今宮純さん逝く

日本のモータージャーナリストのパイオニア



モータージャーナリストの今宮さんといえばFIグランプリなんだけど、フジテレビでF1中継が始まる前は国内レースのピットレポーターだった。

男女ペアのピットレポートで、女性は安藤優子さんだった。




でも、今宮さんは当時からヨーロッパにF1の取材でビデオを作ったりしていたので、昔のF1にも滅茶苦茶詳しい。

当時のモータースポーツは、何故か皆長髪で、今宮さんもロン毛にパンタロンなんかをはいて「エンジンなの！」と、何故かオカマ言葉でピットから中継席に伝えていた。




当時のモーターレースの番組は深夜枠の地味な存在で、中島悟さんがF1にデビューした年もそういう流れは変わらなかったが、実況アナウンサーが古舘伊知郎さんになるとF1人気は一気に盛り上がった。

日本中がバブル景気で狂ったようにわき上がる中、フジテレビのF1中継もアイルトン・セナと一緒に大ブームを巻き起こした。

バブル期は日本のモーターレースの全盛期で、開局間もないWOWOWでは2輪の全日本が全戦中継されていたり、テレビの深夜枠でレースドライバーを募集したりしていた。

F1全盛時はF1中継以外に古館さんの「ポールポジション」というF1の専門番組があって、F1中継でお馴染みの顔ぶれが出演していた。




オフシーズンになると出演者達がカートレースで競う事があったが、超ゴキゲンに羽目を外した古館さんが、ツナギにヘルメットで張り切る今宮さんの走りを実況しながら、ヤバい問題発言を連発していた…今なら放送出来ないと思う。

当時の今宮さんのコメントは、長年レースを現場で見てきているベテランの通な目線で、プロレスからレース界に入ってきたF1初心者の古館さんには有り難い存在だったと思う。

セナが亡くなって古館さんが去りF1ブームは終わったが、今宮さんはその後もF1に関わり続けた。

マニアックな解説陣のオタクコメントの合間に、路面温度とか、どのドライバーが何回目の出走だとか、記録係みたいな冷静なコメントが多かった。

やがて日本での中継は、地上波からBSへ、スポンサーが付かないので有料チャンネルへと沈み込み、遠くで何かやってるみたいというモノになった。

俺もフジテレビが中継を始めた年から、毎年全戦録画しながら観ていたが、数年前から観ていない…時々ホンダが勝ったりしたらYOUTUBEでダイジェストを見るので充分だ。

化石燃料を使って大きな音を出して走り回るモータースポーツは、もう完全に時代遅れ…結果として日本にモータースポーツ文化は根付かなかった。

いつの間にか、今宮さんも年老いていた。




凄く寂しいが、F1も今宮さんが居なくなった事でオシマイって感じなのだ。