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ピアノの世界 [日々のあれこれ]

歴史と伝統[TV]



テレビでピアノコンクールの舞台裏を紹介するドキュメンタリー番組を見て驚いた。

ヨーロッパで開催されるコンクールで使われるピアノは演奏者が選ぶシステムで、複数のメーカーがエントリーして優秀な調律師を付けている。

表舞台では演奏者の戦いだけど、裏側ではピアノメーカーの戦いだった。

ピアノは調律によって鍵盤の重さや深さ、音の硬い柔らかいも自在に変える事が出来る。

ピアノの王者はSteinway & Sons、それにヤマハとカワイが懸命に挑んでいた。

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審査は、最初がピアノの独奏で、最終審査がオケとの競演で、弾きやすさとかベテラン調律師のサービスなどで日本メーカーを弾いていた人も、最後のオケとの競演となるとSteinway & Sonsに乗り換える人が出てくる。

つまり、演奏者はメーカーと契約しているのでは無く、途中で乗り換えも出来る…ただ、乗り換えた人は上位には行けなかった。

優勝は最初から最後までSteinway & Sonsを引き続けた韓国人男性が優勝した…数年前の再放送だったけど日本製品不買なんだと思う。

健闘したのはヤマハで大勢が決勝に勝ち進んだが、舞台に出せるピアノは1台だけで、全員の好みに合わせるのが困難だった。

決勝寸前に何人もの奏者がヤマハからSteinway & Sonsに変えた事を、ヤマハの調律師にマイクを向けると一瞬不思議な笑みを浮かべ「聞かないでよ」と答えた。

優勝したSteinway & Sonsは、コンクールが開催されたホールの常設ピアノで、他のメーカーは持ち込みという強烈なハンデがあった…Steinway & Sonsはそのホールの特性を知り尽くしていて、コンクール直前に運び入れるメーカーはピアノを調整するだけで精一杯でホールの特性まで手が回らない。

つまり、最初から大人と子供の戦い位の差があった…文句があればホールの常設ピアノになれという事で、ピアノ製作に関してほぼ全の特許を持っているSteinway & Sonsの歴史と伝統には抗えないという事なのかもしれないが、それよりも驚いたのが演奏者達。

王者Steinway & Sonsに日本メーカーが涙ぐましい努力で善戦する中、日本人の奏者が見あたらない…テレビが取材した年は、どこかには居るんだろうけど上位に見あたらなかった。

番組に登場したのは、ロシアと中国人の女性だった…そして優勝したのは韓国の男性。

何かに似ているなと思ったのが、モータースポーツ。

F1もホンダが頑張っているし、MOTO-GPなんてヤマハとホンダが上位を独占しているのに、日本人ドライバーやライダーが見あたらない。

なんとなく、日本の未来を予兆している気がしたのだ。