危険な波動 [不思議]
殺気
俺は路線バスをよく利用している。
東京はJR山手線を中心に郊外へ向かう路線は充実しているが、それらを縦に横断する路線は少ない…副都心線は都心過ぎるので、郊外にあるのはJR武蔵野線位だろうか。
環七、環八の様に環状で走っていれば凄く便利だと思うが、東京の場合は「たてバス」と呼ばれる路線バスになる。
俺はそんな路線バスに乗るのが好きなんだけど…ある時、某バスのある路線に乗っていて、恐ろしい出来事に遭遇した。
その時バスは劇混みで、俺はバス中央部にある乗り口ドアのところに立っていた。
バスがある停留所にさしかかると、バス停の近くを40才代のサラリーマン風の男が歩いているのが見えた。
バスは男が乗客だと思って停留所で停止し、入り口のドアを開けた。
男はバスのドアが開くまで、バス停を通り過ぎてバスの進行方向とは逆の方向に向かって歩こうとしていたが、バスが止まると立ち止まって暫く何か考えていた。
男の顔つきや服装は至って普通の会社員って感じで、外見からオカシイ雰囲気は皆無だった。
俺は開いたドアの横にいたのでよく見えたが、男は最初バスに乗る感じではなかったが、何故かワンテンポ遅れて乗り込んできて、俺の真横に立った。
驚いたのは男の発する波動みたいなモノで、俺にはそれが凄まじい怒りの波動に感じ、これはただ事ではないと緊張した。
男から離れた位置に移動したいけど、車内が激混みで身動きが取れないので、身体の向きを変えて目を合わさない様にするのが精一杯だった。
俺が目に見えない波動みたいなのを感じて、そう思いこんでいるだけかもしれない…根拠は無い。
でも、少し身体が触れただけで即刃物で刺される様な、異常に緊迫した波動が男の全身から出まくっている感じで、凄く怖かった。
走り出したバスは、男が乗ってきた停留所から数十メートル先にある次の停留所で停止した。
沢山の人がバスから降りた…次々とバス前方の出口ドアから降りていく。
すると、俺の真横にいた男も降りる人たちと一緒にバス前方に歩いていった…やれやれと思いながら、俺は気を抜かずに男の後ろ姿を注視していた。
男の前にいた人もバスから降りて、男が運転手の横にあるICカードの運賃機の横に立った。
男が何か運転手に何か言った。
驚いたのは、このとき乗客達も男に対してただならぬものを感じていたらしく、皆が男と運転手のやりとりに注目していた。
運転手が「え?」と男に聞き返したが、やはり何かを感じたらしい…バスの中の空気が凍り付いた。
静まりかえるバス内で、男は「今何時だ?」と、今度は俺にも聞こえる大きさで聞いた…かなり上から目線の偉そうな言い方だった。
運転手は状況が判らないらしく「え?」と聞き返すが、かなり怯えている感じだった…バスの乗客全員が息を殺して状況を見守っている。
男は再び怒り口調で「何時なんだよ?」と聞くと、運転手が腕時計を見て時間を伝えた。
すると男はそのまま料金を払わずに悠然とバスから降りていき、運転手も何も言わずドアを閉めた。
無事にバスが動き出すと車内全体が安堵のため息で充満したが、それと同時に俺なんかは段々腹が立って来た…それほどそいつが真横にいるときは恐怖だった。
俺が驚いたのは、俺が男から目には見えない「猛烈な殺気」を関知出来た事で、男の外見は至って普通の人だった。
「気」を感じるって、あるんだなと驚いたのだ。
俺は路線バスをよく利用している。
東京はJR山手線を中心に郊外へ向かう路線は充実しているが、それらを縦に横断する路線は少ない…副都心線は都心過ぎるので、郊外にあるのはJR武蔵野線位だろうか。
環七、環八の様に環状で走っていれば凄く便利だと思うが、東京の場合は「たてバス」と呼ばれる路線バスになる。
俺はそんな路線バスに乗るのが好きなんだけど…ある時、某バスのある路線に乗っていて、恐ろしい出来事に遭遇した。
その時バスは劇混みで、俺はバス中央部にある乗り口ドアのところに立っていた。
バスがある停留所にさしかかると、バス停の近くを40才代のサラリーマン風の男が歩いているのが見えた。
バスは男が乗客だと思って停留所で停止し、入り口のドアを開けた。
男はバスのドアが開くまで、バス停を通り過ぎてバスの進行方向とは逆の方向に向かって歩こうとしていたが、バスが止まると立ち止まって暫く何か考えていた。
男の顔つきや服装は至って普通の会社員って感じで、外見からオカシイ雰囲気は皆無だった。
俺は開いたドアの横にいたのでよく見えたが、男は最初バスに乗る感じではなかったが、何故かワンテンポ遅れて乗り込んできて、俺の真横に立った。
驚いたのは男の発する波動みたいなモノで、俺にはそれが凄まじい怒りの波動に感じ、これはただ事ではないと緊張した。
男から離れた位置に移動したいけど、車内が激混みで身動きが取れないので、身体の向きを変えて目を合わさない様にするのが精一杯だった。
俺が目に見えない波動みたいなのを感じて、そう思いこんでいるだけかもしれない…根拠は無い。
でも、少し身体が触れただけで即刃物で刺される様な、異常に緊迫した波動が男の全身から出まくっている感じで、凄く怖かった。
走り出したバスは、男が乗ってきた停留所から数十メートル先にある次の停留所で停止した。
沢山の人がバスから降りた…次々とバス前方の出口ドアから降りていく。
すると、俺の真横にいた男も降りる人たちと一緒にバス前方に歩いていった…やれやれと思いながら、俺は気を抜かずに男の後ろ姿を注視していた。
男の前にいた人もバスから降りて、男が運転手の横にあるICカードの運賃機の横に立った。
男が何か運転手に何か言った。
驚いたのは、このとき乗客達も男に対してただならぬものを感じていたらしく、皆が男と運転手のやりとりに注目していた。
運転手が「え?」と男に聞き返したが、やはり何かを感じたらしい…バスの中の空気が凍り付いた。
静まりかえるバス内で、男は「今何時だ?」と、今度は俺にも聞こえる大きさで聞いた…かなり上から目線の偉そうな言い方だった。
運転手は状況が判らないらしく「え?」と聞き返すが、かなり怯えている感じだった…バスの乗客全員が息を殺して状況を見守っている。
男は再び怒り口調で「何時なんだよ?」と聞くと、運転手が腕時計を見て時間を伝えた。
すると男はそのまま料金を払わずに悠然とバスから降りていき、運転手も何も言わずドアを閉めた。
無事にバスが動き出すと車内全体が安堵のため息で充満したが、それと同時に俺なんかは段々腹が立って来た…それほどそいつが真横にいるときは恐怖だった。
俺が驚いたのは、俺が男から目には見えない「猛烈な殺気」を関知出来た事で、男の外見は至って普通の人だった。
「気」を感じるって、あるんだなと驚いたのだ。
2017-10-09 23:50