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アンプの使い方 [ギターの話題]

エフェクターとの関係[るんるん]

ハードロック系のギターサウンド作りの最大の難関は歪みだと書き続けてきたが、その原因を探ってみる。

ギター弾きの場合、極力ライブやリハーサル・スタジオでも自宅練習の環境を持ち込みたい…例えば時間を掛けて作ったマルチエフェクターの設定などを生かしたい。

しかし、ライブハウスやスタジオにあるMesa BoogieのRectifierやMarshallのJCM-2000(以下代表してMarshall)に繋いでも、思った音にならない場合がある…ノイズが出たりハウリングが起きたりしてしまう。

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これは音量のせいでは無い…自宅は小さな音だからノイズも気にならないし、ハウリングも起きないんだというのはちょっと違うと思う。

最近はコンパクトペダルの大きさも半分に細くなったり、エフェクター製作会社が増えたり、沢山のペダルをコントロールするループスイッチャーが安価で小さくなったりで、エフェクターボード派が増えている。

マルチエフェクターもエフェクトの種類や接続の流れは同じで、コンプ→ワウ→歪み系→イコライザー→コーラス→リバーブ→ディレイなどを並べている。

これをPCでDTMで録音するなら問題ないが、この状態をそのままMarshallなどに突っ込むとハウリング大会になる。

原因はMarshallが作られた時代、ディストーション・ペダルやデジタルリバーブ、デジタルディレイが存在しなかったという事に尽きる。

大昔はファズという歪み系エフェクターがあるだけで、Marshallが生れた後に大出力アンプから歪んだ音を出すハードロックという音楽が生まれた。

そこでチューブアンプのMarshallを歪ませる為にオーバードライブというエフェクターが生まれた…「TUBE SCREAMER」というの名前の通りで真空管を叫ばせる為の道具だった。

Marshallを理想的に歪ませるには、Marshall側を歪むか歪まないかギリギリの「クランチ状態」にしてオーバードライブ・ペダルをクリーンブースターとして使うと、よりきめ細かいクリーミーな歪みになり音伸びも良くなる。

一方で、チューブアンプをオーバードライブなどで歪ませた音を、トランジスタアンプで再現する為にディストーションペダルが生まれ、高価なMarshallを買わなくても自宅の小さなトランジスタアンプでも過激に歪ませる事が出来るようになった。

この2つの流れが混同してしまうと、音作りが厄介になる。

例えば自宅の練習用トランジスタアンプでゴキゲンな音を作ったディストーション・ペダルの設定のままでMarshallで鳴らすと混沌となってしまう。

混沌の原因はMarshallで歪ませた感じの音を作るディストーションサウンドを本物の歪むMarshallに繋いでいるからで「ダブル歪み」になっている…この場合ディストーションは要らない。

もう一つの難点は、音を立体的に作り出すリバーブやディレイもMarshallの前段でかけると、ディストーション・ペダルの前段に置くことと同じになってしまってディレイ音の返りがペシャンコになってしまう。

レコーディングなどの場合は空間系エフェクトは録音後にミキサーで付け足すのが一般的なので、Marshallなどの場合、アンプヘッドのプリ部の後段に繋ぐのが一般的…その為にセンド&リターンも付いているし、今時のMarshallはリバーブを搭載している。

つまりMarshallの理想的な音作りはMarshallで作るしか無いと思う…自宅の別環境の設定をMarshallに当てはめる事に無理がある。

そういうチューブアンプの歪み設定と、様々なエフェクターの組み合わせを1台で完結させたのがLINE6のHelixなどのギターアンプシミュレーターで、後段に入力信号を脚色無しにキャビネットに大出力出来るパワーアンプを繋げば、自宅でシミュレーターを使って作り込んだ音がそのまま再現できると思う。

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アコギと違ってエレキはアンプを使いこなすのも重要なテクニック。

幾ら指が動いてもアンプの出音がボロボロでは意味がないのだ。