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ほんとにあった!呪いのビデオを楽しむ [ドラマ・映画・アニメ・漫画]

演出補達の魅力[映画]

 

レンタル店に並ぶ心霊系作品の中ではダントツの人気と、驚異的ロングセラーの「ほんとにあった!呪いのビデオ」シリーズ。

このシリーズが他社の作品達と比べて優れている事は多々あるが、中でも特筆すべきは投稿者から送られてきた投稿作品をドキュメンタリータッチで取材する「演出補」の存在だと思う。

今回は俺の大好きな「ほん呪」の主役である演出補さんについて、ちょっとマニアックに語ってみたい。


大勢の演出補さんの中で、最初に印象に残った演出補さんは11作目から出演した巨漢の横田直幸さんで、初めて登場した回から太っているので柵を乗り越えられないで困っている。


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ドジなんだけど愛すべきキャラクターの横田演出補

横田直幸さんは呪いのビデオシリーズの派生作品の「the MOVIE 2」にも、自主映画界のアイドル「いちごちゃん」こと栗林忍さんと出演している。


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栗林さんの謎解明の真摯な姿勢が胸を打った…是非このシリーズをこのコンビで復活させて欲しい


次に初期の「ほん呪」で印象に残った演出補はヘビースモーカーの籐屋敷隆志さん。
みうらじゅんさん的イメージで、レギュラーとして定着するかに思えたが、「黒狐」騒動とかで急激に内容が怖くなくなったと思っていると、突然いなくなってしまった。


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西東京市にある「肉のオークラ保谷店」で食事後に一服する籐屋敷隆志演出補


2005年3月4日にリリースされたシリーズ15では、太った横田さんと籐屋敷さんが雪深い場所にある廃墟に入るんだけど、横田さんの体重の重みで床が抜け、それを助けようとした籐屋敷さんも落ちてしまう。


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横田さんが床を踏み抜いて…助ける富士屋敷さんも落ちる…ロケ場所は山梨県南都留群山中湖村にあった廃ホテル「山中湖高原ホテル」


この名シーンを7年後の2012年8月3日リリースのシリーズ49で、久しぶりに登場した横田さんと菊池宣秀さんで再現している。


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戻ってきた横田さん


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横田さんが床を踏み抜き…


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助けようとした菊池さんも落ちる…静岡県東伊豆町にある、稲取廃隔離病棟でのロケ


これに気がついた人は、相当の「ほん呪」マニアだと思う。
このオマージュを構成・演出を担当した岩澤さんの「ほん呪」の歴史を重んじる姿勢というか、「ほん呪」愛をかいま見た気がした。

そんな岩澤宏樹さんも、最初は演出補からの登場だった。

富士屋敷さんの後、シリーズ23から北海道室蘭市出身、北海道教育大学美術科卒の岩澤さんが登場し、回を重ねるごとに頭角を現し、「ほん呪」といえば岩澤さんというイメージが定着するまでに成長した。


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岩澤さん初登場のシーン


同じくシリーズ24から岩澤さんの相棒的存在になる菊池さんが登場する。

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菊池さん初登場のシーン


岩澤さんと、菊池さんのコンビの時期に入ると、シリーズの内容は抜群に安定し、出入りが激しかった女性出演補も、シリーズ44から川居尚美さんが登場して安定する。


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川居さん初登場のシーン


やがて岩澤さんが民放テレビの怪奇現象特番の解説者として出演するなどで人気を博し、出演補のリーダー的存在になる。


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最初は電話取材もたどたどしかったが、回を重ねるごとに急激に成長した岩澤さん


岩澤さんと、それ以前の演出補達の最大の違いは、取材で襲われて流血するなどの暴行を受けた事だと思う。


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悪漢に襲われ鼻血を出す岩澤さん

 

岩澤さんといえば、熱心で生真面目に真相に迫るという感じで、諦めずに果敢に謎を追って心ない取材者に暴行にあってしまうという設定が多くなる。


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岩澤さんの流血が1つの壁を壊したというか、それ以後演出補の怪我や失踪などが相次ぐ。


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川居さんなどデビュー回でいきなり失神


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失踪していた菊池さんが発見され号泣する岩澤さん



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交通事故で足を骨折してしまう川居さん



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川居さんカワイソス・゚・(ノД`)・゚・。


数々の難関を乗り越え、岩澤・菊池・川居コンビが「ほん呪」の主幹となる。
盤石に見えた岩澤・菊池・川居コンビだったが、岩澤さんが初の演出補出身の生え抜き監督に昇格すると、川居さんに対する態度が冷たくなる。


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岩澤さんの川居さんへの指示が刺々しい


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ラブホテルへの聞き込みなども冷酷に指示し、ネットでは川居ファンが紛糾し「岩澤ホモ疑惑」などが持ち上がる


制作側は恐らくネットでの評判も細かくリサーチしていると思う…川居さんに代わる新たなイジられ役として井ノ上謙介さんが加わる。


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毎回岩澤さんに怒られるが、飄々と打たれ強い井上さん


本当は巨漢の横田さんが、ツッコミを入れる岩澤さんのボケ役としては最適だったんだろうが、岩澤さんからすれば先輩なので、嫌みをいうのが精一杯…美人の川居さんには大勢のファンが付いている。

一方の井上さんは岩澤さんに突っ込まれる隙を満載し、岩澤さんも失敗が許されない重要な任務を何故か井上さんに担当させる。


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井上さんが書いた探索者の似顔絵…何度も岩澤さんに嫌みを言われてしまう


そして菊池さんも、取材者の失踪を見逃す失態でクルーから去っていく。


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失敗の責任から、修行に出る事を表明する菊池さん


川居さんが捜査から外れるという異例の事態もあった。


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自ら捜査から外れたいと申し出る川居さん


しかし、菊池さんは時々取材に顔を出す


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井上さんが菊池さんを呼んだという設定


岩澤さんが頼んでも戻って来てくれない菊池さんが、岩澤さんが日頃から怒鳴っている新人の井上さんの言うことには従順に従うという微妙な人間関係が面白い。

井上さんは大人しい態度とは裏腹に勝手な行動が多く、リーダーの岩澤さんの知らないところで、菊池さんと密接な関係を構築していた…「お前、そういう事は早く言えよ」と岩澤さんが注意しても、「はぁ」と生返事するだけで岩澤さんの意図する序列関係を理解できているか?は疑問。

ある意味「井上>菊池>岩澤」的な感じも否めず、これまで自分が揺るぎなきリーダーだと思いこんでいた岩澤さんに、もしかして自分は裸の王様なのか的疑惑と、取材チームからの疎外感が芽生え始めているのを感じさせるところが凄く面白い。

そしてシリーズ55では正式に復帰の表明は無いものの、本格的に捜査に加わる菊池さん。


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ドゲット&スカリー時代のX-Filesのモルダーの様な立ち位置を狙っているのか?


俺が取材チームのパワーバランスの転機がやってきたと感じたのは、シリーズ55の「悪人2」で、事務所で岩澤さんが井上さんを叱っている中、川居さんの機転で浅草の街で大捜索が始まったシーン。

 

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シリーズ55で捜索人を取り逃がしてしまったスタッフ達


取り逃がした事で、岩澤さんに怒られるかなと思われたが、意外にも優しい言葉を掛けてもらった井上演出補。

 

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「大丈夫か井上、お腹空いてんじゃないの?顔赤いよ、飯喰うか」と岩澤さんに声をかけられた井上さん

岩澤さんの井上さんへの不自然な態度は何を意味しているのだろうか…井上さんをコントロールする事を諦めた、岩澤さんの敗北宣言…とでもいうのだろうか…。


…と、主な演出補さん達を紹介してきたが…肉食系の俺は演出補の中では井上さんが一番苦手だな…職場でよく見かけるよね、こういうタイプの人。

俺も岩澤さんの立場だと、悪意無く井上さんに怒鳴ってしまうだろうね。


井上さんは怒鳴られる事を誘うかのように振る舞うけど、怒鳴る側から見れば、相手が怒鳴る様にし向けるから怒鳴る…つまり、井上さんは空気が読めない。

怒鳴る側も、毎度怒鳴りっぱなしじゃ可哀想だと、時々堪えて我慢する。
しかし、井上さんタイプは我慢している側の気持ちが読めなくて、再び怒鳴られるような事を繰り返す。
だから、俺なんかは「堪えてきた自分に腹が立つ」ので余計に辛く当たってしまって、その事で落ち込んだりする。

つまり、井上さんタイプに翻弄されてしまう…しかも井上さんタイプの人は怒鳴られることに慣れていて、怒鳴る側程精神的ダメージは受けない…その後に食事の時間になったりすると、こっちは怒鳴った気まずさで飯が不味いのに、向こうはそんな事は瞬時に忘れて美味そうに喰うからね。

結局、怒鳴る側はイジメと見られて評判を落とし、何も解ってない周囲は一見「しょげている様に見える」井上さんの肩を持ち、本人も「いえ私が悪いんですから」なんて謙虚さで評価が上がる…気がつけば井上さんの1人勝ちって有り得ない状況になるんだ!

だから、俺からすれば井上さんは心霊現象よりもモンスター的存在かな…同じ職場なら自分からは近づかない。

職場で井上さんタイプと仕事を一緒に組まされれば、悪夢だね…間違いなく爆弾問題を抱えてやってくる…そして爆弾処理は俺なんだ…得だよね「出来ません」が仕様の人は。

だから、俺は登場人物の中では、岩澤さんに最も親近感がわく…無責任に好き勝手やってるクルー共を相手に、懸命に仕事に打ち込んでいる彼を見ていると身につまされるよ…ガンバレ!岩澤監督!痩せすぎだから、もう少し飯喰って肉付けよう!

 

…などと、色々思ったりするが、実は岩澤さんも、川居さんも、井上さんも、台本があって、役者さんが「演じて」いる…井上さんは真顔で「結婚なんてしません」と言い切る、冴えない草食ユトリ系の若者を上手に演じていると思う。


そんな演出補さん達の、本当の素顔は…岩澤さんは、以前当ブログで紹介したとおり、本職は新鋭の映像作家だし、化粧っ気のない真面目な女性演出補を演じる川居さんも、劇団員さんだ。

 


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我々「ほん呪」のファン達は、皆そういう背景を知って、彼らが懸命に作り出した怪奇なストーリーを楽しんでいる。

俺も岩澤さんが映画監督の大御所に、川居さんが大女優になる事を応援している!

魅力溢れる演出補さん達…これからも我々「ほん呪」ファンを楽しませて欲しいのだ。