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マスタリングの嗜好 [DTM研究会]

デモテープで試してみた[るんるん]


音源製作にはマスタリングという行程がある。

例えばCDを作るとして、レコーディングスタジオでマスターを作ったのは、製品になる前に曲間のブランクが何秒か?とかフェードアウトのカーブがどれ位か?とか、各曲のレベルを合わせたりする。

その中に音質補正というのがある。

具体的には、イコライザーなどを使って補正するんだけど、これが難しい。

帯域を上げ下げするだけで無く、コンプレッサーを使って音の全体像を作ったり、リミッターを使って音圧を上げたりするんだけど、それぞれのエフェクターが連動していて、Aを動かすとBに影響が出るという感じなので一概に「何をどうすれば良い」というのが無い。

要するに「最適だと思う音に近づけていく」んだけど、この最適の感覚が変わってきた。

原因は最近ベースを弾いているからだと思う…バンド全体のバランスに注目するようになった。

ギターばかり弾いていた頃は、「上物」のギターからの視線というのがあって、細かい部分に拘っていて全体が見えなかったが、ベースを弾くようになって細かい部分への拘りが消えた。

実際にバンドでベースを弾いてみれば一目瞭然だけど、俺の場合ギターを弾いていると各パートに対して「こうあるべき」という明確な嗜好があるんだけど、ベース担当だと不思議にそういう拘りが消える。

勿論最初は、ギター担当から見る理想的なベースを再現しようとしたが、数年で消えてしまった…特徴が無くなって常識的な音になったが、今となればそれが真実なのかもしれない。


俺の嗜好が変わってくると、マスタリングでの「目指す方向」も変わっているかもしれない…。

そこで、最近聞データを整理していて発掘したデモテープがあったので、俺の今の耳でマスタリングしてみる事にした。

デモテープなので、マスター音源でもマスタリングは行なっていない…本録音前の確認用の非売品などは低限の手間でトラックを纏めただけで、演奏の精度も「中身が判れば良い」と割り切っている代物だけど、そんなものでもマスタリングするとかなり印象が変わった。

今のベース担当からの感覚でやってみると、以前とは逆にベースがベースらしい音で聞えるという結果になった。

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1曲丸ごとサンプルを作ろうと思ったが、このブログの1つのファイルの大きさ制限を越えてしまうので、とりあえず今回は「こんな感じです」という事で短く切ったテイクで比較してみる。

今回の実験に使ったものはMargeLitchの「悲劇の泉」のアルバム製作前に作った非売品デモテープで、演奏はVo世良純子、Dr長倉哲朗、Ba神保宗久、Gu&Key俺で…確か全てSGで弾いている。

懐かしいね~、悲劇の泉。

こちらがオリジナル。




マスタリングで使用エフェクターはコンプ→イコライザー→リミッター→マスターゲインという定番機材。

こちらがマスタリングしたテイク。




音の悪いデモテープでもそこそこ聴ける感じにはなるかなと思った。

マスタリングは弄り回すとキリが無くなるので、煮詰まる前にサッと勢いで決めてしまうのがコツだと思う。

マスタリングは奥が深いのだ。