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漫画を読んだ [日記]

懐かしさを感じた[あせあせ(飛び散る汗)]

ネットやTwitterでは有名で、最近はネコの漫画を楽しく書いておられる某漫画家の新作が出た。

新作の内容は作者さんの過去の体験談で、色んなバイトをしながら漫画家を目指していた頃に知り合いからお金を盗まれて無一文で困っていたところ、年の近い作者の叔母さんとその彼氏に犬2匹が暮らす部屋で同居する事になり、そこで起きた様々な日々の出来事を生々しく綴った爆笑ストーリー。

とにかく作者さんは言うまでもなく、ミュージシャン志望の叔母さんと彼氏は常にお金がなく、毎月ギリギリの綱渡りの生活の中で電気やガスが止められたりする難関を乗り越えていく非日常的「冒険」が面白い。

ネット購入のページの下部分に読者達の感想が並んでいたのを読んでみると、多くの人達は「よくそんな大変な状況から立ち直り、漫画家という夢を叶えられましたね」という絶賛が多かった。

確かに、学校を卒業して会社務めなど「普通に就職した人」から見れば大変な生活なんだろうし、実際作者さん達も毎日が生き抜くサバイバルなんだけど、意味合いが違うと思ったが実際にそういう暮らしをした人にしか判らないと思う。

俺もバンドの活動を大阪から東京に移して、東京に住みだした頃は似たような感じだったが、全然大変だとは思わなかった。


…爆笑しながら漫画を読むうちに、忘れていた昔を思いだして懐かしい気持ちになった。

俺の東京でのバンドは、板橋区大山で結成したMargeLitchから始まったんだ…。

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炊飯器を持っていない俺の所に母親が宅急便で米を送ってきたのを、同じボロアパートの2階に住むバンドメンバーの炊飯器で炊いて一緒に喰っていた…あの頃、そいつが炊飯器を持っていなければ死んでいたかもしれない。

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ただ、その頃は生活のほぼ全てがバンドだったから、他のことは全く気にならなかった。

俺の持っている家財道具といえばテレビにビデオデッキと窓枠に取り付けるエアコンくらいで、ベッドとかはどういう訳か最初から部屋にあったのを使っていた。

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勿論バンドをやりに来ているわけだから、楽器や機材は木造のボロアパートの床が抜けるほど天井まで積み上げていた。

4畳半の俺の部屋にはMarshallの3段積みとグヤトーンのヘッド2発の4段積みとギターケースが並び、駐車場を借りる金がなかったので大家さんに許可を貰って狭い通路ギリギリにニッサン・キャラバンのスーパーロングのハイルーフを突っ込んで、リハーサルの度に板橋から新宿まで自前のアンプや機材を運んでいた…音楽には一切手は抜かなかった。

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ただライブが多いとバイトを休むので、金はトコトン無かった…漫画のミュージシャンカップルより、俺達の方が生活はもっと貧乏で悲惨だったと思う。

漫画に出てくるカップルが同棲している部屋は、ユニットバス付きの2階建て構造で洗濯機や電子レンジなどを持っているので「なんて贅沢な暮らしなんだ!」と思うだけで、悲惨な生活とは思わない…俺達なんて犬のエサ代も無かったが、そういうのが大変だとは思わなかった。

そんな「後先考えない無茶な生活」が出来るのも若いうちだけで、歳を取ってくれば自然に老後が気になってくるので、若いうちは何だろうが、やりたいことがあればトコトンやった方が良いと思う。

年老いては出来ないことってあるのだ。