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宇宙の危機 [宇宙]

真空崩壊は起きるのか[夜]


宇宙は突然真空に飲み込まれて消滅してしまうという説を、車いすの天才ホーキング博士が唱えていた。

宇宙に突然真空の空間が光りのスピードで広がり、地球も一瞬で飲み込まれてしまう。

この現象を理解するには、我々の宇宙が何によって出来ているか?という事を知る必要がある。

地球とか我々の人体とか、全ての物質は原子で出来ている。

原子とは原子核の周りを電子という素粒子という「それ以上分割できない最小の物質」が回っていて、原子核は陽子と中性子で出来ていて、その中にクォークという素粒子が入っている。

更に中性子が陽子に変換されるときにニュートリノという素粒子が出来ることも判った。

ザックリいえば、電子、クォーク、ニュートリノが素粒子なんだけど、それだけでは原子にならない。

3つの素粒子をつなぎ止める力が必要で、まず「電磁気力」、次にクォークをつなぎ止めて陽子や中性子を作る「強い力」、そして中性子を陽子に返信させる「弱い力」という素粒子の「標準理論」が作られたが、理論完成への最後のピースである質量…つまり「重さ」が検出できなかった。

重さの無い素粒子は宇宙空間をバラバラに飛び回るだけでお互いがくっつく事が無い。

くっつくためには重力が必要になる…バラバラの素粒子がくっついて原子にならなければ地球とか我々の人体とかも出来ない。

でも、現在素粒子はくっついている。

素粒子をくっつけている重力は何だ?という事になって、観測される前に「ヒッグス粒子」という理論が先に出来た。

宇宙誕生の一兆分の一秒後にヒッグス粒子が現れて、自在に動き回る素粒子の動きを鈍らせ、やがて素粒子同士がくっついて原子が誕生したという説が出来て、世界中でヒッグス粒子探しが始まった。

そこで加速器で陽子を限りなく光りの速度まで加速させたのをぶつけて、宇宙誕生と似た環境を造った所、ヒッグス粒子が観測され…2012年にピーター・ヒッグス博士のノーベル賞受賞となり、遂に素粒子の「標準理論」が完成した。

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しかし、問題はここからでヒッグス粒子の質量が予想していた価より小さかった…「安定」と「不安定」の中間に位置していた。

ヒッグス粒子が軽いと、エネルギーが0の真空状態に転げ落ちる可能性があり、最悪の場合はある時突然真空状態に瞬間移動する「陽子トンネル効果」という現象が起き、真空の泡が生まれる。

真空の泡は光のスピードで膨張し、宇宙は真空に飲み込まれてしまう。

では、宇宙は本当に真空に飲み込まれるのか?だけど、「超対称性理論」が正しければ、宇宙は安定する理論が唱えられ、加速器を更にパワーアップして超対称性粒子を探し続けているが、未だ見つかっていない。

ただ「超対称性理論」も完璧では無く、重力を考慮に入れれば宇宙の真空崩壊を防ぐことが出来る…ヒッグス粒子の発見で完結した素粒子の標準理論でも、「電磁気力」、「強い力」「弱い力」があるだけで、重力は含まれていないし、それは標準理論を発展させた超対称性理論も同じ。

宇宙が誕生した時を再現し、そこに重力の素になる「重力子」という素粒子があればヒッグス粒子の矛盾を解決できるのではないか?という説が登場した。

アインシュタインの一般相対性理論によれば重力は空間のゆがみであり、重力が強ければ真空が膨張するエネルギーに対抗できる。

その為には重力を説明する理論が必要になる。

そこで素粒子が粒では無く、ひもだと仮想的に考える「超ひも理論」が考え出され、しかも、両端が繋がった輪になったひもであれば、重力を説明することも可能になる。

ただ、「超ひも理論」も仮説の段階で、世界中の物理学者が色々自説を唱えているが、混迷を深めていて、「この宇宙が存在するのはただの偶然」というマルチバースト説を唱える学者が増えてきている。

ただ、物理学者というのは究極の自然法則を探すのが仕事のはずなので、偶然と言うのは違うと思う。

現在ヒッグス粒子のより細かい性質を解明するために、これまでの陽子では無く電子をぶつける次世代加速器「国際リニア・コライダー」が日本で造る計画も進められている。

「国際リニア・コライダー」による新発見が待ち遠しいのだ。