風水

真偽


あるドキュメンタリーの動画を見て驚いた。

イジメを苦にした次男が自殺し、その後長男も自殺、三男は家を出ていて、残った父親は全国から送られてきたイジメを受けた子供と交流を続けている…みたいな内容だった。

次男が自殺した時は、日本全国にその悲惨さが伝えられたので覚えている人も多いと思う。

もちろん虐めた奴が処罰されなければいけないが、余りの凄まじい状況に…俺は他に別の要員があるのでは？と引っかかった。

昔、実家の近くの家がオカシイと母親が言い出した事があった。

そのとき母は風水に凝っていて、本を買ってきたりして勉強していた。

その母が、近所の家が風水的に見ると「男性は廃人になる」と、かなり厳しい事が書かれていたらしいが、その頃は若いお父さんと小さな男の子が平和に暮らしている様に見えた。




やがて、母も風水なんて飽きてしまって、俺は東京に住むようになり、実家も南紀白浜に引っ越した…誰もが近所の家の風水の事など忘れていた。

ある時、俺が実家に帰省すると、風水の家のお父さんが精神病院に入院したと聞いて驚いた…更に数年後、入院していたお父さんが、一時帰宅許可が出た時に電車に飛び込んで自殺したと聞いた。

既に大きくなっている男の子は、一日中自宅の周りをグルグル歩き回っているらしいと聞き「やはりそういう事はあるんだ」と思った。

ある時、注文建築専門の工務店の社長と話す機会があった。

オーナーと打ち合わせて図面を書くところから始める完全オーダーメイドの建物なんだけど、図面を書くときに鬼門などの風水的な事を考えますか？と聞くと、「そういうのにガチガチに捕らわれないが、明らかにダメと思われる事はやらない」との答えだった。

「それでもオーナーが風水を無視して要求してきたら？」と聞くと、「過去にそういう人はいなかった」らしい。

俺はあると思うのだ。