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日本寺 [寺社・城・仏像・ミュージアム]

房総半島温泉旅行~7[カメラ]

昼食を済ませた我々は、一路鋸山を目指した。

ロープウエイで登るらしいが、乗り場まで車で行くと検査の為営業休止だった。

しかし、人気があるらしく車を止めて対策を考えている間にも次々と他府県ナンバーの車が入ってくる。

結果、有料道路の鋸山登山自動車道を使って登る事にした。

目的は日本寺の31mもある日本一の石大仏。

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恥ずかしながら俺は日本寺の事は何も知らず、今回の旅行前にネットで大仏の写真を見たくらいの知識で、壺阪寺の様な最近作った石仏がゴロゴロしている感じのB級スポットじゃないか?と思っていた。

しかし日本寺はその名前に相応しい歴史のある寺で、聖武天皇の勅願により行基によって725年に開山された奈良の東大寺より古い由緒正しい寺だった。

行基といえば東大寺の大仏開眼会で太宰府までインド僧侶の菩提僊那を迎えに行ったり千葉にまで来ていた…その行動範囲の広さに驚く。

これだけの歴史があれば相当の大寺だったと思うが、イマイチ名前が知られていないのは神仏分離に伴う廃仏毀釈や、昭和14年11月に登山者の失火によって貴重な国宝仏像とお堂が灰になってしまったからで、その後も価値を知らない馬鹿カップルに聖徳太子像が破壊されたり受難が続いている。

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とりあえず山頂駐車場に車を駐め、西口管理所から山頂展望台を目指す。

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帰宅後ネットで見つけたが、この看板を見逃していた。

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この時は観光客丸出しで鋸山を甘く見ていた。

まず階段を上った先にある「百尺観音」を見に行く。

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石を削って作った昭和製で、30メートル強の高さは圧巻だった。

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俺は山を削って作られている事や、その巨大さに洛陽の則天武后をモデルにした龍門石窟を連想した。

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そして急な階段を延々と登り、山頂展望台へ。

その横には「地獄のぞき」という先端が突き出た見晴台があった。

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展望台から見た「地獄のぞき」の断崖絶壁。

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何故か俺は黒澤明「乱」の野村萬斎のラストシーン…崖に佇む盲目の人という一歩踏み出せば死という危険きわまりない状況を思いだしていた。

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山頂から駐車場に来た道を引き返せば良かったんだけど、我々はそのまま「羅漢エリア」に足を踏み入れてしまった。

階段を下りながら…このまま下山してしまうなら問題ないが、山頂にある車まで戻らなければならない…すなわち下った分だけ登らなければならないんだけど下りの階段が延々続いた。

途中で「汗かき不動」や「百躰観音」「弘法大師護摩窟」を見てまわる。

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江戸時代、上総の国の名工・大野甚五郎英令が21年間で27人の弟子とともに作った1553体の石仏が山の至る所に安置されていて、どれも良かった。

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ただ、羅漢エリアから車と駐めている駐車場までの階段の登りが地獄だった。

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始めての場所なので、あとどれ位登ればゴールなのかが見えないので精神的に厳しい。

両腕で手すりを引っ張りながら、一歩一歩進むんだけど石の階段は見た目より一段一段が高くて足に来る。

これまでも室生寺の奥の院とか厳しい階段を経験しているが、日本寺の階段も相当大変。

やっとの事で登り終え、フラフラになりながら自販機に直行してポカリの500を一気呑み。

車で大仏口駐車場まで降りて徒歩で大仏広場に向かうが、階段がトラウマになっているので数段でも階段があれば引き返そうと思って歩いた。

広場の前から巨大な日本寺大仏が見えてきた。

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江戸時代の1783年に作られた像高31メートルの石仏で、薬師如来の大仏…奈良東大寺の大仏は盧遮那仏で、鎌倉の大仏は阿弥陀如来。

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目が半眼で無く開き気味なのが特徴的。

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千葉の仏像は館山市立博物館で見た仏像もそうだけど端正。

光背の仏像も良かった。

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日本寺は、階段地獄はかなりタフだったけど寺巡りとしては大満足だったのだ。