天理スタミナラーメン

想い出の味

日曜出勤で早朝の飯田橋のコンビニに入った。
平日の食事は給食センターに頼んでいるんだけど、休日はコンビニで弁当などを買っている。
あれこれ買い込んでレジに向かうと…珍しいインスタントラーメンを見付けた。

奈良では結構有名な「天理スタミナラーメン」のカップ麺版があったので、俺には凄く懐かしいので即買いした。



いつの頃からだろうか…俺がまだ奈良に住んでいた時、天理市内の山の麓の道路に屋台というよりテントみたいな所で食べた記憶があるが、それと同じラーメンなのか？と思ってパッケージを見るとテントの写真が掲載されていた…「あ！やっぱコレだ！」と思った。


これこれ！まさにここで喰った！

まだ1980年代の前半だったと思うが、ラーメンにニンニクを自分で好きに入れられる店というのが登場した…今じゃ普通に見かけるけど、当時の俺には珍しかった。
ラーメンマニアでは無いので俺が知らなかっただけかも知れないが、とにかく客がカウンターなどに摺り下ろしたニンニクの容器があって、それを客が好きなだけ入れられるというシステムの店がある事を知った。

…俺が最初にそういうシステムに遭遇したのは、バンドのライブツアーで東京に来た時で、当時の宿泊はその頃の関西系のインディーズ・ツアーバンドの大半が利用していた渋谷の格安ホテルだった。

当時のスケジュールは、別に俺達だけでは無くて何処のツアーバンドも同じ感じだったけど、東京にたどり着くまでに連日何本もライブをやっていて、旅の疲れが出る頃が東京だった。
連日ライブを詰め込む方式のツアーは、実際その手のツアーをやった経験者で無いと判らないだろうが、３日目辺りが一番キツイ。
3日目のピークをクリアすると、不思議と急激に身体が楽になる。
「これは何処に積むの？」とかで大騒ぎしていたのが、連夜で3回もライブをやると誰も何も言わないでも自然に役割分担が出来上がり、何処に何を積むかまで完璧に出来上がる。
そうなると、プロの引っ越し屋みたいなもので、あっと言う間に機材車に数ミリの隙間も無くパンパンの機材がサクッと積み込める…ツアー全盛期のMLで15分という早業があった。

当時はギターアンプは当たり前で、何処のバンドもドラムセットからベースアンプまでフル機材を持って移動していて、ライブはツアー前日のフルセットを鳴らしてのゲネプロから始まるから、体力的にも大騒ぎだった。

初日のライブが終わると、今の様に道交法が厳しくないから夜中まで居酒屋で打ち上げで大騒ぎをしてホテルに移動…次の日の朝にホテルをチェックアウトして移動、現地に着いて機材を降ろしてリハ、飯喰ってライブをやり機材を撤収して居酒屋に行って…を延々と繰り返すんだけど、３日目辺りで疲れのピークが来る。
まず腕が機材の積み卸しの筋肉痛でパンパンになる…疲れと騒ぎすぎで声が出なくなる…とにかく首がむち打ちの様に動かなくなる…大体こういう症状が出るのがデフォルト。
楽屋では旅先の地元バンドが元気にはしゃぐ横で、サロンパス臭満開の俺達がタバコのライターで腕のツボに千年灸を付けるのが当たり前の光景だった…特に俺は当時から指の腱鞘炎が酷くて千年灸は必需品だった。

そして、夏場などは暑さにもやられて更にヨレヨレになって東京に着くんだ…前日、横浜辺りでライブをやって、ホテルを出て新宿辺りに移動してくる。
道路は…当時はバブル景気で何処も大渋滞、夏場などは都心に入ればとりあえずエアコンの効いたファミレスに飛び込むんだけど、これも都心でデカい機材車を停められる駐車場があるファミレスとなると、大渋滞の中をアドリブで適当に探しながら車を走らせていたのではハナシにならない…当時は何処でライブをやるなら何処のファミレスに入るというのまでキチンと決まっていた。

ファミレスに入っても、大阪の若者が５人もいるのに、大人しい…理由は大声を出したり、笑ったりすると「首にひびく」から。
寝不足、筋肉痛、首がむち打ちで動かないの３重苦で、這うようにしてライブハウスに入ると、昨夜自宅で睡眠充分な東京のバンドが「大阪のバンドが殴り込みだって？返り討ちにしてくれるわ！」と気合い充分で待ちかまえている…「頼むからカンベンしてくれ！」って叫びたかったよ。

そんな可哀想な俺達のスタミナ源が、ホテルがある渋谷の隣りの代々木にあった。
そりゃ大金を払えば東京で無くても何処でも上手くて栄養のあるのが食べられるが、貧乏なツアーバンドだからラーメンとかになる。
その店は当時の俺達が夜中に腹が減って機材車で夜の東京を徘徊していて偶然見付けた…ニンニクを自分で好きなだけ入れられるラーメン屋だった。
そこを見付けてからは、東京に行くと必ずその店に行き、胃に穴が空く寸前までニンニクをガバガバ入れた…どの位栄養があるのか？は知らないけど、元気になった様な気分になれたんだ。

だから当時は博多ならどの店、広島なら何処、名古屋なら、東京なら何処って、東京〜九州までのライブハウス近くには、必ず立ち寄るお気に入りのスタミナ補給店があった。

因みに東京に移住して、大阪のスタミナ補給店はキタでやる時は「眠眠の餃子」だったけど、ある時から味が変わった気がして、もう梅田界隈では10年以上ライブもやってないし…だからもう何年も行ってない。

さて、そんなニンニクラーメンがスタミナ源として登場してきた頃、奈良県にも同じ価値観のラーメンが登場した。
それが天理スタミナラーメンだった。

80年代の半ば頃だったと思う…時々夜中に腹が減ると仲間と食べに行った。
夜中なのにいつも人でごった返していて…当時奈良県在住の夜行性の若者で天理ラーメン喰わなかった奴っていないと思う…今はどうか知らないけど、その当時は奈良ローカルでは流行った。

俺が東京に移住して今年のお盆で26年になるから、天理スタミナラーメンも確実に26年以上食べていない。
それを今回インスタントだけど食べてみた。



お湯を入れて３分では無く４分待つ。


割り箸が苦手なので職場ではマイ箸を使っていて、フタの上に乗せているのはワンコの箸ケース

流石に何十年も食べなかったから、味の記憶は無いけど…俺の天理スタミナラーメンの印象はキムチでは無く白菜が入っている塩辛いスープってイメージだったけど、インスタント版はそこまで極端な印象は無い。



感想は普通に美味しく食べました！
ま、奈良の代表的な食べ物が何かは知らないけど、奈良漬けで無いことだけは確か…奈良漬け食べてる家なんて見たことも聞いたこともない。
天理スタミナラーメンが奈良を代表する食べ物だとは思わないが、まだ食べたことがない人はインスタントをコンビニで見付けたら試してみて損はないと思う。

チューブのニンニクをブチューっと入れればより美味しいと思うのだ。


今日の神田川

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