興福寺 中金堂 [寺社・城・仏像・ミュージアム]
2018秋期見仏記 Vol.02
永らく工事中だった興福寺の中金堂が完成したので行ってみた。
落慶記念の案内が来ていたけど、スケジュールが合わなくて断念したが、とにかくこの時に秋に奈良に行くことは決めた。
どうせ観光シーズンど真ん中の「混んでいる奈良」に行くなら、特別公開される期間限定モノ狙いで行きたいと思っていた。
勿論主目的は中金堂だけど、調べてみたところ興福寺は北円堂の特別開扉と、今年の元旦から耐震工事を終えた国宝館がリニューアルオープンしていた。
俺としては久しぶりというか、丁度1年前に奈良国立博物館の「正倉院展」以来の奈良公園だった。
近鉄奈良駅を出ると、予想通りの混雑だった。
思うに、昨今の観光客の増加で、やる気の無かった奈良の商店が垢抜けてきた気がする…これは良いことだと思う。
古いモノは大事に守り、新しいモノは最先端というのが、これからの日本の観光地のあり方だと思う。
ひがしむきの近鉄奈良駅側の付け根にあるローソンに飛び込んで、東京でカメラに入れ忘れたSDメモリーカードを買う…これで見仏用カメラが復活した。
みやげもの屋を数店チェック、特に変わったモノは見あたらなかった。
ひがしむきを三条通方面に歩き、途中の路地を左折すると辺り一面けたたましく中国語が飛び交っており、外国に行った気分。
やがて左手に興福寺北円堂が見えてきた。
去年の5月以来だ!
入場券を買って、堂内に入る。
やや混んでいるが、東京の博物館の特別展に比べれば楽に見れた。
法隆寺の夢殿の様な八角円堂の北円堂は普段は公開されていないが、ここは運慶仏の宝庫で俺の好きな運慶晩年の名作弥勒如来が安置されている。
もちろん、去年上野のトーハクで開催された特別展「運慶」の代表的存在だった無著・世親像は北円堂本尊の弥勒如来の脇侍だ。
やはりというか、当たり前なんだけど弥勒如来が良かった!
北円堂から出て振り返ると、中がよく見えていたのでシャッターを切った。
大満足で観光客でごった返している南円堂に進む。
南円堂は運慶の父親である康慶の不空羂索観音坐像が安置されている八角円堂で、一般公開されていないので今回は中に入ることは出来なかったが、以前入った時は驚嘆の連続だった。
本尊の不空羂索観音も凄かったが、息子の運慶作の四天王も圧巻で、トーハクでの「運慶展」にも来ていて大迫力だったんだけど、年に1日しか開扉されない南円堂に戻ってしまったので再び滅多に見れなくなると思っていたら、新しく中金堂が出来たことで仏像の移動があり、南円堂の四天王が中金堂に安置される事になった。
いつもの様に手水舎の龍にご挨拶…周囲に掛けられた絵馬に外国語での願い事が増えていて驚いた。
南円堂は西国三十三カ所の第9番札所なので、御朱印を貰う人の列が出来ていた。
南円堂の御朱印は格好良い。
南円堂前の売店もチェック。
少し小綺麗になっていて、見慣れない品物も置いてあった。
これまで特性お弁当に使っていたと思われる…
「興福寺精進ふりかけ」が商品化されていた。
売店の前のベンチは完全に中国人に占領されていた…今や日本のインフラは外国人旅行者の為に存在している感じ。
中金堂方面へ向かう。
とりあえず一段高くなっている南大門跡へ。
猿沢池を撮影。
振り返ると、皆さん正面に見える中金堂を撮影していた。
中金堂の金色に光る鴟尾や、堂中の仏像も見える。
中金堂への拝観チケット売り場は列が出来ていた。
チケットを買って柵の中へ。
中金堂は外から見ると普通に見えるけど、近づくにつれてその巨大さが伝わってくる。
中金堂は夜になるとライトアップされている。
単に明るく照らすだけで無く、結構凄い感じ。
その為の機材がアチラコチラに点在していた。
堂内は写真撮影禁止だけど、中金堂の前は外から中が見えるので写真撮影をする人たちで賑わっていた。
南円堂から移動になった国宝の増長天。
本尊の釈迦如来は江戸時代のもの。
流石に堂内は混んでいたが、天井が高く意外に明るくて仏像がよく見えた。
大満足で中金堂から出ると…誰も見向きもしていなかったけど、中金堂の後ろに隠れるように去年開催された「阿修羅・天平乾漆群像展」が行なわれた仮講堂があった。
俺は仮講堂も大好き。
そして、リニューアルされた国宝館へ進む。
俺の記憶違いかもしれないけど、入り口が変わった気がした…以前物販コーナーがあった辺りが入り口になっていた感じ。
チケット売り場で入館に手間取る外国人が多く、気持ち話判るが…疲れ切った受付女性係員のヒステリックな応対が残念だった。
館内は、東京の博物館の特別展からすれば問題ないレベルだったが、狭くなった気がして改装前の方が良かったと思う。
そして乾漆八部衆立像のコーナー…迦楼羅像が最初だった。
阿修羅像の前に立つ。
この仏像は不思議なんだけど、毎回違って見える。
恐らく見る立ち位置を数センチずらしても、表情が変わって見えるんだと思う。
今回は凄く幼く見えると同時に心が癒された気がした…ため息と共に「これはやはり光明皇后の優しさだな」と思った。
そして特別展示の梵天・帝釈天。
明治の廃仏毀釈で東京の根津美術館に離れた帝釈天立像が里帰りして、梵天との「再会」を果たした。
間近で長い間堪能できたが、実物は素晴らしかった…写真写り悪すぎだと思った!
これは仏像好きなら見なきゃダメだと思った。
国宝館から出て、奈良公園を歩いた…そこには数十年前の俺がいた。
参拝客が鳴らす東金堂の鐘の音が心地よい。
光明皇后が建立した五重塔の前では…
皆が思い思いのポーズで記念写真を撮っている。
寺は良い…常に変わらないから。
でも本当に変わっていないのか?と思って、興福寺今昔写真展に行ってみることにした。
三重の塔の奥にある興福寺会館で開催されていた。
古いのは明治時代の写真から現在の写真までを並べてあって比較できるが、寺は変わらなくても周囲の街は劇変しているのが良く判った。
興福寺会館を出て、大好きな三重の塔を見上げた。
以前初層特別公開で柵の中に入ったときに感激した事を思いだした。
猿沢池に下って、さてどうしようか?と立ち止まった…タバコを止めてから休憩という習慣が無くなってしまって歩き続けていた。
東大寺ミュージアムもLED交換工事を終えてリニューアルしているし、国立博物館では大人気の正倉院展が開催されている…。
でも、もう俺には南大門前の鹿と観光客をかき分けたり、国立博物館の長蛇の行列に並ぶ体力が無かった。
奈良には「奈良公園でデートすると別れる」というのがあって、つまり疲れてヘトヘトになってしまうので、ちょっと物足りない位で撤収するのが良い。
すっかり中国化している三条通を歩く。
何度来ても奈良公園は体力勝負なのだ。
永らく工事中だった興福寺の中金堂が完成したので行ってみた。
落慶記念の案内が来ていたけど、スケジュールが合わなくて断念したが、とにかくこの時に秋に奈良に行くことは決めた。
どうせ観光シーズンど真ん中の「混んでいる奈良」に行くなら、特別公開される期間限定モノ狙いで行きたいと思っていた。
勿論主目的は中金堂だけど、調べてみたところ興福寺は北円堂の特別開扉と、今年の元旦から耐震工事を終えた国宝館がリニューアルオープンしていた。
俺としては久しぶりというか、丁度1年前に奈良国立博物館の「正倉院展」以来の奈良公園だった。
近鉄奈良駅を出ると、予想通りの混雑だった。
思うに、昨今の観光客の増加で、やる気の無かった奈良の商店が垢抜けてきた気がする…これは良いことだと思う。
古いモノは大事に守り、新しいモノは最先端というのが、これからの日本の観光地のあり方だと思う。
ひがしむきの近鉄奈良駅側の付け根にあるローソンに飛び込んで、東京でカメラに入れ忘れたSDメモリーカードを買う…これで見仏用カメラが復活した。
みやげもの屋を数店チェック、特に変わったモノは見あたらなかった。
ひがしむきを三条通方面に歩き、途中の路地を左折すると辺り一面けたたましく中国語が飛び交っており、外国に行った気分。
やがて左手に興福寺北円堂が見えてきた。
去年の5月以来だ!
入場券を買って、堂内に入る。
やや混んでいるが、東京の博物館の特別展に比べれば楽に見れた。
法隆寺の夢殿の様な八角円堂の北円堂は普段は公開されていないが、ここは運慶仏の宝庫で俺の好きな運慶晩年の名作弥勒如来が安置されている。
もちろん、去年上野のトーハクで開催された特別展「運慶」の代表的存在だった無著・世親像は北円堂本尊の弥勒如来の脇侍だ。
やはりというか、当たり前なんだけど弥勒如来が良かった!
北円堂から出て振り返ると、中がよく見えていたのでシャッターを切った。
大満足で観光客でごった返している南円堂に進む。
南円堂は運慶の父親である康慶の不空羂索観音坐像が安置されている八角円堂で、一般公開されていないので今回は中に入ることは出来なかったが、以前入った時は驚嘆の連続だった。
本尊の不空羂索観音も凄かったが、息子の運慶作の四天王も圧巻で、トーハクでの「運慶展」にも来ていて大迫力だったんだけど、年に1日しか開扉されない南円堂に戻ってしまったので再び滅多に見れなくなると思っていたら、新しく中金堂が出来たことで仏像の移動があり、南円堂の四天王が中金堂に安置される事になった。
いつもの様に手水舎の龍にご挨拶…周囲に掛けられた絵馬に外国語での願い事が増えていて驚いた。
南円堂は西国三十三カ所の第9番札所なので、御朱印を貰う人の列が出来ていた。
南円堂の御朱印は格好良い。
南円堂前の売店もチェック。
少し小綺麗になっていて、見慣れない品物も置いてあった。
これまで特性お弁当に使っていたと思われる…
「興福寺精進ふりかけ」が商品化されていた。
売店の前のベンチは完全に中国人に占領されていた…今や日本のインフラは外国人旅行者の為に存在している感じ。
中金堂方面へ向かう。
とりあえず一段高くなっている南大門跡へ。
猿沢池を撮影。
振り返ると、皆さん正面に見える中金堂を撮影していた。
中金堂の金色に光る鴟尾や、堂中の仏像も見える。
中金堂への拝観チケット売り場は列が出来ていた。
チケットを買って柵の中へ。
中金堂は外から見ると普通に見えるけど、近づくにつれてその巨大さが伝わってくる。
中金堂は夜になるとライトアップされている。
単に明るく照らすだけで無く、結構凄い感じ。
その為の機材がアチラコチラに点在していた。
堂内は写真撮影禁止だけど、中金堂の前は外から中が見えるので写真撮影をする人たちで賑わっていた。
南円堂から移動になった国宝の増長天。
本尊の釈迦如来は江戸時代のもの。
流石に堂内は混んでいたが、天井が高く意外に明るくて仏像がよく見えた。
大満足で中金堂から出ると…誰も見向きもしていなかったけど、中金堂の後ろに隠れるように去年開催された「阿修羅・天平乾漆群像展」が行なわれた仮講堂があった。
俺は仮講堂も大好き。
そして、リニューアルされた国宝館へ進む。
俺の記憶違いかもしれないけど、入り口が変わった気がした…以前物販コーナーがあった辺りが入り口になっていた感じ。
チケット売り場で入館に手間取る外国人が多く、気持ち話判るが…疲れ切った受付女性係員のヒステリックな応対が残念だった。
館内は、東京の博物館の特別展からすれば問題ないレベルだったが、狭くなった気がして改装前の方が良かったと思う。
そして乾漆八部衆立像のコーナー…迦楼羅像が最初だった。
阿修羅像の前に立つ。
この仏像は不思議なんだけど、毎回違って見える。
恐らく見る立ち位置を数センチずらしても、表情が変わって見えるんだと思う。
今回は凄く幼く見えると同時に心が癒された気がした…ため息と共に「これはやはり光明皇后の優しさだな」と思った。
そして特別展示の梵天・帝釈天。
明治の廃仏毀釈で東京の根津美術館に離れた帝釈天立像が里帰りして、梵天との「再会」を果たした。
間近で長い間堪能できたが、実物は素晴らしかった…写真写り悪すぎだと思った!
これは仏像好きなら見なきゃダメだと思った。
国宝館から出て、奈良公園を歩いた…そこには数十年前の俺がいた。
参拝客が鳴らす東金堂の鐘の音が心地よい。
光明皇后が建立した五重塔の前では…
皆が思い思いのポーズで記念写真を撮っている。
寺は良い…常に変わらないから。
でも本当に変わっていないのか?と思って、興福寺今昔写真展に行ってみることにした。
三重の塔の奥にある興福寺会館で開催されていた。
古いのは明治時代の写真から現在の写真までを並べてあって比較できるが、寺は変わらなくても周囲の街は劇変しているのが良く判った。
興福寺会館を出て、大好きな三重の塔を見上げた。
以前初層特別公開で柵の中に入ったときに感激した事を思いだした。
猿沢池に下って、さてどうしようか?と立ち止まった…タバコを止めてから休憩という習慣が無くなってしまって歩き続けていた。
東大寺ミュージアムもLED交換工事を終えてリニューアルしているし、国立博物館では大人気の正倉院展が開催されている…。
でも、もう俺には南大門前の鹿と観光客をかき分けたり、国立博物館の長蛇の行列に並ぶ体力が無かった。
奈良には「奈良公園でデートすると別れる」というのがあって、つまり疲れてヘトヘトになってしまうので、ちょっと物足りない位で撤収するのが良い。
すっかり中国化している三条通を歩く。
何度来ても奈良公園は体力勝負なのだ。
2018-11-14 23:54