ラグビーワールドカップ2019

日本 vs. スコットランド プールＡ


俺はこれまでラグビーのルールさえ知らなかったが、それはやはり応援しようと思う日本チームが弱すぎて試合が面白くなかったからだと思う。

2004年の日本VSスコットランドは日本 8ー100 スコットランドだったらしいので、そういう一方的な試合は見ても楽しくない。

今回の日本代表（以下：ブレイブ・ブロッサムズ）の最大の功績は、日本中にラグビーを布教した事だと思う。

俺なんかも、ラグビーの数多い反則などのレギュレーションを、ジャーナリストの神保さんの動画で楽しく学んだ。

それと、ブレイブ・ブロッサムズの大活躍を観ていると、ルールや試合展開の要点なども自然に頭に入った…今回のワールドカップで俺と同じようなニワカファンが沢山誕生したと思う。

しかし、ラグビーが過酷なスポーツという事は知っていたが、勝ち進めば相手ドンドン強くなるので試合は過酷になる一方だ。

日本の攻撃はリズムが速かった…MOTO-GPの伝説ロッシが勝ちまくっていた頃「スペクタロ」という言葉が流行ったが、松島と福岡のツインフェラーリ攻撃はスペクタルだった！

それに対し、スコットランドの攻撃は無骨なヘビー級だった…黒人選手とかも俺の見た限りでは見あたらない。

シンプルな作戦で特別な事は何もやらない…淡々とボールを抱え、蒸気機関車の様に強烈なトルクでジワジワ前進する。

突進を阻止しようと、命がけで立ち向かう日本選手がポンポンはじき飛ばされる…スコットランドは怪物集団だ！

俺は黄金のミドル級の頂点を決める戦い「マービン・ハグラーVSシュガーレイ・レナード」の試合を思い出していた…足を使って速いジャブを打ち込むレナードに対し、追う足は無いが諦めずに重いジャブをコツンコツンと実直に繰り返す。

最初にタッチダウンを奪ったのはスコットランドだったが、その後の日本のスピーディーな反撃について行けない。

日本が大きくリードしたが、後半戦からのスコットランドの巻き返しが凄かった。

ズンズンズンズン、匍匐前進で…日本は相手1人に対して2人で止めようとするが止められない。

日本からすれば最も避けたい消耗戦だ。

ターミネーターの様に前進し続ける怪物との死闘は、残り時間との戦いとなる…最後の数分が永遠の様に長かった！

そして遂に機関車が止まった…ブレイブ・ブロッサムズ歓喜の勝利だ！

で、コレって何だ？と、こんなのを見せられると人気が出るのは判るけど、その理由は何だ？と思った。

勝ち残る強豪チームの民度の高さが大きく関係していると感じた…強豪チームの大半はイギリス領だから、まず試合が紳士的な所に立脚している。

倒れ込んだ選手の後頭部を蹴り上げるようなテロ行為が「愛国だ」と自国でもて囃される様なマナーも知らない姑息な後進国が見あたらないのが、清々しい印象に直結している。

ラガーマン達は日本ではとっくに消えて無くなってしまった 「見返りを求めず、だれかのために無心で頑張る」自己犠牲の塊で、知り合いが多いだけで友人がいなくなった日本人の価値観から見れば凄く斬新に映っているんだと思う。

また、ラグビーもルールの元に行われるスポーツなんだろうけど、ボールを持って走っている丸腰の人間に、背後から大男が全力でタックルをかまして地面にめり込ませるんだから、1つ間違えば大けがに繋がる…今回の試合でも韓国の具智元が怪我で途中交代した。

本当の勇気が試されるから、見る側が熱くなるんだと思う。

俺が長年全戦観戦していたF1を観なくなったのは、エンジン音がショボくなったのと、かっこ悪いコクピット保護デバイス「ハロ」の装着だ。

昔のF1のマシンは、今とは比べものにならないほど危険な乗り物で、棺桶にロケットエンジンを付けたようなのに乗る勇気を称えてF1ドライバー達は「パイロット」と呼ばれてリスペクトされていたが、最近のF1マシンは醜いバーを取り付けたりして底抜けに格好悪い…少しはインディーカーを見習えと言いたい！

それと同じで、ラグビーを観たらプロテクターだらけのアメリカンフットボールなんて観れない、どこまで臆病なんだと思ってしまう。

ラグビーは正々堂々と丸腰でクリーンに戦う、その姿は武士道にも通じる現代の戦士で、本当の勇気が何かを教えてくれる…制約に縛られた近代社会の中で押さえつけられている魂というか、人間が本来持っている本能を呼び覚ましてくれる数少ない崇高なスポーツなんだと思う。

あと、単純に格好良い人達の集団で、俺は 「なんと気持ちのいい連中だろう」と言った映画「ルパン三世 カリオストロの城」のラストで庭師のおじいさんが、去りゆくルパンと銭形警部を見て発した言葉を思い出した…ラガーマンは細かいことを気にしないタフな気持ちの良い人達。




ニワカファンなので何も判らないが、次の南ア戦も、選手、スタッフが一丸となった「ワンチーム」で勝って欲しい！

日本シリーズに天皇陛下即位式と、今年の秋は盛りだくさんなのだ。