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梅雨入り [ノスタルジア]

巨大魚の記憶[ぴかぴか(新しい)]

日本は雨期に突入した。

梅雨の時期になると思いだす幼少の頃の記憶がある…。

俺が子供の頃通っていた奈良県の小学校の通学路に沿って、水田に水を供給する小さな用水路が流れていた。

用水路を流れる綺麗な水はため池から来ていて、そこにはメダカ、モロコ、フナやエビ、タニシ、シジミ、カラス貝などが生息していた…当時の俺には宝庫だった。

用水路には所々に板で水をせき止める場所がある…田んぼに水を入れる為に板のダムで水位を上げるんだけど、そういう場所はコンクリートで作られていて、せき止めの下流は水がチョロチョロ流れているだけで、そういう所にエビやドンコと呼んでいたカジカなんかがいて、手づかみで楽に捕まえる事が出来た。

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ドンコ



通学時には、そういう所を確認するのが何よりの楽しみだった。

通学路の用水路は子供の足で楽に跨げる程の川幅なので小さな生物しか見なかったけど、水源のため池には巨大なヘラブナや鯉、ウシガエルやライギョもいた…別名タイワンドジョウと呼ばれるライギョを俺たちは「タイワン」と呼んでいたが、種類としてはカムルチーという奴で1メートル近くまで大きくなるため池の王者だった。

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カムルチー



そして毎年梅雨になると田植えの為に田んぼに水を入れる用水路が大活躍する。

そしてあの日を思いだす…。

ある時、俺は同級生の木村君(以下きむやん)と一緒に下校していた…通学路では無く、別の道を歩いていた。

そこは大きなため池の真横にある道で、コンクリート製の幅の広い用水路があった。

延々と続く広大な水田に、ため池の水が用水路を伝って流れていく…その最上流の場所だったので水量が多く、水の流れも急だった。

何気に川を覗き込むと…1メートル近くの巨大魚の魚影が水面下に見えた。

2人はほぼ同時にそいつを目撃した…その瞬間ランドセルを放り投げ、何の打ち合わせも無しにきむやんは下流に、俺は上流に走った。

俺は道ばたにある大きめの石を拾っては用水路の上流に向かって投げた…魚が上流に向かって逃げているのであれば、それを阻止しようと石を投げながら上流へ走った。

コンクリート製の川はやがて大きな丸い土管になり、人間はそれ以上先に進めなくなっている…土管の付け根まで走って振り返ると、下流できむやんが用水路に飛び込んで巨大魚を待ちかまえていた。

俺は今度は慎重に水の中を見ながら、石を投げて巨大魚を下流に追い込んでいった。

次第にきむやんに近づいて行く…きむやんは全身びしょ濡れで腰まである急流と戦いながら踏ん張っていた。

捕まえられるのか興奮でドキドキした…しかし捕獲できなかった。

逃げた魚はでかいというが、あの魚は異常に大きかった。

UMAでは無いが、正体がハッキリしない巨大な生き物ってワクワクする。

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確かに俺たちはあの時、巨大魚を見た!

今でもハッキリ覚えているのだ。