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孤独な片付け [日記]

遺品整理[雪]


奈良に着いて葬儀社さんと合流、亡くなった父親を病院から葬儀社に移したものの、火葬場が激混みで火葬まで数日待たされた。

火葬しないと、埋葬時に必要な書類がゲットできない。

他の市町村の火葬場を使うことも出来るが、予約方法が違ったり、その土地で納税していないから料金が高くなったり色々あるらしいが、いずれにせよ奈良市だけでなく、何処も似たような混み具合らしい。

住む人がいなくなった父の家に行き、火葬待ちの間にたった1人で冷え切った部屋の遺品整理をした…本当は役所など様々な手続きを行ないたかったが、運の悪いことに土日を挟んでいた。

とにかく、1秒も無駄にせずというか、無駄な時間が1秒も無く、身も心も凍りつく寒々とした1階のリビングと和室、2階の3つの部屋を整理した。

誰もいない家の中を動き回っていると、キューブリックの「2001年宇宙の旅」で、唯一生き残ったボーマン船長が狂ったHALの思考部を停止させるシーンを思い出した。

突然たまらなく「2001年宇宙の旅」が見たくなって、東京に戻ったら真っ先に見ようと、その事をモチベーションに整理を続けた。

平日になれば即カードや保険などの解約手続きに入れるよう、書類や証書をかき集めて分類した。

遺品と言っても、膨大な量の写真アルバム位で、そういうのを東京に持って行っても見ないし…大半は処分したが、それでも結構な量の写真が残った。

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今回最も役に立ったのが父が乗っていた車で…奈良市では車が使えないと絶望的に動けない。

清瀬だと、うちからコンビニまで徒歩2分だけど、奈良ではコンビニに行くにも車という世界。

奈良に着いた最初の夜は、父の車に乗って阪奈道路を走り、最近父とよく行っていた中華料理屋に行った…カウンター席で食べたけど、隣に父がいるみたいで一人で食べている気がしなかった。

ただ、これから待ち受けている様々な事を考えると、とてもじゃないが悲しいという感情は起きなかった。

奈良への帰省はこれが最後で、次回からは旅行者として訪れる地になるんだなと思いながら、ハンドルを握った。


俺が奈良にいた時は大雪注意報が出る極寒の日々で、寒風が吹き荒れて家屋全体が底冷えで…だだっ広いリビングダイニングは巨大エアコンを全開にしても追いつかない程だった。

父が寝ていたベッドは、元は俺のベッドだったんだけど、さすがにそこで寝るのは気が引けたので2階の和室で寝ようとしたが、強風で近所の家の雨戸がバタバタ音を立てたりするのが気になって寝れなくて、布団を1階のリビングに運んで寝たが、慣れない場所で寝るので熟睡できなくて日ごとに疲れが蓄積されていった。

リビングはフローリングの床の上に絨毯を敷いているんだけど、床下から来る冷気が凄くて、敷き布団の上に電気毛布を敷いて温度設定を最強の「ダニ退治モード」にして、パネルヒーターを布団ギリギリまで接近させてやっと寝れる感じだった。

よくわからないが、とにかく強烈な奈良の寒さは堪えたのだ。