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8.8Rockday [ノスタルジア]

巨大コンテスト[ぴかぴか(新しい)]

高校球児達の夏の夢とは甲子園だろうが、バンドにもそういう勝ち抜きコンテストが昔あった。
ヤマハが主催する「8.8Rockday」という関西圏の楽器屋の多くが主催するビッグ・コンテストで、決勝は関東の優勝者と「イーストウエスト」とかいうイヴェント名だったと思う…当時のアマチュアバンド達の祭典って感じだった。

こうして書けば甲子園の様に真夏の出来事みたいだけど、実際は8月8日に決勝戦があるってだけで、俺が参加していた地方予選みたいなのは梅雨前とか、そんな時期だったと思う。

8.8.は俺も数年に渡ってエントリーしていたが、結果はサッパリダメだった。
他の大抵のコンテストでは最優秀ギタリスト賞とかは沢山貰っていたけど、8.8.だけはどうやってもダメだった。

8.8.で地区予選を勝ち抜いて次のステップに進めるバンドは…大人数でパーカションとかいたりして、バックはフュージョン系の爽やかサウンドにラテン系のリズムをアレンジしたりして、決めのブレイクで踊っていたボーカルのお姉さんがホイッスルを吹くみたいな…そういうお洒落系の、ロックと言うよりはポップス系のバンドしかダメだった気がする、もちろん例外はあったが。

というのも、俺が出た予選では偉そうに批評する審査委員がロックを知らない人ばかりだったので、ハードロックなんて論外って感じで「審査委員のコメント」も完全にピントが外れているクダラナイものばかりだった。
何で「8.8Rockday」なのに審査委員にロックミュージシャンが居ないのか?不思議だったし、「Rockday」なのにフュージョンバンドが多く出ていたのは…未だに理解不能だ。

この手のコンテストで難しいのは、リハが無いこと。
ブッツケ本番でステージに出て、暗い暗転のステージ上でアンプをセットするんだけど、演奏が始まるまでステージがどういう状況になるのか判らない。
可哀想なのはドラムで、普段2バスを踏んでいるのに、8.8.はワンバスしか認められなかった…まだツインペダルなんて無い時代だった。

アンプも、俺の知る限りヤマハのF-100とかのトランジスタの小さなアンプしか無くて、暗転の暗いステージ袖で司会者がワアワア言う横で短時間で音を作るのが難しかった。
でも、当時の俺なりに知恵を絞って対策を立てたりして、数年続けて出ていたがダメだった。

8.8.が何であれだけの広がりをみせたのか?と考えるに、当時は今と違ってライブハウスの数が少なかったし、小さな小屋でも敷居は滅茶苦茶高かった。
ライブハウスに出る為には、プロフとデモテープを持って行ってオーディションがあった。
アンプやドラムセットとかは持ち込むのが当たり前だった…対バンに借りるとかはあっても、店の備品機材を使っている奴なんて見たことがなかった。
つまり、ライブハウスに出るにはデモテープを作らなければならなくて、機材を持っているのは当たり前で、それを運搬する機材車も買わなければならなかった。

だから、8.8.全盛期の当時は、ライブハウスに出るにはまだまだ実力が伴わないバンドが人前でライブをやるには、コンテストに出る位しか手段が無かった。

しかし今ではオープンマイクとかいうライブハウスが人気で、手ぶらで店に行って楽器を借りて、誰でもライブの主役になれる雰囲気を演出してくれて…そんな店が登場して何処も結構繁盛している。
お手軽にライブをやりたい人達には、凄く良い時代になった…だからコンテストに参加料を払って出る時代では無くなった…未だにコンテスト好きな連中ってオヤジバンドコンテストとかに群がっている老人だけだと思う。
だから、コンテスト自体は無くならないと思うけど、8.8.ロックの様な関西の大半の楽器屋が多くのアマチュアバンドを巻き込んで主催した巨大イベントはもう出てこない時代になったと思う。

これはライブハウスが寂れている事にも繋がると思うが、その理由は「誰でも安易に出演できるライブハウスが増えたから」と考えがちだが、実際は「バンドの数が激減している」のが原因だと思う。
これからのライブハウスはステージでのバンド演奏をお客に聴かせる「場」から、誰でもカラオケ気分でステージに上がって楽しく演奏できるスペースを提供するアミューズメントに変化していくのかも知れない…事実そういう形態のライブハウスは何処も賑やかに健闘しているが、そこで演奏している大半はフォークギターでの弾き語りとか、コピーバンドばかりで自前のオリジナル曲を演奏する「バンド」は皆無に近いと思う。
ライブハウスも、それを取り巻く環境も激変する時期に来ていると思う。


…昔、ライブハウスを「目指す」バンド達がゴロゴロ居た時代、彼等にとって手軽なライブといえばコンテストで演奏する「セッティング込みの15分で2曲まで」とかだった。
俺達も8.8.に応募し、最初の地区予選で演奏する2曲の練習をして、予選当日は重い楽器や機材を電車に乗せて運んでいた。
別に優勝を目指していたわけでも無いし、予選を突破出来るとも思っていなかった…ただ漠然と人前で演奏できる事が嬉しく、ワクワクした。
最初にエントリーしたのは大阪市内の楽器屋からで、予選場所は森ノ宮だったが演奏するバンドのレベルが高くて次の年にはメンバーが住んでいる泉州地区から出場してみたけど、ダメだった。

BritishSteele在籍時には奈良地方予選にエントリーした。
おかげで奈良文化会館大ホールのステージで演奏できた。
最初から「幾ら頑張ってもどうせダメだ」と思っていたので凄く楽しめた。
高いステージから広い客席を見渡して…最高だった!
俺には何も無かったけどドラム担当の新野がベストドラマー賞をゲットした…我が事の様に嬉しく、自慢だったのを覚えている。

俺にとっての8.8.は年に一度来る攻略不可能なコンテストで、ポップス系の人達はやり甲斐はあったんだろうけど、ハードロックな俺は興味が無くなっていき…確か10周年で終わったと記憶している。
俺はその時も出場して、10周年記念プレートを貰った…俺が8.8.で何かを貰ったのはコレだけだったと思う。

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俺の中で8.8.などのコンテスト出場への情熱が低下するのに反比例して、俺の活動場所がライブハウスになった。
それ以降はコンテストには滅多に出なくなった…バンドブーム全盛期の頃に、初期MLで長野県のテレビで放送していた「イカ天の長野版」みたいなのに出演したのが最後だったと思う。

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…もうコンテストに出る事は無いと思う。

誰かエライ人に自分が好きでやっている事を評価されるのは、結果がどうであれ気持ちの良いことでは無いのだ。



今日の神田川
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