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興福寺 北円堂 特別開扉 [寺社・城・仏像・ミュージアム]

寺社・仏閣探訪ツアー2017 Vol.01[カメラ]

運慶晩年の名作弥勒如来が見たくて何年も前から北円堂に入りたかったが、東京で会社員なんかをやっているとナカナカ興福寺の都合で動けないので諦めていた。

今回の見仏旅行は大型連休の混雑地獄は避けたいけど、北円堂には入りたいという事で、特別開扉最終日で連休最後の日の5月7日に奈良行きを決めた。

だから、見仏旅行一発目の探訪場所が、いきなりメインディッシュとなった。




近鉄奈良駅から東向き商店街を歩き、途中から左に折れてゆるやかな坂を上がる。

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肌寒い東京と違って暑いので、上着を一枚脱いでリュックに入れ、ついでにカメラをコンパクトなコンデジから見仏用のFinePixに持替える。

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準備完了で、坂を進むと左手に北円堂が見えてきた…。

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外から見ると、想像通り空いている!

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全て計算通りで、気温の上昇だけが読めなかった。

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恐らく何点かは今年の秋に東京上野の国立博物館で行なわれる「運慶展」にも登場すると思うが弥勒如来は判らない。

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チケットを買って北円堂に進む…この工事のバリケードの様な囲いの中を歩くのが夢だったんだ!

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北円堂には9体の仏像があり、その中の7体が国宝。

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北円堂に入ると、まず進路のど真ん中に本尊の弥勒如来坐像があった…南円堂の場合、進路の最後に不空羂索観音坐像があったのとは逆で「いきなりか!」と、少したじろいだ。

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堂内撮影禁止の為ネット上より拝借




弥勒如来坐像を前に、最初に頭に浮かんだのは「これほど写真写りの悪い仏像は初めて」という言葉だった。

今回初めて北円堂に入った俺は、これまで弥勒如来を写真でしか見ることが出来なかったが、特に顔部分の金箔の剥げ方もあって晩年の運慶は作風が変わったんだろうか?と思っていた…それほど初期の名作円成寺の大日如来と違って見えた。

しかし、実物は紛れもない、俺みたいなのにもハッキリ判る運慶そのものというか、仏像ファンが思い描く運慶の理想的な作品以外の何ものでもなかった。

光背も金箔がピカピカで、雲中みたいなのが飛び交っていて凄い!

脇侍もピカピカ。

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堂内撮影禁止の為ネット上より拝借




完璧に近い…何に近いのか?となれば、我々人間に近いと感じた。

例えば法隆寺金堂の釈迦三尊のアーモンド状の目とリアルな玉眼の差というか、慶派の作品はどことなく人間に近く見えるので、親近感に近いものを感じる…そこが人気の秘密なのかも。

「こ・れ・は・値打ちあるわぁ~」と、ただ驚くばかりだった。

一緒に奈良や京都に行ってくれる見仏仲間が欲しいけど、もし友人と一緒に堂内に入ってもうなり声しか出なかったと思う。

運慶は最初から最後まで天才だったと判った。

堂内を廻る…

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四天王が踏んでいる邪鬼が、実に良い踏まれ方をしていて良かった。

無著と世親音菩薩も良かった…恐らく秋に上野で見れるだろう。

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しかし何と言っても弥勒如来が良すぎた…。

念願だった北円堂から出た俺は、奇妙な寂しさを感じていた…これほど完璧な仏像を見てしまって、まだ見なきゃならない仏像があるのか?と、混乱した。

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しかし、余りにも写真と違いすぎた。

仏像はライブで見ないとダメだと、改めて痛感したのだ。