2018MotoGP第2戦アルゼンチンGP [モータースポーツ]
ジャック・ミラーPP
アルゼンチンGPは天気とマルケスに振り回された。
予選はドゥカティ・サテライトのミラーがポールをゲット、ペドロサが2位、ヤマハ・サテライトのザルコが続いた。
マルケスは6位、前戦優勝のドゥカティのドヴィツィオーゾは8位、ロレンソは14位、このコースを得意とするヤマハはヴィニャーレスが9位、ロッシが11位と振るわなかった。
決勝は前代未聞なドタバタの連続だった。
まずポールポジションのジャック・ミラーだけがスリックタイヤを選択し、他の全車がレインタイヤを履いたがスタート直前にスリックに履き替えた。
このため、何故かスタートが15分遅延となり、ミラー選手以外の全選手が3列後退してグリッド位置についた。
俺も長くバイクレースを観ているが、こんなのは初めて見た。
ウエットレースが宣言されているんだから、本来ならミラー以外は全員ピットレーンからの一斉スタートのはずなのに、たった3列後退するだけになってしまった…1人だけ正しい判断をしたミラーのアドバンテージは無に等しかった。
安全性を考えてのピットレーンからのスタートを止めたのは理解できるが、ミラーが不利益を被ったレースディレクションの判断は納得できない。
スタート前の前代未聞の混乱はまだまだ続く。
今度はスタート前にマルケスがエンジンをストールさせた。
マルケスはあろうことかその場で押し掛けでエンジンを掛け、サーキットを逆走して元のグリッドに戻った。
コースを逆走しただけで失格だと思うが、他のマシン達も自分たちのタイヤが冷えていく中、マルケスがグリッドに付くのを大人しく待っているのが不思議だった。
決勝スタートの後、マルケスのエンジンストールに対してライドスルー・ペナルティーが下り、マルケスが60km制限のピットレーンを出たときは19位まで落ちていた。
その後マルケスは怒濤の追い上げを開始したが、コーナーでバンク中のアレイシ・エスパルガロに激突して追い抜いくラフプレーがあり、順位を1つ下げられるペナルティーを受ける。
マルケスはその後もトップより1秒も早い見事なラップで前方を追い上げ、遂に6位を走行中のロッシに追いつく。
マルケスはアレイシ・エスパルガロの時と同様に、ロッシをコーナーで体当たりしてコース外に追いだし、グリーンエリアに追い出されたロッシは転倒してしまう。
ヘリの空撮映像では…ロッシはレコードラインのアウト側を走行していて、インはギリギリ1台分あいている。
マルケスがインを突いてロッシに並びかけるが、問題はインがあいているかどうかでは無く、マルケスのスピードがコーナーを曲がりきれない速度でロッシに突っ込んでいる事で、両車は激しく激突。
曲がりきれない速度のマルケスのマシンは、そのままアウトに膨らみ続け、ロッシも追突を避けるために外側に逃げている様に見える。
行き場の無いロッシはグラベルに…。
追い出されたロッシ転倒。
怒るロッシ。
転倒後、マシンを再スタートさせたロッシは19位でフィニッシュ、レース後にロッシへの激突で30秒加算のペナルティが科せられたマルケスは18位に終わった…それでもロッシより成績が良かった事になる。
レース直後にマルケスはアルサモーラとプーチを連れてロッシのボックスに謝罪に行く。
しかしロッシの親友ウッチョにより追い返された。
決勝レースはホンダ・サテライトのクラッチローが2年ぶりの優勝、2位にヤマハ・サテライトのザルコ、3位にスズキのリンス、と4位のドゥカティも含めると4メーカーが競う素晴らしいレースだったのが、マルケス1人に台無しにされたのが残念だった。
レース後ロッシとマルケス激突の件について、ホンダHRCチームマネージャーのアルベルト・プーチは「レースでは良くあることで、誰にでも起き得ること」と、マルケスに問題なしと断言しているのに対し、ヤマハ・マネージングディレクターのリン・ジャーヴィスは「マルケスの非常識な操縦は受け入れられない」とコメント。
マルケスは「抜けるスペースがあったので入ったら滑っただけで、他にも似たような接触をしているライダーが大勢いた、自分は故意に接触したわけではない」と、自分だけがペナルティーを受けるのは不満というスタンス。
一方のロッシは「マルケスはこのスポーツを滅茶苦茶にしてる」「マルケスがこっちに向かって突っ込んで来るって分かってるから恐怖を感じる」「他の選手らだってああ言う走り方をする度胸はあるが、そんなことをしたら皆怪我をしてしまって5レースぐらいで誰もいなくなる」「マルケス相手に戦っても面白くもない、アグレッシブなんじゃなく、ただ汚いだけだから」と、過去最高に怒っている。
去年は静かだったが、いつかは再燃するだろうと思っていたが遂にその時が来たという感じ。
ホンダ陣営の言うように、マルケスの「激突してマシンの向きを変える」ライディングが「よくある些細なレースアクシデントの範囲内」であれば、ホンダはアレイシ・エスパルガロやロッシの件でペナルティーを課したレースディレクションに抗議すべきだったし、レース後にロッシのピットに謝罪に行ったのも不自然だった…レプソルは言っている事とやっている事が真逆。
レース中にマルケスを失格にするなら話は別だけど、今回のアレイシ・エスパルガロのケースの様に「1つ順位を下げる」位のペナルティーではマルケスは痛くも痒くもないだろう…つまりペナルティーでマルケスを押さえつけることは出来無い。
問題は、マルケスへのペナルティーというミクロな視点で無く、マルケスの走りを認めるか?認めないか?が全ての様な気がする。
今回のマルケスと似たような走りをしたのがF1のミハエル・シューマッハで、1997年の最終戦で「どうせ勝てないのであれば」とジャック・ヴィルヌーヴに体当たりをしたが、シューマッハはその事で「年間全ポイント剥奪」というモータースポーツ史上前代未聞のペナルティーを受けているが、マルケスの走りもこれに似ていて、今年の開幕戦も最終コーナーでドヴィツィオーゾに勝てないと判断したマルケスは明らかに曲がれない速度でコーナーに進入し、マシンをドヴィツィオーゾに向けて突進させていた。
負けるくらいなら体当たりの共倒れで構わないし、一か八かぶち当ててみて運が良ければ相手を潰して勝てるというのが「マルケス走法」。
この走法はゲームの世界では存在した…昔、初代プレステのゲーム機を2台繋げ、テレビを2台使ってF1-GPゲームで仲間達と遊んだことがあったが、優勝した人の操縦がアクセル全開でコーナーに突っ込んで相手に激突する「マルケス走法」で、誰もこの走法には敵わなかった。
これはマルケス以外のライダーにしてみれば、まさに危険きわまりない突撃魚雷だと思うし、ロッシが恐れているのもマルケスの速さでは無く、「一か八か」で突進してくるマルケスの思考だと思う。
俺はマルケスのミラクルな走りはトラクションコントロールの賜物だと思っているので、トラコンだけで無く電子制御そのものを全部廃止すべきだと思う。
しかし、次戦のアメリカGPは大荒れだと思うのだ。
アルゼンチンGPは天気とマルケスに振り回された。
予選はドゥカティ・サテライトのミラーがポールをゲット、ペドロサが2位、ヤマハ・サテライトのザルコが続いた。
マルケスは6位、前戦優勝のドゥカティのドヴィツィオーゾは8位、ロレンソは14位、このコースを得意とするヤマハはヴィニャーレスが9位、ロッシが11位と振るわなかった。
決勝は前代未聞なドタバタの連続だった。
まずポールポジションのジャック・ミラーだけがスリックタイヤを選択し、他の全車がレインタイヤを履いたがスタート直前にスリックに履き替えた。
このため、何故かスタートが15分遅延となり、ミラー選手以外の全選手が3列後退してグリッド位置についた。
俺も長くバイクレースを観ているが、こんなのは初めて見た。
ウエットレースが宣言されているんだから、本来ならミラー以外は全員ピットレーンからの一斉スタートのはずなのに、たった3列後退するだけになってしまった…1人だけ正しい判断をしたミラーのアドバンテージは無に等しかった。
安全性を考えてのピットレーンからのスタートを止めたのは理解できるが、ミラーが不利益を被ったレースディレクションの判断は納得できない。
スタート前の前代未聞の混乱はまだまだ続く。
今度はスタート前にマルケスがエンジンをストールさせた。
マルケスはあろうことかその場で押し掛けでエンジンを掛け、サーキットを逆走して元のグリッドに戻った。
コースを逆走しただけで失格だと思うが、他のマシン達も自分たちのタイヤが冷えていく中、マルケスがグリッドに付くのを大人しく待っているのが不思議だった。
決勝スタートの後、マルケスのエンジンストールに対してライドスルー・ペナルティーが下り、マルケスが60km制限のピットレーンを出たときは19位まで落ちていた。
その後マルケスは怒濤の追い上げを開始したが、コーナーでバンク中のアレイシ・エスパルガロに激突して追い抜いくラフプレーがあり、順位を1つ下げられるペナルティーを受ける。
マルケスはその後もトップより1秒も早い見事なラップで前方を追い上げ、遂に6位を走行中のロッシに追いつく。
マルケスはアレイシ・エスパルガロの時と同様に、ロッシをコーナーで体当たりしてコース外に追いだし、グリーンエリアに追い出されたロッシは転倒してしまう。
ヘリの空撮映像では…ロッシはレコードラインのアウト側を走行していて、インはギリギリ1台分あいている。
マルケスがインを突いてロッシに並びかけるが、問題はインがあいているかどうかでは無く、マルケスのスピードがコーナーを曲がりきれない速度でロッシに突っ込んでいる事で、両車は激しく激突。
曲がりきれない速度のマルケスのマシンは、そのままアウトに膨らみ続け、ロッシも追突を避けるために外側に逃げている様に見える。
行き場の無いロッシはグラベルに…。
追い出されたロッシ転倒。
怒るロッシ。
転倒後、マシンを再スタートさせたロッシは19位でフィニッシュ、レース後にロッシへの激突で30秒加算のペナルティが科せられたマルケスは18位に終わった…それでもロッシより成績が良かった事になる。
レース直後にマルケスはアルサモーラとプーチを連れてロッシのボックスに謝罪に行く。
しかしロッシの親友ウッチョにより追い返された。
決勝レースはホンダ・サテライトのクラッチローが2年ぶりの優勝、2位にヤマハ・サテライトのザルコ、3位にスズキのリンス、と4位のドゥカティも含めると4メーカーが競う素晴らしいレースだったのが、マルケス1人に台無しにされたのが残念だった。
レース後ロッシとマルケス激突の件について、ホンダHRCチームマネージャーのアルベルト・プーチは「レースでは良くあることで、誰にでも起き得ること」と、マルケスに問題なしと断言しているのに対し、ヤマハ・マネージングディレクターのリン・ジャーヴィスは「マルケスの非常識な操縦は受け入れられない」とコメント。
マルケスは「抜けるスペースがあったので入ったら滑っただけで、他にも似たような接触をしているライダーが大勢いた、自分は故意に接触したわけではない」と、自分だけがペナルティーを受けるのは不満というスタンス。
一方のロッシは「マルケスはこのスポーツを滅茶苦茶にしてる」「マルケスがこっちに向かって突っ込んで来るって分かってるから恐怖を感じる」「他の選手らだってああ言う走り方をする度胸はあるが、そんなことをしたら皆怪我をしてしまって5レースぐらいで誰もいなくなる」「マルケス相手に戦っても面白くもない、アグレッシブなんじゃなく、ただ汚いだけだから」と、過去最高に怒っている。
去年は静かだったが、いつかは再燃するだろうと思っていたが遂にその時が来たという感じ。
ホンダ陣営の言うように、マルケスの「激突してマシンの向きを変える」ライディングが「よくある些細なレースアクシデントの範囲内」であれば、ホンダはアレイシ・エスパルガロやロッシの件でペナルティーを課したレースディレクションに抗議すべきだったし、レース後にロッシのピットに謝罪に行ったのも不自然だった…レプソルは言っている事とやっている事が真逆。
レース中にマルケスを失格にするなら話は別だけど、今回のアレイシ・エスパルガロのケースの様に「1つ順位を下げる」位のペナルティーではマルケスは痛くも痒くもないだろう…つまりペナルティーでマルケスを押さえつけることは出来無い。
問題は、マルケスへのペナルティーというミクロな視点で無く、マルケスの走りを認めるか?認めないか?が全ての様な気がする。
今回のマルケスと似たような走りをしたのがF1のミハエル・シューマッハで、1997年の最終戦で「どうせ勝てないのであれば」とジャック・ヴィルヌーヴに体当たりをしたが、シューマッハはその事で「年間全ポイント剥奪」というモータースポーツ史上前代未聞のペナルティーを受けているが、マルケスの走りもこれに似ていて、今年の開幕戦も最終コーナーでドヴィツィオーゾに勝てないと判断したマルケスは明らかに曲がれない速度でコーナーに進入し、マシンをドヴィツィオーゾに向けて突進させていた。
負けるくらいなら体当たりの共倒れで構わないし、一か八かぶち当ててみて運が良ければ相手を潰して勝てるというのが「マルケス走法」。
この走法はゲームの世界では存在した…昔、初代プレステのゲーム機を2台繋げ、テレビを2台使ってF1-GPゲームで仲間達と遊んだことがあったが、優勝した人の操縦がアクセル全開でコーナーに突っ込んで相手に激突する「マルケス走法」で、誰もこの走法には敵わなかった。
これはマルケス以外のライダーにしてみれば、まさに危険きわまりない突撃魚雷だと思うし、ロッシが恐れているのもマルケスの速さでは無く、「一か八か」で突進してくるマルケスの思考だと思う。
俺はマルケスのミラクルな走りはトラクションコントロールの賜物だと思っているので、トラコンだけで無く電子制御そのものを全部廃止すべきだと思う。
しかし、次戦のアメリカGPは大荒れだと思うのだ。
2018-04-11 23:46