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ほんわかソロ [ギターの話題]

空間系エフェクターの話[るんるん]

ギターソロに最適な音を追求するのは、大半のギターを弾く人達の楽しみでもあり、課題でもある。

俺なんかも、バッキングの音の方に重点は置いていたものの、ソロの音にはかなり手こずった。

ただ、ギターサウンドのアレコレは散々このブログにも書いてきたが、「ソロ音」に関する記事が少ないのはバッキングの音に関しては色々アイデアがあったりするんだけど、事がソロとなると「しっかり弾くこと」以外には余り書くことも無かったりする。

極端に言えば、ピッキングとフィンガリングした信号を極力忠実にアンプから出力する事が全てだと思う…そういうのを全部含めたのがソロ時のサウンドだと思う。

昔は機材…特にアンプの性能が悪いというか「気むずかしく」、ノイズやハウリングに振り回されて落ち着いてソロを弾く気分ではなかったが、最近のアンプは少々無茶な状態を差し込んでも忖度してくれる…だから余計にソロ音に無頓着になる。

ただ、ギター担当にとってソロは自分が主役で主張する箇所なので、機材的にも工夫してよりカッコ良く出来ると思う。


ソロ音の基本は、それまでのバッキング時からのゲインアップだと思う。

例えば歌のバックで弾いていて、自分のソロになると音量を上げる。

俺が最初に全国ツアーを行った再結成H.M.Nも、ツインリードギター編成だったので、Electro-Harmonix社の「LPB-2 LINEAR POWER BOOSTER」というブースターを使って、バッキングの音をソロ時にブーストさせていた。

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ネットで調べてみたら、俺が使っていたのとカラーリングも全く同じ画像が見つかったけど…これって相当古くからあると思う。

それ以降も基本的にはバッキングの音のゲインの上げ下げであまり深く考えないんだけど、マルチトラックでレコーディングを行う様になると「ソロ専用の音作り」という作業に向き合うことになる…さて、どうしようか?って事になる。

俺の場合は、最初から多重録音を目的とした音と、1本で鳴らす音、クリーン系の音の3種類位を用意するんだけど、多重録音用はギターを4本重ねるときなどは細めの音を作った。

場面にもよるけど、トーン代わりにクライベイビーを音が細くなる部分でペダルを止めて使ったり、JC-120にマイクを2本立てて位相を付けて細くしたりしていた。

クリーン系は、シングルコイルのギターを使ったり、なるべく歪まない様にしていた。

問題のギター1本で弾くソロの音が俺は一番厄介だった。

ディレイを録音時に掛けて取ったり、マイクの位置を遠くに設置したり色々試行錯誤したが、納得いく音に到達するには至難の業だった。

なんというか…「これで良い」っていえばそれで良いし…「もう少しなんとかならないか?」と思い始めると、もう少しなんとかしたくなってくる。


では、作る・作れないはさておき、どんな音が理想のギターソロサウンドなんだろうか?

俺は、「90125イエス」のトレヴァー・ラビンのソロが凄いと思う。

ディレイなどの空間系のエフェクトが効果的に効いていて音が立体的に膨らんでいて「暖かい」…Stratocasterのシングルコイルの音なんだけど、粘っていてふっくらしている。

秘訣はディレイにあると思う…ただディレイで立体的な空間を作るのは難しい。

録音の場合、ソロ音も空間系エフェクターは使わずに録音し、エフェクターはミキサーの方で「後がけ」するのが基本だけど、ライブの時はディレイなどを効果的に使いたくなる。

例えばMARSHALの2000で鳴らすとして、ギター→ディレイ→2000と繋ぐとディレイの返りの音もMARSHALで歪ませてしまう。

それがドライブペダルで歪みを作ったりしていると最悪で、ギター→ドライブペダル→ディレイ→2000だと、ディレイ音はペダルで歪んだ音をリピートさたのを2000が更に歪ませる事になるので、ディレイの返りがファズみたいにグシャグシャになってしまって、スペーシーでも何でも無くなってしまう。

それならまだ、アンプを歪まないクリーンがデフォルトのトランジスタアンプで、ギター→ドライブペダル→ディレイ→トランジスタアンプの方がディレイが綺麗に掛かる。

俺もディレイの効果を極力生かそうと、ギター→プリアンプ→ミキサー→パワーアンプとつないで、ミキサーのセンド&リターンを使ってディレイなどの空間系エフェクトを色々試してみた…最終的にはドライ音とエフェクトアウトを別アンプで出したり、試行錯誤してみたが効果はイマイチだった。

ただ、一度だけ、あるイベントに参加したとき、そこに登場したあるギタリストさんのアンプからの出音が凄かった。

ギター音はガッチリ聞えて、その周囲を見事にディレイ音が立体的に飛び交っていた…「一体何を使っているのか?」と見に行くと、小さなフロアタイプの国産マルチエフェクターを使っていて、アンプはJC-120一発だった。

あんなショボい機材で、あんなに凄い音が出るんだ!と衝撃で…以後俺の機材に対する考えが変わった。


最近はROCKTRONのVooDu Valve一発で完結しているので、エフェクターも内蔵されているのを使っている。

VooDu Valveなんて今では楽器屋が扱わなくて、ヤフオクでノーリターンで取引されるジャンク扱いだけど、新しいモノが正義だった1990年代とは違って、今時は自分が気に入ればナンデモアリな時代だと思うので、俺は最近再評価してかなり気に入って使っている。

俺もデジタル系のプリアンプを色々使ってきたけど、PODなどは時間の無いときのレコーディングとかには便利だけど、自宅でノンビリ設定できるならリアルチューブはお勧め。

俺のソロ音の作り方は、音抜け重視で歪みをやや落として、リバーブと短めのディレイを付け足す…EQもハイミドル域をやや強調して艶を出す感じ。

ディレイを生かして、スペーシーでモフモフなフカフカサウンドがお気に入り。

録音とかライブ用で無く、自宅練習用で作るなら音云々で無く「弾きたくなる音」に作ることがポイント…これは嗜好の問題なので上手く書けないけど「もっと弾けば?」って誘って来る様な、「より弾きたくなる感じ」に持って行ければ成功だと思う。

俺の場合の「弾きたくなるツボ」は、ピックが弦を弾くときの音がリアルな事かな。

カキッって弦にピックが当って軋む音がリアルに出れば弾きたくなる…具体的には「Black Sabbath Vol.4」でのトニー・アイオミの音かな…ピッキングのカキカキって音がリアルに聞える。

トレブルを上げるのがコツなんだけど、大抵の場合その状態で大音量にするとハウリング大会になってしまうが、自宅での小音量では可能。

ソロ音は、「機材」と「ピッキングやフィンガリング」などの全体で音を作るイメージが良いと思うのだ。