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ウーゴ・ルイス VS 長谷川穂積 [ボクシング]

WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ[パンチ]


メキシコのチャンピオン、ウーゴ・ルイスは身長、リーチともに7.5cm同級5位の長谷川を上回るハードパンチャー。

試合で使用するグローブも、チャンピオンに有利なメキシコ製。

元世界2階級王者の長谷川も35才となり、勝てば国内男子最年長記録となる試合だが、一ヶ月半前に左親指の脱臼骨など、試合前から不安要素が多かった。
 
テレビ局も同日同じ会場で行われた山中慎介の試合はゴールデンタイムに放送したが、長谷川の試合は深夜枠で、俺もブルーレイデッキで予約録画したのを見た。 
 


元バンタム級の長谷川はWBCのベルトを10度防衛し、2010年にフェザー級に上げて2階級制覇したものの初防衛戦に失敗、2014年に1階級下げたスーパーバンタムで挑戦するも敗れた。

その後ウエイトをフェザーに戻したり、更にスーパーフェザーまで上げたりしたが、全盛期の長谷川からは反応が鈍く重そうに見えた。

そして今回は2015年12月のスーパーフェザー級から2階級落としての挑戦だった。

一度身体を大きくしてから戻すのは失敗するケースが多い…あの4階級制覇したロイ・ジョーンズjrもミドルから上げて行き、遂にヘビー級でジョン・ルイスに勝ったけど、その後ライトヘビー級に戻すと精彩を欠いた。

だから、長谷川も大丈夫なのか?と心配したが、リングに登場しガウンを取った長谷川を見て好調に見えた。


試合開始直後、公開練習では「過去最高の仕上がり」と調整に成功したチャンピオンがガンガン攻めてくると思ったが、お互い様子見の静かなスタートだった。

長谷川にスピードが戻っていた!

相手のパンチに反応出来ていたし、積極的に出したジャブや左ストレートが正確で、前半からバッティングもあってチャンピオンは距離が取りにくそうだった。

アゴを引いて踏み込んで相手の懐に入る出入りも良かったし、左フックのボディーも効果的だった。

王者は中盤からパンチに力が入りバランスを崩すケースもあり、流れは長谷川のペースに見えた。

そして9回、ロープを背にした長谷川にルイスが襲いかかった…試合会場内で公開されるジャッジの採点で、長谷川がリードしたのを知って、勝負に出てきた。

解説の浜田さんが「リング中央に戻れ」という中、長谷川は、まるで矢吹ジョーの様にロープを背にパンチを繰り出した。

クリンチで逃げず、壮絶な打ち合いに持ち込んだ!

浜田さん風に言えば「どっちのパンチが先に当るか」という激しい攻防だった。

長谷川のパンチが正確に当たり、顔面血だらけになったルイスが押し戻された。

ダメージを負ったチャンピオンは、10ラウンド開始なのに椅子から立ち上がれなかった。


長谷川穂積、5年5カ月ぶりの世界王座返り咲き!

亀田興毅、井岡一翔、八重樫東に続き、世界3階級制覇は日本選手では4人目の快挙。

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フェザー級王座から陥落した2011年4月以来の5年半…正直俺は終わったと思っていた…。

ウエイトを増してからは、長谷川の最大の持ち味であるスピードと、相手の動きを見切ったカウンターが衰えていたし、パンチの強さは体重と比例するので、戦う相手のパンチ力も増していた。

それでも自分を信じて、年齢と戦いながら努力し続けてきたのは、常人には想像も付かない5年半だっただろう!

もうボクシングの試合で片付けられないドラマがあった!
 
こういうのは人生の中で滅多に無い事だけど…心の底から感動したのだ!!