ギターソロの音色 [SOUND]
大昔、俺がまだ奈良の実家に住んでいたときに所属していたBritish Steele(以下BS)というバンドは、ツインリードギター編成のバンドだった。
右から2番目が石田
相棒の石田は、ストラトに22フレットのネックを装着し、ピックアップはリア・フロント共にハンバッカーを搭載していた。
当時、そういう改造ストラトは販売されておらず、石田は…恐らくそういうピックガードが当時も販売されていたんだと思うが…つや消しな素材のツインハンバッカー用のピックガードを付けていた。
俺も石田と知り合う前から、リッチー・ブラックモアの影響でストラトを弾き始めて、文化祭バンドなどでリッチーのコピーは卒業し、ハンバッカーの音に惹かれてストラトを改造した。
その頃の俺のギターは、リアがDiMarzioのSuperDistortionで、センターがダミー、フロントはシングルでDiMarzioのファット・ストラトというのを付けていた。
石田とはBSで一緒になる前に、ごく短期間一緒にバンドをやっていて、音のバランスが取れずに失敗していた。
だから、再びBSで一緒にやる時は徹底的に互いの音色を似せることも条件の1つとして据えていた。
ギターのピックアップは石田と同じDiMarzioのSuper2をマウント、ペダルはジェンのクライベイビー(俺はMister.クライベイビー)にMaxonのD&S2、お互いバッキング時とソロ時に音量差を付ける事でバランスを取っていた。
長年の酷使でグシャグシャなD&S2
こいつはボリュームペダルにもなります、初期MLまで使ってました
ソロ時に使用するブースターはMaxonのイコライザーの「レベル」を使っていた。
これって結構音は良いと思うです
一番右にあるのがレベルです
そしてある時、2本のギターでハーモニーを奏でるツインリードの音色部分で違和感が生じた。
原因は、俺がリアからフロントピックアップに切り替えているのに対し、石田はリアピックアップのままで弾いていて、混じりが悪かった。
その時は、石田が俺に合わせてくれて、以後その部分が凄くエモーショナルになって、2人揃ってその箇所が凄く好きになったのを覚えている。
俺はギターソロ以外の通常バッキング時はリア・ピックアップで弾いていて、ギターソロは「キンキンしたリアの音」より、「フロントのソフトな音」が好みで、リア・フロントを頻繁に切り替えるタイプ。
ただ最近は「使うピックアップによる」と思うようになってきた。
ソロの雰囲気や表情を付けるのに重要なテクニックは?と考えると…様々な奏法はあるが、俺の場合は、何よりもまず「ビブラート」だと思う…これに勝る効果は無いと思う。
右利きの場合、「ビブラート」が弦を抑える側の左手の王様なら、ピッキングは右手の王様だと思う。
ジャズギターなどは、極端なビブラートは聞かないし、どちらかといえばピッキングニュアンスの方が重要なんだろうけど、音をラウドに歪ませるHR/HM系ギターで効果的なピッキングニュアンスとなれば「ピッキング・ハーモニクス」だと思う。
最近ピックをピックボーイのカーボン・ナイロンからダンロップに変えたけど、ピッキングも少し変えている。
ビブラートもわざとユックリで大きいのしか使わなかったのが、最近は昔よくやっていた細かいのも入れる様になったのと同様、ピッキングも弦に当てる角度を極力弦と平行にするのを意識していたんだけど、最近は拘る事を止め、ピックの滑りも利用して振り幅の動きを抑えている。
ピッキング・ハーモニクスに関しては、オヤクソクで入れる箇所を決めている部分もあるが、ソロでは基本「思いついたら入れる」程度の感じで弾いている…ゴキゲンだと思えば、喜んで入れる傾向にあると思う。
最近はこの「ゴキゲン」にしてくれる条件が大事なんだと思うようになった。
上手く言えないんだけど、機材の性能の進化もあって昔はハウリやノイズ対策という、どちらかといえば欠点・欠陥を無くす事に意識が集中していたのに対し、最近は「よりゴキゲン」な環境を構築する事に目が行く様になった。
それは何か?と考えるに…原因はエフェクターでは無いと思う。
例えば、現在リハで使っているのはBOSSのME-25という…言葉は悪いが高校生が文化祭で使うようなのを持って行っている…ハッキリ言って使える音は2種類位だと思うが、「小型」「軽量」で手放せない。
機能が気に入っているのではなく、最低限の事が事足りれば、後は運搬の楽さを優先している。
リハはこれでええねん
それでも「ゴキゲン」なのは、消去法でいくと「ピックアップ」しか残らない。
現在リハに連れて行くギターのリア・ピックアップは全てSeymour Duncanの「LTTLE SCREAMIN'DEMON」で、こいつが「ゴキゲン」にしてくれていると思う。
このピックアップは最近ピックアップ交換したときの記事で書いている様に、凄くコントロールしやすい。
そうなると、これまでのソロになるとピックアップをフロントに切り替えて丸い音でソフト方向に行く気持ちより、「ゴキゲン」なリアのままで行ける所まで続けたいなって気分になる。
ギターソロの音色としては、健康的というか前向きに主張しようという気分になる。
これまでソロ時でのリア・ピックアップは、フロントだと音がコモって抜けない低音域の部分の音の補正として使っていた。
だから、最近サンプルとして同じソロを紹介しているが、今回も同じソロで比較してみる。
まず、前回紹介したのと同じファイルを貼り付けるが、リアがDiMarzioのTHE CHOPPERで、フロントはSeymour DuncanのCool Rails…このソロは後半のタッピングはフロントで弾く事は決めている。
ソロ出だし部分はリアで弾いている。
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
こうして聴くとTHE CHOPPERの音も悪くないね。
ピックアップは31秒の所でフロントに切り替えている…Cool Railsも悪くないが、切り替えての落差がソフトかも。
そして、次は同じギターのピックアップ交換後。
録音環境はギターとアンプやエフェクターは同じで、リアがSeymour DuncanのLTTLE SCREAMIN'DEMONでフロントがDiMarzioのAir Norton S。
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
バンドのバランスもソックリ同じとはいかないが、ピックアップ交換後のギターの音はブライトさが強調されていて、音のヌケが違う様に聞こえる。
弾いている俺もゴキゲンになって、何度となくピッキングハーモニクスを入れ、本来なら37秒辺りでフロントに切り替えるのを44秒までリアで引き続けている。
俺なんかの場合は、ピックアップを切り替えるタイミングは「ゴキゲン度数」によるというのが結論だと思う。
そういう意味では、微細な音も結構拾ってくれて、ピッキングの反応に大げさに反応してくれる「LTTLE SCREAMIN'DEMON」はお勧め。
つまり…ソロの音色は如何にゴキゲンかに左右されるのだ。