SSブログ

蒸し暑い夏 [日々のあれこれ]

クーラーの思い出


俺が子供の頃は盆が過ぎると、日の当たる場所は暑いが木陰は涼しかったが、もうすぐ9月になるのに、東京は7月の様に蒸し暑い。

蒸し暑いといえば、小学校低学年の頃の夏を思い出す。

その頃の我が家は1階に俺と妹の部屋があって、夜はそこで母親と3人で寝ていた。

ある夏の夜、3人が川の字になって寝ようとすると凄く蒸し暑くて寝苦しかった。

網戸で窓を開けているんだけど、無風なのと布団もなにもかも湿気でベトベトって感じだった。

真っ暗な部屋の中で母が「これはあかん!」と、つぶやいて立ち上がった。

母は2階の父の部屋に上がっていった…父は職業柄、その日は家にいなかった。

父の部屋には今のような冷暖房のエアコンでは無く、冷房だけの大きなクーラーがあった。

巨大な室外機が屋根の上にあって、スイッチを入れると一瞬屋根が揺れて暫くゴーッという大きな音がした。

2階ぁら降りてきた母に「ついといで」と言われて、俺と妹はパジャマのまま枕を持ってカルガモの親子の様に母に付いて2階への階段を上がった。

ギンギンにクーラーが効いたタバコの匂いがする父の部屋は冷えた布団がサラサラ状態で、俺と妹は枕を抱いたまま歓声を上げて布団の上をゴロンゴロン転げ回った。

今はエアコンがあるので寝るときに蒸し暑くて寝れないという事は無くなったが、蒸し暑い夜には時々あの日の事を想い出すのだ。