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夜空の星々 [宇宙]

初期宇宙の姿



ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した初期宇宙の姿を見て考え込んでしまった。

天文台は世界各地にあるけど、地上にある天文台は地球を覆っている大気による電磁波の吸収の影響や、ジェット気流大気の揺らぎなどで起きる歪みが問題で、国際宇宙ステーションよりもさらに100km以上外側の軌道高度のハッブル宇宙望遠鏡はその影響を受けない。

そんなハッブル宇宙望遠鏡で1995年に、目視では何も見えないおおぐま座付近を撮影したところ「ハッブル・ディープ・フィールド」と呼ばれる銀河系の星はほとんど写っていない約3000の天体の銀河が撮影された。

この計画はその後も続けられ2009年には130億光年以上先にある天体が発見された。

宇宙は138億年前に起きたビッグバンで始まり、最初の銀河はビッグバンから1億〜5億年後に形成されたと推定されているので、ハッブルは初期宇宙の撮影に成功したと言える。

130億光年先にある天体が観測されたという事は、130億光年先にある天体が発した光をハッブルが感知したという事で、別にハッブル望遠鏡が130億光年先まで飛んでいって観測したわけではない。

で、地球は46億年前に誕生した。

天体の寿命は100億年程度とされているので、今ハッブルが捕らえた130億光年先の天体は、天体が発した光が地球に到達するまでに消えてしまって既に存在していない・・・宇宙は常に膨張しているから、例え存在し続けているとしても位置は変わっている。

で、俺は初期宇宙が発した光は、地球が誕生する前に我々の銀河を通過していると思っていた。

最近BSでデジタルリマスターで蘇った1969年から2011年まで放送された長寿テレビ時代劇「水戸黄門」が初期宇宙の何処かの星で放送されたとして、ハッブルでそれを見ようとしても既に地球が誕生する前に通過していた・・・みたいに思っていた。


しかしよく考えると、宇宙の膨張するスピードが光速の3倍なので、初期宇宙の位置が地球から遠すぎると永久に捕らえられないはず。

なのに、今頃になって初期宇宙の光が地球に到達しているという事は、これは意外と地球とビッグバンが起きた地点は近いのではないだろうか?

つまり、我々は全宇宙の中心に近い位置にいると思う。

宇宙が始まってから光が到達できるまでの距離を「粒子的地平線」と呼び、現在人類は138億光年のスケールの宇宙を観測していて、宇宙の膨張を考慮した観測可能な宇宙の大きさは約460億光年。

つまり、今後観測装置がどれだけ進化しても「膨張する宇宙空間以内の光」しか観測できないという事で、このまま膨張が加速すると夜空から星が消えていく事になる。

問題は宇宙の膨張の「加速」で、曽呂利新左衛門が秀吉の褒美に「初日は米1粒、2日目は2粒、3日目は4粒、4日目は8粒というふうに、1粒から始めて、1ヵ月間、前日の倍の数の米粒をください」と言って安請け合いをした秀吉を困らせた「指数関数」の様に、宇宙を押し広げるダークエネルギーが倍々に膨れあがると、夜空から星々が消えるのは一瞬かもしれない。

太陽が離れて、地球がハビタブルゾーンから出てしまうのが怖いのだ。