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奥が深いなぁと思うことがあった [バンド関係]

俺が通過しなかった世界の話[音楽]リンクを辿り、モト冬木さんの実兄エド山口さんがやっておられる「東京ベンチャーズ」のギターさんが作っておられる、ベンチャーズに関する情報満載のページにたどり着いた。

ベンチャーズの代表的なギターテクニック「テケテケ」サウンドに拘っておられて、その研究に関する膨大な情報を楽しく拝見させていただいた。
判りやすく書かれていて、読みやすかった。
俺はベンチャーズはよく知らないので、とても興味深く読ませていただいた。

しかし、ギターは何をやるにも極めるには奥が深いと、改めて痛感した。
特に興味深かったのは、70年代の音を再現するには、アナログ機材で無いとダメと書かれている事で、「やはりそうか!」と思った。
しかし、まだスプリング・リバーブユニットが売られているのを知って驚いた。
テケテケサウンドで使うリバーブは、本来のリバーブと比べ、かなり特殊な使い方をするらしく、「これでなきゃ感じが出ない」という事らしいが、その拘りこそが大事だと思った。
ベンチャーズ・サウンドを極めるために、ギターや弦にまで拘っておられ、コピーバンドも大変奥が深い事に驚いた。

そりゃそうだ…俺も経験がある…。
大昔、大阪でHMNというバンドを結成した。
最初はトリオで、ジミヘンみたいな音楽性で始めたんだけど、専任ボーカリストが加入して演奏できる音楽性が広がった。
当時は半分オリジナル、半分コピーみたいな演奏が当たり前で、かなり上級のバンドでもライブでコピー曲を演奏していた。
俺たちもボーカリストが入り、それまで歌いながら楽器を弾かなきゃならなかった為に出来なかった曲とかをやり出した。
誰かがUFOのドクタードクターをやろうって言い出した。
当時の俺のギターはシングルのストラトだった。
俺の頭の中では、UFOでのマイケルのサウンドとシングルのストラトは正反対の位置にあり、水と油と感じる。
幾ら何でもそれはダメだろ…とは思ったが、演奏したい気持ちが上回った。
こっそりスタジオの中で弾いている分には良かったんだけど、ライブでもやることになった。

今振り返るに、もうその時の俺はシングル・サウンドに嫌気がさしていて、ハンバッカーマウントのギターが欲しかったと思う。
でも、Vなんて買うお金が無かったから、仕方なくシングルのギターのままステージに上がった。
確か…その後、アッサリと国産メーカーだけどレスポールを買った。
妙に軽いレスポールだったけど、そのギターのおかげでシングル・コンプレックスは無くなった。
その後、センターの位置に穴を開け、トリプルハンバッカーにしたりと、結構気に入って弾いていたけど、ハイポジションが弾き辛いのと、立って弾くときストラップを長くして下げて弾かないと格好がつかない為、弾き難くて使わなくなって、友達が欲しがったので差し上げた…以後レスポールは使っていない。


さて、ベンチャーズだけど「ようつべ」に出かけてライブを観てみた。
最近のライブかな…メンバーの皆さんの姿は老人って感じだったけど、演奏は驚くほどシッカリしていた。
サムピックを使って、カントリーっぽい奏法が斬新。
日本のオヤジバンドが憧れるのが判る…実にカッコ良い爺ちゃん達だ!
問題のテケテケだけど、16分音符でやっているのでは無さそうだ…後、単音弾きでも無く、複数の低音弦をグシャグシャとストロークで掻き毟っているって感じだった。
リバーブが掛かりすぎていて、ちゃんと聞き取れない…全体的にバンドの音がリバーブの残響音でガチャガチャしている。
つまり…思っていたよりタッチがハードだった。

俺は、身の回りにベンチャーズ好きが居なかった事もあり、全く縁が無かったが、ベンチャーズを筆頭に、当時の「エレキギターバンド」が持っているモズライトというギターは見たことがある。

詳しいことは忘れたが、何かのイベントだったと思う。
もちろんHM/HR系のイベントだったんだけど、その中のあるバンドのギターがモズライトを持っていた。
俺も永くバンドをやって、数え切れないバンドと一緒にやったけど、モズライトを持ったメタルを見たのは後にも先にもこの時だけだ。
興味津々だったので、そのギター君に「一体そのギターは何ですか?」と話し掛けた。
ギター君は、兄のギターを貰った事や、モズライトはとても高価な楽器だと説明してくれた。
板バネのアーム、巨大なシングルコイル・ピックアップ、極細ネックなど、一見して調子出すのに手間が掛かりそうなギターだと感じた。
繊細なギターだなというイメージだった。

モズライトがどんな音で鳴るのか、期待しながら彼等のリハを観た。
そのギター君は、マーシャルにBOSSのディストーションを使っていた。
アンプのセッティングにもよるんだろうけど、期待していたモズライトは信じられない程トレブリーで、ハウりまくっていた。
ハイしか出ないか細い音で、ギターもジャンルによって向き不向きがあるんだなと思った。
今もってモズライトギターは弾いたことが無いが、いずれにせよかなり特殊なギターだと思う。

良く判っていない評論家が「海外のギタリストの多くはギターに拘らない」と書いているのをよく見かける。
細かい事を気にする日本人と違い、弘法筆を選ばずと言いたいのだろうが、全然違う。
例えばポールギルバートなどは、ギターの細かい調整は気にせず何でも弾けるなどと書いているが、全然違う。
彼等はギターに関心は無いのかも知れないが、抑えるところは勿論抑えている…それが判らない奴って、ギターが弾けない奴だと思う。
ギターの細部まで極める人と、余り神経質にならない人との差は、何を突っ込んでも凄まじい音が出るアンプを持っているかどうかだと思う。
ヴァンヘイレンのマーシャルを改造して有名になったリー・ジャクソンのアンプなんか典型だけど、セミアコを突っ込んでも、テレキャスターを突っ込んでも、差が無くどちらも超ド級の迫力で鳴る。
だから、細かい弦やピックアップなんて何でも関係無いんだけど、では彼等がそういうのに全く無頓着なのか?と言えば、全然違って、メチャクチャよく知っているか、よく知っているローディーが常に真後ろに居る…騙されてはいけない。
どの道だろうが外しちゃダメなセオリーは存在するんだ。

そのセオリーはベンチャーズファンの方も同じだった。
エレクトリック・ギターという楽器でも、これほど違う世界があったのは驚きで、とても勉強になったのだ。