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臭いの記憶 [日々のあれこれ]

磯の香り[ぴかぴか(新しい)]

夏の思い出は楽しい出来事が多い…「夏休み」「海水浴」「プール」「野球」とか色々あるが、俺の場合幼少の記憶には「臭い」が追加される。

夏の夕立の後にも臭いがあるし、夏の空き地の草にも臭いがある…タバコを吸っていた期間中は臭いの記憶は無いが、止めてからは時々幼少の頃の臭いの記憶が蘇る事がある。


俺は磯の香りが大好き。

海水浴なんて、俺のガキの頃は家族イベントの最高峰だった。

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俺の家の海水浴は、俺が物心ついたときから日本海の若狭湾だった。

当時は「舞鶴若狭自動車道」なんて便利な高速道路が無かったので、全て一般道を走った。

遠いので早朝に家を出発していた。


俺がガキの頃の大阪の街は、高度経済成長期のど真ん中で、油が浮く真っ黒なヘドロのどぶ川はメタンガスが吹き出る死の川で、空き地は次々とブルドーザーによって宅地に変わっていた。

そんな自然の無い場所に住んでいると、水や空気の澄み切った大自然の若狭は別世界だった。

水着に着替えて、浮き輪や水中メガネを持って海に向かう。

セミの声が唸っている防風林として植えられている松の林を抜けると、目が痛くなるほど太陽光を反射する真っ白な砂浜が飛び込んでくる。

わあ!と感激の声が出る。

駆け出すとサンダルが脱げるので、サンダルを持って走ろうとすると熱せられた砂で足の裏が痛くて…走りたいけど、走れない。

若狭湾は8月になると波が高くなり水温が低くなったりクラゲが出たりするけど、夏休み突入直後の7月は波も無く水温も高い。

最初は浅瀬でジャブジャブやっているが、そのうち浮き輪を付けて冒険が始まる。

シュノーケルを咥えられる様になる前は、浮き輪で岩場に近づいて足の指で巻き貝を採るのが最高の冒険だった…生物が死に絶えた町の子供に生きた貝は珠玉の獲物だった。

最近は夏に海に泳ぎに行くことも無くなったが、今でも山より海が好きで、その好きな海の基準は若狭湾の記憶と磯の香りだ。


鎌倉の江ノ島でしらす丼を食べたとき、小さな椀に海草の味噌汁がついてきた…一口食べただけで口の中に磯の香りが広がった。

その味噌汁に口を付けた瞬間、幼少の頃の若狭湾の歓喜の記憶がフラッシュバックした。

調べてみると、ハナマルキから「磯の香りおみそ汁」というのが発売されている。

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見つけ次第ゲットなのだ。