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葬儀前のアレコレ [日々のあれこれ]

困ったこと[あせあせ(飛び散る汗)]


俺と同じ状況が待ち受けている人に何かの参考になるかと思うので、少し書いてみる。

父が亡くなる前に、俺が最も困った事は病院だった。

俺は全く詳しくないんだけど、今時の病院は入院期間が3ヶ月とか、下手すれば最近もっと短くなっているかもしれないが、とにかく末期癌だった俺の父も亡くなる2週間前までは普通に自力で車を運転して生活していた。

昔は末期癌といえば全身管だらけというイメージだけど…今はそれだけ薬が良くなっているんだと思う。

しかし、治療の施しようが無くなった末期癌患者が緩和ケアで入院となると、隣町に住んでいる人なら何事もノンビリ出来るんだろうけど、行き来する家族が遠方に在住なケースば現地で動ける時間が限られるので前倒しで遺品整理の方向に動く事が良いと思う、俺はそうしていた。

遺品整理といえばお宝探しみたいに聞こえるが、俺の場合は止めなきゃならない様々な契約の連絡先や、年金や保険の証書探しで苦労した…ただ、そういう情報を東京に持ち帰って自宅で落ち着いて整理する事が出来たのは、後々後手を踏まずに乗り切る助けになったと思う。

遠方在住の場合は亡くなってからでは、新幹線に飛び乗ってから先はやることが多すぎるので、その数日前が重要だと思う。

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そんな中で、最も知りたいのが父の容態だった…職場の休みの問題もあるので、ぶっちゃけ何時まで持つか?を知りたいんだけど「人間の寿命だけは誰にも判らない」といわれて答えて貰えなかった。

その結果を知っていれば最初から聞かなかったのに…と、「こいつ東京から来ても親の心配なんてしてないじゃないか」と思われているんじゃ無いか?と自己嫌悪に陥った。

また、ハッキリしている重要な事も関係者から聞き取るのが大変だった…つまり、俺に気を遣って言葉をオブラートに包んでくれるんだけど、「それで、お父様がお亡くなりになられますとゴニョゴニョ」と急に声のボリュームが聞き取れない程に下がる。

いや、こっちはそのゴニョゴニョの部分が最も知りたい核心部分なんだけど、とにかく知りたい事の大半はゴニョゴニョと急にゲインが下がりまくるのには困った…まあ、大声では言えないのは判る。

あと病院の重篤な患者の部屋が並ぶエリアへの家族の出入りは、見舞客では無いので24時間出入り自由なんだけど、俺は医師では無いからぶっちゃけ病院にいても何の役にも立たないので、とりあえず「また明日来ます」と病院を出る事になるんだけど…勝手に帰って良いモノなのか?とかのしきたりが判らない。

とりあえずナースセンターみたいな詰め所に出向いて、担当看護士さんに大体の俺の動きみたいな事を伝えていたが、本来はどうするのが正しいのか?は最後まで謎だった。

本来は、患者や家族と病院の間を取り持つのがソーシャルワーカーなんだけど、これはどの病院でも人手不足で、俺の場合も相手が多忙すぎて殆ど会うことは出来なかったが、その代わりに力になってくれた男性看護士さんがいたので助かった。

ただ、最後までその方の病院での立ち位置とかは判らなかった…ただ、その辺りの探り合いをする時間がもったいないので「筋違いのお話でしたら申し訳ないですが」とかの前置きをした上で、ガンガン質問攻めにしたのが良かったと思う。

知っていることは教えてくれたし、判らない事も調べてくれた。

東京から奈良の病院に飛び込んだ俺には、毎日病院で顔を合わせている内に信頼関係が芽生えてくる…みたいなノンビリした時間が無いので、初対面の人たちを相手に何処まで立ち入ったコミュニケーションが取れるか?がポイントだったと思う。

でもそのときは、まさにこの部分がアクセルの踏みどころだと思った。

ここで完全燃焼というか「やりきった感」を俺が得ておかないと、その一段落して後落ち着いた時に「もっとしてやれる事があったのでは無いか?」と自責の念に苦しむだろう…少なくとも、俺は自分にそう言い聞かせて飛び回った。

病室の枕元で悲観に暮れている時間があれば、自分に出来ることを見つけて…例えそれが虚しい空回りだったとしても、可能な限り飛び回る事を奨める。

判らない事だらけの中で、自分を救ってくれるのは自分なのだ。