死霊のはらわた2 [ドラマ・映画・アニメ・漫画]
自主映画の「死霊のはらわた」(以下1)で一大スプラッターブームを巻き起こし、全てを出し切った感があったが、4年後に「死霊のはらわた2」(以下2)が制作された。
2は一応1からの続きという設定なんだけど、内容はリメイクに近い。
予算が無く、全てに荒削りだった1でやりたかった事を丁寧に作り直したって印象を受ける。
冒頭は1のダイジェストから始まるが、1では5人いた登場人物が、2では主人公のアッシュがガールフレンドのリンダと共に山荘を訪れる2人の設定になっている。
そして古代に作られた死者の書を解読した博士が吹き込んだ悪霊を蘇らせてしまう呪文のテープレコーダーを動かしてしまう。
悪霊が憑依したリンダがアッシュに襲いかかり、アッシュはスコップでリンダの首をはねて死体を埋める。
一応ここまでが1のおさらい。
そして1の最後の森に棲むナニモノかがアッシュに襲いかかるシーンがあって、アッシュもゾンビになってしまう。
しかし朝日が照ってアッシュの体から死霊が消える。
何とか森を脱出しようとしたアッシュは車に乗って来た道を戻ろうとするが、架かっていた橋がめちゃくちゃに壊れていて通れない。
日が暮れて森に棲む悪霊がアッシュの車を追いかけ、結局アッシュは山荘に戻ることになる。
そこからは死霊と化したリンダが大活躍。
でも、昔この映画を観た時は1より怖いと思ったが、2はどちらかといえば3に近いコメディー味付けになっていると感じた。
アッシュが山荘でリンダ相手にパニックになっている時、山小屋の持ち主である博士の娘アニーとその助手が連絡が取れなくなった博士のことを心配して、道案内の男ジェイクと女ボビーを伴ってアッシュがいる山荘に向かう。
4人組は半狂乱になっている血まみれのアッシュを見つけ、危険な奴と誤解して地下室に閉じこめてしまう。
そして4人は博士が吹き込んだテープレコーダーを回すと、博士がゾンビ化した妻を地下室に葬ったという告白が再生される。
その瞬間地下室に埋葬されていた博士の奥さんがゾンビとなって蘇り、アッシュを襲う。
死霊は変化したり、惑わす為に元の姿に戻ったりと、実に良くできている。
アッシュは間一髪で地下室から引き上げられ、この辺りで全員が状況を飲み込む。
しかし今度は助手の男の方がゾンビ化する。
助手のゾンビを退治すると、博士が3Dの霊となって現れ「死者の書に書かれている呪文を唱えろ」と、死霊の退治の仕方を教えてくれる。
ところが、ボビーが森に逃げて大木の悪霊に捕まってしまう。
ジェイクはボビーを探しに森に行こうと2人を誘うが、アッシュは「森に行ったら諦めろ」と取り合わず、アニーと死者の書を研究し始める。
するとライフルを持ったジェイクが死者の書を取り上げ「こんなもの何の役にも立ちゃしねえ」と、あろうことか婆さんのゾンビがいる地下室に捨ててしまう。
俺は、この映画を最初に自宅のビデオで観たとき…ここで一旦ストップして、肩を落としてため息をついた…何をしてくれてるねん…と。
よりによって最悪の場所に唯一の助かる希望を捨ててしまった。
森でアッシュはゾンビ化してしまい、逃げ戻ったアニーは間違ってジェイクを刺してしまう。
ジェイクは地下室の婆さんゾンビに食われてしまう。
ゾンビから立ち直ったアッシュは地下室に捨てられた死者の書を取り戻すべく、失った右手にチェーンソーを取り付け、ライフルを持って地下室に乗り込む。
この辺りから流れがホラー映画では無く、アクションヒーロー的風味に変わる。
婆さんゾンビを倒すと、森に棲む悪霊が大木となって現れ、アッシュ達を飲み込もうとする。
アニーは死者の書の呪文を唱えている途中で、アッシュが失った右手のゾンビによって刺し殺されてしまう。
アッシュは森の悪霊と戦うが、その背後に時空を飲み込む渦が現れる。
アッシュは必死で抵抗するが、時空を超える渦の中に悪霊達と共に飲み込まれてしまう。
そして遙か太古の時代の上空にタイムスリップしてしまい、アッシュの車などと共に空から落ちる。
鎧甲冑の集団に取り囲まれたアッシュは殺されそうになった時、上空に悪魔が現れた。
アッシュはライフルで悪魔の首を吹き飛ばし、その時代の救世主となる。
…と、まあ支離滅裂感があるとはいえ、盛りだくさんな内容で「これでもか!」とやり過ぎを軽く通り越したテンコモリの力作。
俺がこの映画を初めて観たときは1のイメージが焼き付いているので凄く怖かったが、今改めて観てみるとあまり生真面目にホラーを怖がるより、楽しめる要素を盛り込んでいるので痛快活劇風のホラーかもしれない。
ま、それでも怖いシーンはメチャ怖いんだが…。
後半辺りから、アッシュが失った手にチェーンソーを取り付けたり、ラストの過去の時代でライフルで悪魔の首を吹き飛ばしたりのシーンは、違和感よりも「よっしゃ!」と冴えないヒーロー出現を歓迎できる気分になる。
「死霊のはらわた2」は、楽しく盛り上がれるホラーなのだ。