根性で発見

捜し物



去年のキャンプ地で少女が忽然と消えた事件を筆頭に、現代の神隠しと言われる事件は多い。

俺も今日は神隠しレベルの強烈な捜し物探索で疲れ果てた。

昨夜、職場でスマホから寺ちゃんに過去の音声データ保存の話になって、まだまだ作業中で頓挫しているメディアの話になった。

俺の場合、カセットテープのデジタル化に、長期ブランクが生じて、再開しようと思ったらデッキが動かなくなって…その時点で放置している。

今回も、再生機器が動く間に何とかしなければと、再生装置を探すことから始めた。

大体の保存場所は想像が付いたので、真っ先にそこを探したが無かった。

小さなモノでは無い…大きな段ボールの箱に入れているので、どこにでも突っ込める大きさではないので、収納場所は限られるはずなんだけど見つからない。

いつもなら早々に諦めて、再び何ヶ月も放置になるんだけど、今回は納得がいかないの徹底的に探してみることにした。

いや、実際格納する場所は台所の、本来なら鍋とかを収納するスペースなんだろうけど、俺の場合生活用品はほとんど無いので、そういう場所は引っ越した時から何も出し入れしていない空きスペースになっている。

台所の全てのスペースを調べたが全部空っぽで、このスペースを有効に使えばかなりのものがスッキリ整理出来ると思った…新しい発見だった。

残りは消去法で行けば、押し入れしか無いので、3カ所ある押し入れを片っ端から懐中電灯を付けて調べた。

大きな段ボールの箱を探すだけだから、数分で見つかるはずなのに…どこにもない。

途中から、段ボールから出して、他の箱に入れ替えたのでは？と、引っ越し時から全く開けていなかった他の段ボールを開けていると、多量の未デジタル化の８ミリビデオテープが入った箱が出てきた…果たしてこれらを再生できるのか？

調べているうちに、「この辺りは何年も一切手を触れていない」と思いこんでいた箇所から、最近血眼になって探していたギター用のケーブルが出てきたりして、遂に俺も呆けてきたか？と「自分の記憶」に自信を失っていった。

そして遂に「これは神隠しだ！それ以外に考えられない！」と諦めた。




ただ納得いかないし、何よりも不思議だった。

小さなモノならいざしらず、大きな箱が無くなるはずがない！と自分を鼓舞して、押し入れの一番奥を…本来ならそんな奥に押し込むはずが無いんだけど、懐中電灯で照らすと、まるで手品の様に奇跡的にそこにあった。

後で考えると、俺が段ボールでも隠れるならそこしか無かった。

「ここには無いだろう」「こんな所に押し込む筈がない」という思いこみは恐ろしいなと思った。

ある場所が判ると疲れがドッと出てきて、ナントナク納得してしまった。

作業はまた今度なのだ。