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映像 [日々のあれこれ]

貴重さ[バッド(下向き矢印)]

昔、俺が海外のハードロックにかぶれだした頃なんて、音楽誌以外の情報は殆ど無かった。

高校1年の頃なんて、バイクにガソリン入れてバンドのスタジオ代を払えばお金なんて残らなかったので、音楽誌ですら滅多に買わなかった…まだ中学生の頃の方が小遣いで輸入レコード盤を買ったりしていた。

それでも外タレが来日すると無理をしてでも見に行っていた…もちろんロニー時代のRAINBOWも見に行った。

初めてリッチー・ブラックモアを見たときは、「写真が動いている」と思った。

1曲聴くと胸がいっぱいで、もう充分だった…それ以上は疲れて大変だろうから、休んで欲しいと思いながら見ていた。

大学に通うようになっても、常に金がないのは変わらなかった…バイクの排気量も大きくなっていたし、バンドの活動の規模も大きくなっていたので、バイト代なんて即無くなっていた。

そんな頃、ライブ以外で「動く外タレ」を見るのはビデオテープだった。

仲間同士でお互い持っているテープをダビングするので、どれも画質はボロボロだった。

当時はレッド・ツェッペリンの映画「The Song Remains the Same」とか、ディープ・パープルのカリフォルニア・ジャムなんかが、俺の宝物だった。

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時々、NHKで外タレのライブを放送があって、余り好きでは無いバンドでもよく見ていた。

俺が見たかったのはUFOのマイケル・シェンカーとかの、当時はまだ日本ではあまり知られていないバンド達で、UFOの2枚組のライブ盤「Strangers In The Night」を聴いてコレしかない!と思ったものの、写真以外の情報は無かった。

しかし、関西というか大阪にはロック喫茶というのがあった。

ミナミには「ビートルズ」や「5スポット」とかの店があったらしいけど、後に一緒にバンドをやっていた人達はそっちに通っていたらしいけど、俺は大学生の頃のバイト先が梅田の近くだったから、輸入レコード盤も阪急前とかだし、ロック喫茶も梅田にあった「キューピット」という店によく行った。

「キューピット」店内は1階から3階まで吹き抜けている店で、ブラウン管のモニターもあちらこちらにあったけど、吹き抜けにあるデカい画面を各階から見ていた。

仲間からカルピスを頼めと教えられ…無料で注いでくれるお冷やで薄めたカルピスを飲みながら粘った。

「キューピット」の映像は海外のスタッフから取り寄せているという話を聞いたが、当時はハードロック低迷期でパンクやニューウェイブ全盛だったので、リクエストしたのが始まるまで延々と待った。

俺が動くマイケル・シャンカーを初めて見たのも「キューピット」で、混んでいる日は流行のばかりかけるが、暇な日はハードロック系が多いと聞いて空いている日に出かけるとUFOの「ONLY YOU CAN ROCK ME」のプロモが流れていた。

恐らくオリジナル映像はフイルムなんだろうけど画質が悪かったが、その後買ったUFOのビデオのテイクの画質も悪かった。

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当時はそういうのを、タバコの煙がモウモウの店内で瞬きもせず脳裏に焼き付けていた。

やがて世の中がネット時代になり、昔ビデオテープで見ていたモノの大半はYOUTUBEなどで綺麗な画質のものが無料で見れる様になった。

最近も第2期ジェフ・ベック・グループの白黒映像で、ジェフ・ベックとソックリなコージー・パウエルを見たりして凄く懐かしかったけど…最後まで観なかった。

ブラウザの右側には、ジェフ・ベック・グループと同時期のバンド達のサムネイルがズラーッと並んだけど、「へぇ~こんなのもあるんだ」と感心しても、クリックする事は無かった。

別に音楽が嫌いになったわけではないが…昔は手に入らないから西新宿のブート屋にまで出かけたわけで、そこでゲットしたモノは宝物だった。

でも無料で、下手すれば自分の持っているモノより画質の良いモノが山のようにあったりすれば…不思議な事に有り難くないモノになってしまう。

俺が今、高校生だったらYOUTUBEに無料で転がっている画像を脳裏に焼き付けようとするだろうか?

恐らく目にも留めないと思う…今の俺ですらスルーしているんだから。

残念ながら「また今度ユックリみるわ」って思ってしまうのだ。