人が消えた

インド人が消えた

今月に入って最初の日曜日の出来事。

残暑厳しい中、職場に向かった。

空いていて非常に快適な西武池袋線の「普通新木場行き」に乗っていた。

バスの運転手が積極的にアクセルを踏んでくれると、この素晴らしい列車に乗れるんだけど、安全第一というか「私は規約通りに運転しております！」という自己満足運転なのがドライバーだと間に合わすに結構混んでいる池袋行きに乗る羽目になる。

空いた車内でスマホで漫画を読んでいると、保谷駅で俺の座っている左横のドアから真っ白な衣服が乗り込んできたのが視界に入った。

そいつは入ってきたドアの反対側まで早足で進み、再び入ってきたドアまで戻って外の様子をうかがっていたが、俺の前を通り過ぎ1人分空けた右隣にドスン！と勢いよく座った。

その時にチラ見すると、真っ白な衣服の正体は純白のインドの民族衣装クルタの上下を着た小柄な男性だった・・・雪駄みたいなのを履いていてヨガの修行僧みたいな雰囲気で、空中浮遊しそうな感じを漂わせていた。

顔は何処から見てもインド人で、真っ白な衣服が眩しいというか、白い布から光を発している感じで衣服が浮き上がって見えた。

特筆すべきは小学生低学年位の小柄で・・・よく見る前は小さな女性に見えた。

やがて列車は練馬駅に入り、そのインド人さんは列車が停止する前から開くドアの前に立っていた。

涼しそうな格好だなと、もう一度ドアの前に立っているインド人さんのファッションを見ようと目を上げると居なくなっている・・・目を離したのは1～2秒ほど。

まだドアが開く前で、俺は一目で車両の中を見渡せる位置に居たが何処にも居ない。

一瞬で消えてしまったが、その時は驚きは無く「消えても不思議では無いか」と思った・・・なんか最初からそういう佇まいだった。

暑い中を歩くのが面倒なので瞬間移動したと思うのだ。