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内山高志 VS ジェスレル・コラレス [ボクシング]

WBA世界Sフェザー級タイトルマッチ[パンチ]


俺は大晦日に内山選手が宿敵コラレスをダイナマイトにKOするんだと確信していた。

内山選手はこの日まで悔しい日々を送っていただろうけど、それはファンも同じで、我々の悔しさを埋める為にコラレスはマットに沈まなければならなかった。


しかし、試合開始のゴングが鳴ると、試合の雰囲気がガラッと変わった。

明らかにこれまでのチャンピオンとして、相手を見下ろして戦う内山選手とは違っていた。

それどころか、本来内山選手が放つ「王者の風格」みたいなモノを、いつの間にかコラレスが身につけていた。

聞くところによると、予備検診や調印式でコラレスは内山選手には目もくれず、結婚しているにも関わらずテレ東の鷲見玲奈アナにひと目ぼれしたようで、表情を緩ませてウインク、ツーショット撮影をねだり、手を握ったり、腰に手を回したりの浮かれようだったらしい。
 
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許せん!
 
この傍若無人な振る舞いは、十二分にリング上で内山選手の鉄拳制裁を受けるに値する行為だった…。

 
そしてゴングが鳴った。
 
内山選手が硬い。

しかし内山選手は元々スロースターターなので、前回の様に身体が温まる前に撃ち合うよりは、前半は捨てて後半勝負の方が安心できると…この時は、そう思っていた。

しかし、内山選手とコラレスの距離が噛み合わない。

コラレスは頻繁に左右をスイッチし、それがクイックで自然に変わるので、右を打ち込みたい内山選手には的が絞れない難しさがあったと思う。

俺の採点では1R~4Rまで全て10-9でコラレスのラウンドだった。

内山選手が相手を見すぎるというのもあったが、身体が硬くて右ストレートが流れてしまい、その打ち終わりに体勢が崩れた瞬間を狙い打ちされていた。

ただ、前回のコラレスのフック系の強打には反応できていたが、いつになく高い内山選手のガードがコラレスのパンチがある事を証明していた。

試合開始から5ラウンドのコラレスがバランスを崩した所に、内山選手のパンチが擦ったダウンまでの間に、コラレスは良い選手だという認識に変わった…というのも、前回は2ラウンドで終わったので、よく見れなかった。

スタンスを大きく取り、腰を落として上半身を前後させる…まるでパンチのあるパーネル・ウィティカーだと思った。

ただ、帝拳の浜田さんではないが「12ラウンドの間に1発を当てきれれば終わりますから」という、内山選手の右が炸裂さえすれば、コラレスが幾らコツコツ頑張っも、全てがその瞬間に終わるからと、まるでバーナード・ホプキンスの試合のように、いつ内山選手のダイナマイトがコラレスに着弾するかを待っていた。

しかしダウン後の6ラウンド、逆にコラレスが好戦的に出てきた…内山選手が1発入れれば2発打ち返すパターンだった。

後半、内山選手の強烈なボディーが炸裂、コラレスは明らかにダメージを受け、内山選手のパンチを嫌がった。

この時が勝敗の分かれ目だと思ったが、内山選手は「当る」ボディーブローを捨て、右ストレートに拘った様に見えた。

明らかにコラレスは内山選手のアッパー系のパンチに苦慮していた。

俺はあのままボディー攻撃を続ければ、変な話「あと一発エグいのが入れば終わる」と思った。

しかし内山選手は上狙いで、クイックに変則するコラレスを見過ぎて、力んだ右を振り続けた…これは内山選手の下半身の衰えでは無く、コラレスが上手く捌いていたんだと思う。

11・12と、ポイントで厳しい内山選手は本来ならKO狙いなんだろうけど、逆に息切れしている様に見えたが、あれだけ強打を空振りさせられると、体力の消耗は倍激しくなる。

また、正直な内山陣営に対し、毎ラウンドゴングが鳴ってからゆっくり腰を上げたり、接近すると強引に抱きついたり、シューズの紐を緩めたり、パンチの打ち終わりは必ずクリンチしたり、走って逃げ回ったり、わざとスリップダウンして時間を稼ぐなど、コラレス陣営は勝つために考えられる事は全て実践していたと思う。

特に内山選手の強打を封じる事に重点を置いて、考えたボクシングをしていた。

ある意味、コラレス陣営は最後までコラレスをコントロール出来ていて、内山陣営は誰も内山選手を落ち着かせることが出来ない様に見えた。

俺の採点では
     
1R  9-10 コラレス
2R  9-10 コラレス
3R  9-10 コラレス
4R  9-10 コラレス
5R  10-8 内山
6R  9-10 コラレス
7R  10-9 内山
8R  10-9 内山
9R  9-10 コラレス
10R 10-9 内山
11R 9-10 コラレス
12R 9-10 コラレス

112対115でコラレス…パンチの効果以前に手数の差がありすぎた。
 
試合を振り返っても見せ場というか、印象に残るシーンが少なかった…思い出すのは見に来ていたサブちゃんの鼻の穴とかだから。

コラレスは内山選手の苦手とする相手だったと思うが、それも含めてコラレスは内山選手を良く研究し、対策も立ててきたんだと思う。

内山選手の今後だけど、勝っても負けても引退と言っていたけど、今のところ引退表明は無い。

ただ、今回の戦い方の延長ではもう一度対戦しても勝てないと思うし、次はコラレスも内山選手のボディーを警戒するだろうから更に厳しくなるだろう。

ある意味同じジムで井上選手に初めてのKO負けを喫した河野選手の方が引退する事を受け入れやすいだろう…内山選手はダメージらしいダメージを受けていない。

内山選手はこれで引退なんだろうか?

これまではそうだったかもしれない…。

しかし、今は長谷川穂積という奇跡があるのだ。