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俺のギターの教科書 [ノスタルジア]

ロック・ギター特殊奏法[本]


俺の人生の教科書は山上たつひこ先生の著書「がきデカ」だ。
特に全26巻のうち後半の、毎回似たような展開のこまわりくん周辺のマンネリ化した日常が最高。
 
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いつだったか…初期MargeLitch(以下ML)の演奏ツアーで行った時、ライブ後の打ち上げでツアー先の人達と自分たちのお国自慢みたいな話題になった。
俺も東京の自慢をしたかったが、東京に住みだして間がなかったのでサッと出てこなかった。

そこにベースのKyoが「東京にはキョンがいる!」と胸を張り、俺もそれにコメントを追加する必要を感じなかった…それ以上に理想的な回答は無いと思ったから。
 
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しかしキョンは八丈島の生物では無く、中国や台湾から来た外来種。
 
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そして俺のギターに関する教科書は?といえば…俺がギターを弾き始めた初心者の頃の話になる。

そもそも、俺はエレキギターに興味は無かったし、日常で、例えばクラスメイトが持っているとかでギターと遭遇する事も無かった。

当時の俺はラジコンのエンジン模型に夢中になる中学生だった。

ある日、母親が買い物に出かけるので、奈良にあった実家から電車に乗って天王寺という所に行った。
阿倍野はもう何十年も行っていないので、状況がサッパリ判らないが、GOOGLEの地図で見ると「あべのハルカス」というのが建っている辺りが昔は近鉄百貨店だったと思う。
 
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俺と母親が百貨店の中を歩いていると、目の前に楽器屋が見えてきた。
店頭にはエレキギターも立てかけてあって、キラキラ輝いて眩しかった。
俺はギターを見て漠然と「コレさえ持てばKISSみたいな音が出るんだろうな」と眺めていた。

特に欲しいモノの対象では無かった…例え手に入れることが出来ても、何をどうすれば良いのかが判らず、荷が重そうに感じた。

そんな感じでギターを眺めていると、後ろにいた母親が「あんた、これ欲しいんか?」と聞いてきた。
俺が考えあぐねて生返事をすると、その場でギターと手で持って帰れる小さな練習用アンプを買ってくれた。

今思えば…その時は俺より母親の方が欲しかった様な気がする。

ギターが欲しくて夏休みにバイトしたとか…そんな感じでは無く、な~んとなくギターを弾き始めるようになった最初の頃は、初心者用の教則本などを何度か手に取る事はあったが、内容がつまらなくて最低限のチューニングのやり方位しか頭に入らなかった。

そして、特にギター用に作られたのではなく、ただ流行った歌謡曲やフォークソングなどの歌詞の上にコードが投げやりに乗せてある「歌本」の劣化版みたいなのと、主にローコード中心の「ギターコード早見表」みたいな薄っぺらいのを見比べながら弾いていた。

本当に最初の頃は、知っている歌謡曲とかを歌いながらストロークでローコードを弾いていただけだった。

同時にリードギターみたいな事をやろうとしたんだけど、当時は「ギター」「ケーブル」「アンプ」しか無く、俺の小さなアンプからは出る音は、ラジオやレコードから聞こえてくるロックギターのサウンドとは似てもにつかないシロモノだった。
当時の俺には、ロックギターサウンドは何を使ってどうすれば出るのか、見当も付かなかった。

産まれた大阪市ならいざしらず、実家が奈良県に引っ越したので、それこそ主要国道などから一歩集落の中に入ると聖徳太子の時代から千年以上そのままって場所なので、情報が無い。

本屋に行けば専門書もあったんだろうけど、中学生の俺には例え機材の情報を得たとしても買えなかったと思う。

しかし、朝から晩まで一日中ギターを弾き続けているうちに、フレットの押さえる位置がすり減ってボコボコになったりして…そういう末期的な状態になった辺りで、付いているギターのピックアップを自分の好みの位置に付け替えたりとか、色々改造する様になったが、更に悪くなるだけだった。

やがて高校に入ってストラトを弾くようになり、バンドも色々やっていたある時、大阪で知り合った仲間達とイーグルスのコピーバンドをやろうってなって、俺はもう1人のギターの人が使っているフェイザーという「エフェクター」の音を聞いて驚いた。

その頃から、エレキギターは「弾くこと」と「音を作ること」の両方が出来ないとダメだと思う様になった。

確かに、リハーサルスタジオにあるアンプを使いこなせなければ、幾ら自宅で弾けても意味がなかった。
ただ、小さな音で弾く自宅練習と違って、スタジオの大きなアンプで弾くとハウリングやノイズが凄くて、弾くことよりもアンプ対策に振り回された。

スタジオにあるアンプを操るには、エフェクターで音を作るしか手段はない…ただ、そのエフェクターにはどういうのがあるんだろうか?

それと同時に、色んなバンドのギターをコピーしているが、今のように動画などの情報があるわけでは無いので、一体どうやって弾いているのか?
そもそも、この世にはどういうギターがあって、それらの構造や特徴はどうなっているのか?

楽器の上達と共に、バンドなどで知り合う仲間のレベルも上がり、それに比例して謎も増えた。

当時は国産メーカーのグレコのギターを買うと「成毛茂」さんの教則カセットが付いてきた。

これは全国のハードロック・ギター少年達のバイブルだったが、俺はそれを通過しなかった…ってか、成毛さんの事はお亡くなりになられる少し前まで全く知らなかった。


そして自分なりにはある程度のバンドも経験し、様々な知識もある程度身につけた時に、一冊の本を買った。

リットーミュージックの「ロック・テクニカル・シリーズ」《ロック・ギター特殊奏法》だ。

この本にはソノシートという薄っぺらいレコード盤が付いていて、奏法やエフェクターの特徴などを音で聞くことが出来る。

既に知っている事も書かれていたが、この本が俺にとっての教科書で、その中に載っている事はギターテクニックもエフェクターも全て自分のモノにしたいと頑張っていた。


この本は今も捨てずに持っていて、本棚に入れているボロボロなのをデジカメで撮影しようか?とネットで調べると、もっと綺麗な画像があった。
 
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俺はギターの事は何でも知っているわけで無く、俺の知識はロックギターに特化しているが、長く弾いてきて今思う「最重要」な事はピッキングとリズムの解釈だと思う。

リズムの解釈も、結果それを理解して正確に身についたとしても、実際にギターの弦を鳴らせなければ話にならないので、ピッキングは重要だと思う。

「ロック・ギター特殊奏法」もピッキングについて触れているが、俺にとってラッキーだったのは「細かく記載されていない」事だった。


一方70年代に日本中のロック小僧のバイブルとなった「成毛先生の教則カセット」は、基礎を一つ一つ丁寧に解説し、ピッキングにも重点を置いているが、結果的にそれは間違いだったらしい。

俺の場合、誰かに型にはめられず、基本的な基礎を自由に模索できた事が、良い意味でも悪い意味でも良かったと思っているし、大して気にもとめずナントナクやっていたけど、昨今ネットで見ることが出来る教則と大差ない範囲に落ち着いている。

ただ俺みたいに勝手気ままに自由にやってきた者からみると、この手の教則講師達は「断定的にものを言う」ので、見ている側は「言い切っちゃって良いの?」とハラハラする。

俺の場合、ギターを始めた最初の時に、余計な知識に振り回されなかった事が結果的に良かったと思っている。

「ロック・ギター特殊奏法」という本と出会わなければ、今の俺のギタースタイルは無かったと思うのだ。