良いという事になっている。

だからガースーも国会でコロナ禍での五輪開催を質問されても「安心・安全」と呪文を唱えるだけで何一つマトモに返答しなかった。

そして、ガースーが次の総裁選に出ない事を説明する会見があった。

ガースーは記者達の前で、コロナ対策に専念する事を理由に総裁選を見送ると短くコメントした。

それを聞いていた記者達が質問をしようとすると、ガースーはクルッと回れ右をして去っていった…「一々説明なんてしてられるか」ってなもんだろうけど、俺が驚いたのはここから。

これまではどれだけデタラメな事を言っても、それに刃向かってガースーから反感を買うと記者会見から外されてしまうので、どこの新聞社も意味不明な返答でも絶対服従で大人しく取材していた。

それが、ガースーの終わりが決定した途端、これまで通りの態度で質問に答えずに逃げるガースーに記者達の怒号が起きた!

権力って恐ろしいなと思った。

権力を持っているときはどんなデタラメも許されるが、失った途端罵られてしまうのだ。