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東大寺 知足院 [寺社・城・仏像・ミュージアム]

時が止まった聖域[カメラ]


仏像探訪2016では、これまでの奈良公園での寺社仏閣探索で、行きそびれていた箇所を回ってみた。

以前から地図などを見て気になっていた東大寺の知足院に行くことにした。

東大寺転害門から東に進むと、次第に上り坂になり、奈良奥山ドライブウエーの入り口が見えてくる。
 
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そこから少し逸れた、大仏殿北方の山腹に知足院がある。

長い階段を上ろうとすると、小走りに近い早歩きで老夫婦とすれ違った…夫婦の格好はカメラを提げた観光客という感じだったので、こんな寂しい場所にも訪れる人がいるんだなと、他にも来ている人がいるかもしれないと進んだが、誰も居なかった。
 
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静まりかえった空間に立つと、大昔にタイムスリップした様な不思議な感覚だった。


知足院は知足院は東大寺の塔頭寺院で、興福寺の解脱上人貞慶の弟子、信願上人良遍などが東大寺に入寺し、知足院を復興させ法相教学の拠点としていた。
 
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本尊は重要文化財の木造地蔵菩薩立像。
 
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ネットより拝借
 
 

寺伝によると、1195年に解脱上人貞慶が、春日大社に参籠して生身の地蔵菩薩を感得し、信願上人良遍によって知足院の本尊に迎えられたと伝わっていて、伝説が残っている。

…南都焼き討ちの平重衡の軍勢によって焼かれた大仏再建で、藤原行隆が大任を果たし、無理がたたって亡くなった後に、嘆き悲しんだ娘がしたためた手紙を地蔵菩薩に預けたところ、父、行隆の字で、兜率天(とそつてん)の観音様の元にいると書かれた返事が返ってきたことから、別名「文使い地蔵」とも呼ばれている。
 
 
知足院の本堂は890の創建で、現在の本堂は1863年に建てられた。
 
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奈良県の県花で、奈良市の市章になっている「奈良八重桜」の原木は知足院で発見されたもの。

天然記念物の奈良八重桜は、百人一首で「いにしへの 奈良の都の八重桜 けふ九重に 匂いぬるかな」と伊勢大輔に詠まれている。



境内は本堂、鐘楼、庫裡で構成されている。
 
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境内の奥には石仏がひっそりと佇んでいた。
 
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誰も居ない…鹿すら居ない…奈良公園で最も静かな場所だったのだ。