この世

魂とは

昔、バンドでライブツアーとなると、アンプやドラムセットなどを積んだ機材車に乗って高速道路を乗り継いで遠くに出かけていた。

初めて行く街、初めて見る景色などが珍しい間は新鮮だけど、回を重ねる毎に慣れてきて…マンネリになる。

移動が退屈になりだした頃、俺は機材車の窓から見えるいつもの退屈な景色を眺めながら、通り過ぎる家々などが本当に実在しているのか？を疑った事があった。

俺が予定外の行動で車を止めて道ばたにある家屋に入ると、家の中は映画のセットみたいな張りぼてで作られているのが判るんじゃないか？と思ったりもした。

北京オリンピックの時は、マラソンなどは競技場から出て市街地を走るので、国際映像のカメラが撮影する場所にあった汚い貧乏な家屋は取り壊され、立派な家やビルが描かれたボードが並べられていた。

だから見た目と真実は異なる場合もある。

でも中国と違って日本では、そうしなければならない理由がないが…そんな感覚は今でも消えなくて、新幹線のぞみ号などで京都に向かうときなども、高速で走り去る街や道路を走る車や人などが、本当に実在しているんだろうか？と思う時がある。

我々の実態は魂というエネルギーで、人体という物質の中に収まっているという説がある。

我々が死ぬと肉体という物質は無くなるが、魂は肉体から離脱して新しい生命に宿って赤ん坊として産まれてくる…こういう考えがあるんだけど、そうなると魂って何だ？って事になる。




都市伝説に、漫画のどらえもんの最終回というのがあって色んな最終回があるんだけど、その中にどらえもんの世界は、交通事故で植物人間になってしまったのび太くんの見ている夢という話がある。

それと同じで、俺が生きているこの世界は、俺が作り出している世界なんじゃないか？本当はこの世界には俺しかいなくて、他は全て俺が作り出しているバーチャル世界なんじゃないか？と思ってしまう。

もし、今の世界が俺の見ている夢なら、早く覚めて欲しいのだ。