Drowsy

Vol.06-新しい仲間を求めて…

あっけないBritish Steelの解散後、俺はドラムの新野と新しいバンド結成する事にした。
BSはリーダーの石田が去った後も４人編成で数ヶ月後任を探しながら既に決まっていた消化試合ライブをやっていた。

結果BS解散後も活動を続けたのは俺と新野だけで、他のメンバーは引退した。

BSは奇跡的にメンバーが奈良県内で揃ったが、その後も奈良でメンバーを集めるのは不可能と思い、大阪で新しいバンドのメンバーを捜すことにした。

BSの消化ライブ期間中も俺と新野は友人達のライブを見にいったりして、その日の対バンなどにメボシイのが居ないかと捜していた。
この時期、多くの人とセッションでスタジオに入っていたが、結果はどれも上手く行かなかった。

Drowsy


ある時、雑誌のメンバー募集の記事にボーカルで応募した。
課題のコピー曲はカナダのトリオ編成のハード・プログレバンド「Rush」で、一度歌ってみたかった。

この時俺は新バンド結成への人材捜しとかの目的を持って参加したというのではなく、他のバンドともセッションで遊んでいた…それらの中でこのバンドを取り上げるのは、その後結成したH.M.N#2に大きく関係しているので紹介する。

応募先の彼らから出された課題曲はどれも良く知っている曲だったので、即勝手知った大阪アメリカ村のスタジオに行って合わせたが、ギターの人の演奏が凄く不味かった。

彼らはボーカリストを捜していたんだけど、俺はそのバンドでボーカルというよりギターが弾きたくなった。
スタジオからの帰り、ドラムとベースの人と同じ地下鉄で帰った。

その時に「ボーカルとしては残念ながら一緒にやろうって気にならなかったけど、俺にギターを弾かせて貰えないか？」と打診してみた。
彼らはアッサリ俺の意見を受けて、一週間後に同じ曲をやろうということになった。

スタジオに入ると、新しいボーカルが来ていて…演奏が始まると…凄くラッシュになった。

「呑んだくれ」という意味のバンド「Drowsy」はボーカル松山、ベース深川、ドラム新井原（ラウドネスの新井原実さんの弟）の４人編成。
結果的には俺が新バンド結成で脱退し、その後メンバーはそれぞれのバンドに加入して短命に終わったが、ハイトーン・ボーカルの松山との出会いは衝撃的だった。

 

Drowsy時代の俺

しかし、凄く濃密な人間関係のBSから、特に取り決めなど無いDrowsyに何となく加入したので、拍子抜けした物足りなさを感じた。
バンドには明確なビジョンが無く、とりあえずライブをやりながら…と漠然とした予定があるだけだった。

このバンドでの俺のギターに関する事は、全てBS時代の据え置きで、何も新しい事はやっていない。
ラッシュ系のハードプログレを追求するバンドだったので、機材はBSより多かった。

ベースの機材も凄くて、ミュージックマンのベースに巨大なラックエフェクターを使っていた。
当時ラック系エフェクターはまだ珍しく、凄く豪華に見えた。

俺の機材は、ジェン・Mrクライベイビー(ワウとボリュームペダル）→マクソン・D&S２→マクソンEQ→マクソン・フランジャー→ボス・フェイザー→グヤトーン・アナログディレイ→ボス・２チャンネルミキサー→アンプだった。

ボス・２チャンネルミキサーは後期BSから使っていて、小さなモノラルミキサーで「BOSS Mixing Amplifier km-2」という奴で、２インプットで１モノラルアウト。
手のひらサイズでゲインも稼げて、とても便利でその後も初期ML辺りまで使っていた。

コンパクト・エフェクターを多用する俺には必需品だった


ラッシュのレコードは初期のライブ版「All the World's a Stage」を友人からカセットテープに録音して貰ったのしか持っていなかったので、そのレコードのテイクをコピーしたが、特にギターソロのコピーに苦労した…ちゃんと弾いているのか、ミスなのかがよく判らなかったので何となく雰囲気でコピーした。
最も苦労したのはラッシュのギターサウンドで、特にソロの音は「似せる」のに滅茶苦茶苦労した記憶がある。

半歪みというか、5.6弦をピッキングすると「クキッ・クキッ」と鳴るのがポイント。

Drowsyが自然消滅の方向に傾き始めた頃、BS解散後行動を共にする約束をしていたドラムの新野との、新バンド結成の方は次第に形が出来はじめていて、そちらで話が盛り上がり、結構大規模なバンドになりそうなので好い加減に参加し続けて先々で迷惑を掛ける前にDrowsyを脱退した。

人間的にはとても良い連中で、彼らとはその後も交友が続いた。

Bastille Day/Rush（All the World's a Stage Version）
Something for Nothing/Rush（All the World's a Stage Version）
録音：大阪アメリカ村　アンクルサムst/マイク録音　カセット・テープ