長谷川穂積 [ボクシング]
引退
WBCスーパーバンタム級チャンピオンの、長谷川穂積が現役引退を表明した。
「ボロボロになってやめるのも一つの美学だけれど、できれば王者のまま引退したいと思っていたので、このタイミングが一番かなと決断した」とコメント、長谷川らしいカッコ良い辞め方だと思った…チャンピオンになるのが凄まじく難しいのに、「現役世界王者のまま」辞めるなんて出来るようで出来ない。
大場政夫選手が交通事故でチャンピオンのまま亡くなったのと、ミニマム級の新井田選手が一度チャンピオンの時に引退したが、その後現役復帰してチャンピオンに返り咲いたものの、最後はローマン・ゴンサレスにTKOされて引退している。
最初に長谷川選手の世界挑戦の試合を見たとき、天才だと思った。
人気ボクサーの辰吉選手からベルトを奪い、リマッチでも完膚なきまでに打ち砕き、後に名チャンピオンになる西岡選手の挑戦を4度退けたタイの英雄で日本人キラーのウィラポンへの挑戦だったので「今回もダメか」位の気持ちでテレビ観戦していたが、12回3-0の判定でWBC世界バンタム級チャンピオンに輝いた。
初防衛戦を終えた長谷川は、2度目の防衛戦で怒り狂ったウィラポンと戦った…試合前は長谷川が殺されると思っていた。
しかし、9Rにウィラポンが前のめりに倒れ、レフリーも途中でカウントを止めてストップした…長谷川の圧勝だった。
長谷川選手の最高試合は今年9月に行なわれたウーゴ・ルイス戦だと思う。
長谷川選手の事で強烈に覚えているのが、長谷川穂積、畑山隆則、浜田剛史の座談会。
出演された浜田さん畑山さんと違い長谷川選手だけは現役のチャンピオンだった。
番組での長谷川選手は、防衛8度を成功させていた時期で、まさに無敵のチャンピオンで、当時は他の番組でも超スローモーション画像で長谷川選手のパンチの秘密を探るなどの番組に出演されていた…同じ様なので、無敵状態だった阪神の藤川球児投手の投球やボールの軌道なども超スローモーションで究明する番組があった。
指命挑戦者だった8度目の防衛戦を終え、向かうところ敵無しの長谷川選手が「相手の呼吸を呼んでパンチを出す」とか「相手にパンチを出させるために動く」とか、次々と驚異的なテクニックを紹介すると、浜田さんも負けじとハードパンチの神髄みたいな事を説いていた。
面白かったのが、長谷川選手は試合前は「何かのアクシデントで試合が中止か延期にならないか」とゴングが鳴るまで試合をしたくないのに対し、畑山さんは苦しい減量や練習に耐えてきたので、相手を倒さないと気が済まないと真逆の事を言っていて、ボクサーでも色々だなと思った。
ボクシングファンに感動と勇気を与えてくれた長谷川選手、お疲れ様でした!
チャンピオンのまま引き際までも極めて異例、これほどに美しいチャンプはいないのだ。
2016-12-09 23:32