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キコ・マルティネス vs 長谷川穂積 [ボクシング]

IBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチ[パンチ]



ボクシングの技巧としては、凄いチャンピオンでは無かった。
例えるならリッキー・ハットンみたいな体力で押し切るタイプ。

本来の長谷川であれば、足を使って距離を作って捌けば勝てた相手だった。

しかし、左右のフックに加え、頭から突進してくるスタイルの攻撃に、真っ向から打ち合ってしまった。

それでも全盛期の長谷川なら、大振りのフックなど簡単にあしらえたんだけど、「撃たせずに撃った」あの防御勘は無くなっており、面白いようにマルチネスのパンチが当たった。

長谷川陣営は、これまで何をやっていたんだ?と言いたくなるほど、長谷川の弱点を改善できないまま年齢だけを重ねたという感じで、パワーと手数勝負の相手に右ガードが下がりっ放しだった。

勝負は2Rで決まっていた。

2R、長谷川は何故かロープを背に、撃ち合いに応じてしまった。
捌けると思ったんだろうが、もの凄いビッグパンチをもらってしまった。
ダウンから立ち上がるも、足に来てしまい…それが回復する事は7Rに試合終了のゴングを聞くまで無かった。

足が踏ん張れないのでパンチも手打ちになって流れてしまい、素晴らしいタイミングでカウンターを何度か当てたが威力は無く、相手の動きを止められなかった。

試合が終わると、ただ長谷川が一方的に血祭りに上げられるだけの大差の試合だった…まさに世界チャンピオンとランキング13位の選手の実力差だった。

長谷川は神業の様な防御勘で2階級制覇してきた。
しかし、神業が錆び付くと、戦闘能力がガクッと並以下に下がってしまった。

同じ負けでも、スパッと一発でKOされれば負けた側のダメージも少ないが、今回のは鈍器で何度も殴られたって感じだから、長谷川のダメージも深いと思う…この辺りが潮時かな。

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長谷川の敗因は、戦略や体調など色々な条件があるんだろうが、最大の武器である防御勘が3年のブランクで鈍ってしまっては、これ以上戦うのは危険。
これで引退が正解だと思う。

強いチャンピオンだったので、今回の完敗は凄く寂しかった。


続いてWBC世界バンタム級タイトルマッチ。
チャンピオン山中慎介がシュテファーヌ・ジャモエを9RにTKOで葬った。

ジャモエは平均的にバランスの取れた選手だったが、山中の相手では無かった。
もっと早い回で倒せたと思うが、他は特に不安材料などは無く、無難な勝利だった…挑戦者には悪いが、格が違った。

時々大写しになるリングサイドのジョー小泉さんも、セコンド後ろにいた浜田さんも、普通の顔で試合を見ていたのが、この試合を語っていると思う。

是非WBO世界チャンピオンの亀田和毅と統一戦をやって欲しいが…絶対に無いと断言できる。

ドンと一発当てただけで、相手の顔色がサッと変わる山中のパンチは本物だ。
一発があるというのは、ボクサーとしては最大の武器、ジムも業界最大手の帝拳なので、海外で充分戦っていけると思う。

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夢は広がる、長期政権の予感なのだ。